ますます高速化する有線と無線の伝送技術
Ethernetに無線LAN、3Gの携帯電話ネットワークに、最近ではWiMAXまでもが登場してきた。さらに数年内には4Gと呼ばれるLTE(Long Term Evolution)の登場が見込まれ、ユーザーらの飽くなきブロードバンド通信への欲求を満たすことになるだろう。
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次世代Ethernet技術「40GbE/100GbE」
無線技術の目まぐるしい進化の影に隠れがちだが、ワイヤード(Wired)と呼ばれるEthernetのような有線技術も着実に進化を続けている。最新の無線LAN(IEEE802.11n)やWiMAX(IEEE802.16e)の最大速度(理論値)が50~100Mbps程度なのに対し、現状でEthernet最速の規格である10ギガビットEthernet、(以下10GbE)の最大速度が10Gbpsであることを考えれば、依然として両者には速度上の大きな開きがあることがわかる。
Ethernetは10GbEを超える「40ギガビットEthernet(40GbE)」や「100ギガビットEthernet(100GbE)」の標準化作業を進めており、2010年6月には正式なIEEE標準として成立する見込みだ。2009年後半には最終のドラフトであるDraft 3.0が承認される予定で、標準化に先立つ形で各ネットワークベンダーからは最終ドラフトに準拠した40GbE/100GbE対応製品が続々と登場することになる。
次世代Ethernetとなる40GbE/100GbEでは、従来とは異なる2つの特徴がある。1つは、これまでのEthernetがたどってきた毎世代ごとに10倍ずつ高速化するルールを外れたこと、そしてもう1つが目的ごとに異なる2つの規格「40GbE(LAN向け)」「100GbE(WAN向け)」の標準化が同時進行している点だ。シングルモードとマルチモードの2種類の光ファイバと銅線を伝送媒体としてサポートし、全二重通信のみの対応で従来のCSMA/CDを廃した点で、仕様上は10GbEの延長線上に位置することになる。
40GbE/100GbEは2006年7月に「IEEE802.3 HSSG(Higher Speed Study Group)」としてスタートし、現在では正式なTF(Task Force)として「IEEE802.3ba」の名称で活動を行なっている(図1)。標準化策定のロードマップは現在、2009年3月にカナダのバンクーバーで開催されたミーティングでDraft 2.0が承認された段階で、今後夏までに最終的な調整が行なわれることになる。そして11月のDraft 3.0登場以降の投票期間を経て、2010年6月に標準化実現となる。
図1 40GbE/100GbE標準化までのロードマップ
40GbE/100GbEの仕様について、もう少し詳しく見てみよう。表1は現在2つのEthernet規格で定義されているPHY(物理層)の種類だ。伝達距離ごとに5種類のカテゴリが用意され、両規格合わせて8つの伝送方式が用意されていることがわかる。このうちバックプレーンと銅線で定義される2つのカテゴリは、おもにデータセンター内の隣接するラックやラック内部の配線に使用されるもので、伝送距離が10m以下と非常に短い。「40GBASE-KR4」「40GBASE-CR4」「100GBASE-CR10」の3種類がある。なお、この3種類には10GbEで利用されるバックプレーン通信規格「10GBASE-KR」のメディアがそのまま利用されることになる。
表1 40GbE/100GbEで定義されるPHYの種類
一方で100m以上と一般的なモジュール間通信を実現するのが光ファイバのMMF(マルチモードファイバ)とSMF(シングルモードファイバ)を使用するもので、短いほうで100m、長いほうで10~40kmの長距離をカバーする。構内配線のほか、MAN(Metro Area Network)のような中長距離での利用を想定している。「40GBASE-SR4」「100GBASE-SR10」「40GBASE-LR4」「100GBASE-LR4」「100GBASE-ER4」の5種類がある。短距離通信(Short)にはOM3(Optical Multimode 3)対応のMMF、長距離(Long)とさらに長距離(Extended Long)にはSMFが利用されることになる。なお、光ファイバにおける末尾の数字はレーン数(n×10Gbps)または波長数(n×25Gbps)を意味している。
