ドコモがフェムトセルを本格展開
家庭内の不感区域を解消
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20091222/342527/?ST=network
NTTドコモは2009年11月,家庭内に設置するフェムトセル(小型基地局)を使った接続サービス「マイエリア」を開始した。家庭内など局所的な不感区域を埋め,さらなる顧客満足度の向上を狙う。一方,ソフトバンクモバイルは端末の無線LAN対応を推進し,帯域不足を補う方針を示した。
「マイエリア」を説明するNTTドコモの山田社長。手に持っているのがフェムトセル 「マイエリア」は,家庭内に設置したフェムトセルからブロードバンド回線を介してドコモ網に接続するサービスである(図1)。フェムトセルを使った個人向け商用サービスは日本初。2012年度までに100万台の販売を目指す。
ドコモは家庭内のデータ通信環境を改善するサービスとして,既に無線LANを利用する「ホームU」を提供している。この点について山田隆持社長は,「無線LANと第3世代携帯電話(3G)を比べて3Gを取った。ホームUは補完的な位置付け」と説明する。家庭内からの高速なデータ通信よりも,既存の端末を使ってどこからでも接続できる3Gの優位性を選んだわけだ。
図1●ブロードバンド網を経由してドコモ網に接続
パソコンからインターネットを利用している状態でも,フェムトセルの通信経路を確保するため,ブロードバンド網にはマルチセッション機能が必要。フェムトセルの利用場所を特定するため,回線固有IDの通知機能も条件の一つになっている。現状ではこれらの機能を備えるのはNTT東西のフレッツ網に限られる。
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FOMAとのハンドオーバーは未対応
サービス開始に当たってドコモは,フェムトセル対応の携帯電話13機種を発表した。これらの端末は,フェムトセルのカバーエリアに入ると,自動的に接続先の基地局をフェムトセルに切り替えるよう設定できる。旧機種(901i以降)でも,エリア内で「*+特定の5けたの数字」を発信すればフェムトセルに接続できる。
ただし,端末の対応の有無にかかわらず,一般のFOMA基地局とフェムトセルの間,あるいはフェムトセル間のハンドオーバーはできない。フェムトセルのカバーエリアから出るなど,基地局の切り替え時には通信を切断される。また,家族での利用を想定し,フェムトセルに接続できるユーザーは最大10人,同時接続は最大4人までとなっている。
写真1●家族の在宅状況を確認できる「イマスカ」機能
家族の携帯電話が自宅のフェムトセルのエリア内に存在しているかを,外出先から専用サイト上で確認できる。 フェムトセルを利用した場合の通信速度は,受信最大7.2Mビット/秒(表1)。旧機種の場合は端末仕様の上限値になる。将来は「フェムトセルで使える携帯電話の通信方式を強化していく。LTE(long term evolution)での提供も視野に入れている」(山田社長)。
このほか,通信機能以外の付加的なサービスとして,家族の携帯電話がフェムトセルのエリア内に入っているかを専用画面上で確認できる「イマスカ」機能も提供する(写真1)。将来は家電との連携機能を加えるなどサービスを拡充していくという。
表1●フェムトセルと各社の無線LANサービスを比較
ユーザー宅のデータ通信手段としては,各社が無線LANサービスを提供している。
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利用できる固定回線はフレッツだけ
ただし,マイエリアを利用するには条件がある。フェムトセルは,総務省から認可を受けて設置する電気通信設備であり,管理方法が定められているためだ。
例えばブロードバンド回線として現在はフレッツ網を使う必要がある。これは,「マルチセッション機能」と「回線固有IDの通知機能」が必要なため。家庭内では,パソコンからのインターネット利用にもブロードバンド回線を使う。その状態でも,同時にフェムトセルの通信を安定的に通せるよう,マルチセッション機能が必須条件になっている。回線固有IDの通知機能が必要なのは,ユーザーが利用している回線を特定するため。フェムトセルのガイドラインとして総務省は,緊急時に基地局の位置を特定できる機能の実装を規定している。
申し込みから利用開始までは,約6週間かかる。総務省への申請手続きなどが必要となるためだ。フェムトセル基地局はユーザーが設置するのではなく,NTTドコモの担当者が実施する。
運用時の制約もある。例えば,基地局の申請時に利用場所が定められるため,フェムトセルの小型基地局は家庭内であっても位置を大幅には変更できない。設置したケーブルが届く範囲に限られる。
iPhoneに倣うとソフトバンク
ユーザー宅の通信回線を利用して家庭内での携帯電話の通信品質を向上させるには,無線LANを使う手もある。実際,ドコモとKDDIは既に無線LAN対応端末と,それを使ったサービスを提供している。ただし両社の場合,対応機種はごく一部でしかない。
これに対し,ソフトバンクモバイルが積極策に出た。11月には6機種の無線LAN対応端末を投入。孫正義社長は,「無線LANに対応するiPhoneのスピードと快適さを取り入れる。“Wi-Fi=携帯”という式を,世界で最も早くすべての携帯で実現したい」とする。通信事業者に縛られず有線・無線LANでインターネットに接続できるパソコンと同等の自由度を携帯電話に取り入れる考えだ。家の中だけでなく街中でも接続できるよう,ソフトバンクテレコムが運営する公衆無線LANサービスも使えるようにした。ただし,無線LAN経由での通話はできない。
ソフトバンクも数年前からフェムトセルを開発しているが「各種の問題を解決しつつ,基地局を小型化するなど改良を進めている」(孫社長)状態で,まだ完成には至っていない。将来的には,他社の動きを見ながら,低コストのフェムトセル・サービスを展開するという。
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(松元 英樹=日経コミュニケーション) [2010/01/04]