現在のところ、Ethernet接続でよく利用されるツイストペア線(UTPまたはSTP)の規格については定義されていない。だが10GbE登場から数年後にツイストペア線を利用する10GBASE-TがIEEE802.3anとして定義され、2008年になってモジュールを構成する対応チップが続々と登場してきたこれをみると、2010年からさらに4~5年をかけて40GBASE-Tや100GBASE-Tといった規格が登場する可能性もあるのかもしれない。
さらに高速化する無線LAN802.11nはDraftから最終仕様へ
インテルらが中心となってノートPCを主軸にPCへの無線チップの内蔵を続けた結果、現在では多くのユーザーが無線LANを利用することとなった(表2)。IEEE 802.11a/b/gの規格に準拠したものが中心だが、なかにはIEEE802.11nの機能に対応した製品を利用するユーザーもいることだろう。
表2 IEEE802.11に属する無線LAN規格の一覧
IEEE802.11nの特徴は、MIMO(Multi Input Multi Output)による2つ以上の対向アンテナによる同時通信の仕組みを採り入れることで通信帯域と安定性の両方を確保し、IEEE802.11g時代の最大理論速度である54Mbpsを大幅に上回る100Mbps超の通信速度を実現した点にある。
市場にはすでにIEEE802.11n準拠の製品が出回っているが、現在市場に出回っている製品は2007年に策定された802.11n Draft 2.0に準拠している。IEEE802.11n本来のパフォーマンスを実現する最終仕様には到達していないわけだ。とはいえ現時点でDraft 2.0には準拠しており、製品同士の互換性は(多少の相性問題を除けば)実現できている。
Draft 2.0の時点で20MHz分の帯域を利用した1チャネルで150Mbps、2チャネルを同時に通信に使うチャネルボンディング(チャネル合成)で300Mbpsの論理最大速度となっているが、最終仕様への到達により、チャネルボンディング時で最大600Mbpsの論理速度が実現可能になるという。
標準化状況だが、802.11nの標準化を行なっているTGnによれば2009年3月の時点でDraft 8.0のスポンサー投票が行なわれ、最終的な仕様は2009年9月に標準化が完了した。この時点で802.11nの最終仕様をサポートした製品が市場に登場することになるが、旧802.11n製品についてもメーカーによってはファームウェアによる最終仕様へのアップグレードを謳っているものがあり、ある程度の互換性は確保されている。
この最終仕様となった802.11nだが、真の力を発揮するには5GHz帯の利用が必要となる。IEEE802.11nではISMバンドと呼ばれる免許不要の2.4GHz帯に加え、5GHz帯の2つの電波帯域をサポートしている。2.4GHz帯はIEEE802.11b/gやBluetoothなどの無線通信技術が利用している帯域であり、もしIEEE802.11nが下位互換性を実現しようと思えばこの帯域を利用する必要がある。一方で5GHz帯は電波干渉の少ない帯域であり、IEEE802.11aがこの帯域を利用している。IEEE802.11n本来のパフォーマンスを実現するにあたっては、干渉の多い帯域を避け、5GHz帯でIEEE802.11n専用のネットワークを組むのが望ましいとされている。これにより、IEEE802.11n通信により帯域を占有されることもなく、IEEE802.11b/gの無線ネットワークでも安定した通信が実現できるようになる。
商用サービスが開始したWiMAX次の目標は都市圏インフラ
無線ブロードバンドといって忘れてはならないのがWiMAXだ。無線LANでは到達距離が100m程度とおもに屋内通信を想定しているのに対し、WiMAXは固定アクセスポイント間の通信距離が50km程度と非常に広範囲をカバーするのが特徴であり、いわゆるWMAN(Wireless Metro Area Network)を実現する技術である。当初は固定無線通信を利用してインフラ整備の難しい地域にブロードバンド通信を提供するものとして技術開発が進んでいた。その後ノートPCといった移動端末のサポートも視野に入れることで、携帯電話ネットワークに次ぐ、第2の無線ブロードバンド通信技術として注目を集めることになった。
このうちモバイル対応WiMAXは「IEEE802.16e」として標準化され、日本では2月にUQコミュニケーションズによって一部ユーザーを対象にした限定商用サービスが開始されている。標準化されていることもあり、インテルは自身のノートPCプラットフォーム「Centrino」に無線LANと同様にWiMAX通信をサポートするチップの内蔵を計画している。このモジュールを搭載したノートPCを他の地域へと持ち出すことで、たとえば米国や韓国など、先行してWiMAXサービスを提供しているエリアでそのまま同様のサービスを受けることが可能となる。
写真1 UQコミュニケーションズが展開する日本初のWiMAXサービス「UQ WiMAX」のアダプタ。今後はノートPCに内蔵されることになりそうだ
UQコミュニケーションズによれば、同社が提供するUQ WiMAXのサービスでは下り最大40Mbps、上り最大10Mbpsの通信が可能だという。携帯電話の3Gネットワークの1つであるW-CDMAの高速データ通信規格「HSDPA」が、現行で下り7.2Mbps(将来的な最大データレートは14.4Mbps)であることを考えれば、その5~6倍と高速だ。こうした経緯もあり、次世代携帯電話ネットワークの本命技術の1つとして、4G規格にWiMAXを推すべく、周辺ベンダーを中心とした勢力がさまざまな動きを見せている。
その一環として提案されたのが「IEEE 802.16m」という規格で、WiMAX技術を使って都市圏を中心としたブロードバンド通信網を構築しようという試みだ。「Advanced Air Interface」の名称で呼ばれるこの技術では、固定/モバイルの両通信モードをサポートし、携帯電話ネットワークのようなインフラをWiMAXで構成する。
通信方式やインフラ構築方法が検討される一方で、速度面での正式な言及はなく、あくまでインフラ展開を主眼に置いた試みであることがわかる。だが4Gで競合するLTEへの対抗もあり、最大通信速度は1Gbpsオーバーを目指しているという話もある。国際通信規格団体であるITU-Rへの提案を想定しており、2009~2010年にかけて段階的なアクションを起こしていくことになるだろう(図2)。
図2 IEEE 802.16mの策定ロードマップ。ITU-R IMT-Advancedでの選定を考慮に入れた準備が進められている
4Gネットワークの本命LTEとその対抗規格たち
WiMAXとLTEという2つの規格が争う4Gでの覇権だが、結論からいってしまえば現時点でLTEが最終的な本命技術にもっとも近い(表3)。世界中の多くの携帯通信キャリアが、現行のGSMやHSPAといった技術の後継としてLTEの導入を検討しており、次世代の標準携帯ネットワークとなる可能性が高いからだ。すでにフィールド実験がスタートしており、2009年末から2010年には限定的ながら日米欧の各所でテストサービスが開始される見込みとなっている。今後数年をかけて段階的に商用サービスが開始されることになるはずだ。
表3 4G標準を狙う3つの主要陣営。UMBは2008年末の時点で主要ベンダーの米クアルコムが撤退を発表し、現時点で標準化レースからは脱落している
LTEは現在世界標準となっているGSM方式の流れをくむ方式で、3GPPの中で規格が定義されている。GSMからW-CDMA、そしてLTEという系譜だ。一方で日米韓を中心に、2G携帯電話でCDMA技術を採用したネットワークインフラが存在する。2GのCDMA、3GのCDMA2000という形で規格が発展し、4G世代に向けてはUMB(Ultra Mobile Broadband)という規格を国際標準とすべく動いていた。UMBは3GPP2という規格団体で仕様策定やプロモーションが進められていたが、CDMA方式を採用する世界最大の携帯電話キャリアの1つである米ベライゾン・ワイヤレスがLTEの正式採用を発表し、日本のCDMAキャリアであるKDDIは中立の姿勢を示すなど、内部分裂が進行。こうした経緯からCDMA技術の開発者であり、中心ベンダーであった米クアルコムが2008年11月に規格からの撤退を発表するに至った。こうした経緯もあり、4GにおけるITM-Advancedの覇権争いは事実上LTEとWiMAXの2本に絞られた。
写真2 米ネバダ州ラスベガスで4月に開催されたCTIA Wireless会場で講演する米ベライゾン・コミュニケーションズ会長兼CEOのイワン・セイデンバーグ氏。2009年末でのLTE試験サービス開始を宣言しつつ、携帯普及率500%というさらに携帯やデータ通信が身近になった世界について構想を語る
LTEでは802.11nやWiMAX同様、1チャネルを20MHzとするMIMOで高速通信を実現する。変調方式も前2者同様に下りにはOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、上りにはSC-FDMA(Single Carrier-Frequency Division Multiple Access)を採用し、4×4のMIMOで370Mbps、2×2で170Mbpsの下りアクセスを実現する。携帯電話のネットワークとしては電波の利用効率が非常に高いのが特徴で、基地局あたりの収容可能ユーザー数は従来比10倍以上といわれている。高速通信を実現するとともに、投資効率が高いというのが携帯電話キャリアにとっての魅力のようだ。
前述のように携帯キャリアではLTE採用を表明するケースが多く、世界中の大手キャリアのほとんどが4GシステムとしてLTE採用を決定している。日本でもNTTドコモやソフトバンクモバイルがすでにLTE採用を表明してフィールド実験を開始しているほか、中立の立場を取っていたKDDIもUMBの国際標準化断念を受けてLTE採用を正式に発表した。
だがLTEの正式商用サービス開始は2011年または2012年以降の見込みとなるなど、本格的普及にはまだまだ時間が見込まれる。そのため、“つなぎ”的な意味合いを込めて現実的な解としてWiMAXサービスを展開するキャリアもある。先日WiMAXサービスを開始したUQコミュニケーションズが典型的な例で、同社はKDDIの子会社であり、KDDI本体ではLTEのインフラ整備を進めるとともに、ブロードバンド接続を必要とする恒常的なユーザー需要を取り込むべく別途サービスを提供する形態を採っている。
このほか、WiMAXを主要サービスとして展開するのは既存の携帯電話キャリアとは異なる独立系ベンダーであることも多いようだ。米国ではWiMAX専業ベンダーとしてクリアワイヤという企業が設立され、全米にWiMAXインフラ構築を進めている。米国では同国第3位の携帯キャリアであるスプリントがWiMAXサービスを展開していたが、投資効率を最大化するためにクリアワイヤとの提携を発表。最終的にはスプリントのWiMAX関連資産を同社へと売却することで、統一ブランド「Clear」によるWiMAXサービスを全米展開することで合意した。
なお、現在Clearは、Mobile WiMAXサービスを米オレゴン州ポートランドと米メリーランド州ボルチモアの2都市で先行展開している。
まだまだある第3の無線ネットワーク規格
異なる媒体でのパケット転送を定義するIEEE802には、EthernetのIEEE802.3のほか、無線LANのIEEE802.11、Bluetoothなどによる近距離ネットワーク(WPAN:Wireless Personal Area Network)を定義するIEEE802.15、WiMAXなどのWMANを定義するIEEE802.16などがある。だがこのほかにもさまざまな伝送方式の標準が検討されており、特に無線を使った通信に関しては「IEEE 802.20」「IEEE802.22」という規格が存在する(表4)。
表4 IEEE 802の主要なワーキンググループ一覧。無線関連のインフラ規格が最近になり増えていることがわかる
IEEE802.20はMobile Broadband Wireless Access(MBWA)とも呼ばれ、その名の通りモバイル環境でのブロードバンド無線通信を実現することが目標だ。携帯電話のネットワークが音声通話を中心としたもので、あくまでデータ通信はインフラ活用方法の1つという位置付けなのに対し、IEEE802.20ではデータ通信のためのIPインフラを前提として定義している点で異なる。IEEE802.20では、1Mbps以上の通信速度を高速移動中(たとえば200km/h以上)でも実現し、ローミングや高速ハンドオーバーをサポートすること、3.5GHz以下の周波数帯を使用することが仕様として定義されている。データ通信前提のインフラということでWiMAXなどに類似する部分があるが、屋外での高速移動をサポートするという点で携帯ネットワークとWiMAXの中間に位置するような規格といえるかもしれない。現在は標準が承認されたばかりの段階であり、今後の展開はまだまだ未知数だ。
もう一方のIEEE802.22はWireless Regional Area Network(WRAN)と呼ばれる規格で、「ホワイトスペース」と呼ばれる電波の空き帯域を使って地域のブロードバンド通信網を整備するのが狙いだ。
米国におけるホワイトスペースとはTVの送信波であるUHF/VHFの空き領域である54~862MHz帯であり、この部分の空き領域をうまく活用して各地域ごとの無線ネットワーク環境(WRAN)を整備する。地域ごとに電波の活用状況は異なるため、デジタル化移行と合わせて効率化された帯域と組み合わせてネットワーク整備に利用するのがWRANの特徴となる。
IEEE802.22では1つのベースステーション(BS)に複数の家庭/オフィス向け送受信装置(CPE)がぶら下がる形となり、いわゆるラストワンマイルを無線通信で実現するものとなる。TVの1チャンネルあたりの最大ビットレートは20Mbps程度で、伝送距離は30km以下とされ、WiMAXほどではないがある程度の通信帯域の確保が可能になる。用途としては携帯やWiMAXなどの無線通信網を補完する第3のネットワーク的な活用法のほか、地方でのインフラ整備などで利用が考えられる。
2009~2010年のネットワーク標準化と商用化の狭間で
このように、今年から来年にかけて一気にネットワーク関連の新技術が市場に投入されることになりそうだ。金融危機によるIT投資抑制や消費減退傾向こそあれ、将来を見越した先行投資はつねに存在するため、ベンダーにとっては今後も段階的な需要が見込めるだろう。特にエンドユーザーにとっては新技術を投入したブロードバンド環境が近いうちに利用できることを意味しており、非常に楽しみでもある。
こうした状況下でいつも出てくる問題が標準化と商用化のタイミングだ。相互接続性が重要なネットワーク機器にとって、ドラフトの内容がすべて盛り込まれた標準への準拠はもっとも効果的なセールスポイントとなる。一方で標準化を待つことで最終に近いドラフト登場から製品の市場投入まで半年から1年単位で遅れることになり、これが商機を逃す可能性にもつながる。こうしたなか、Ethernetや無線LANなどでは標準化に先行して製品を投入するケースが非常に多い。
また2010年夏に標準化が見込まれる40GbE/100GbEだが、ジュニパーネットワークスやエクストリームネットワークスなどのベンダーでは標準化に先行する形で対応製品投入を表明している。市場投入済みのルータやスイッチのバックプレーンはすでに40GbE/100GbEに耐えられるだけの容量を持っており、モジュールのリリースで新規格をサポートする形だ。最終のDraft 3.0がベースとなるため、最終版との仕様上の差異はほとんどないと思われるが、もしものケースではファームウェアの書き換えで対応する予定だとみられる。標準化まで製品をリリースしない最大手のシスコシステムズとの違いは、こうしたビジネスチャンスの捉え方の差に表われているといえる。
規格の標準化までには長い年月が必要となることもあり、必ずしも適時ユーザーのニーズをキャッチアップできるとは限らない。標準化団体やベンダー各社もこのことを理解しており、完全な標準化の前にドラフト版の仕様をベースにした段階的な製品リリースを行なうケースが最近ではよく見られる。
たとえば無線LANセキュリティ規格のIEEE802.11iでは、WPA、WPA2と2段階に渡る実装を行なってきた。技術の進歩は日進月歩であり、最近では新技術のテストや早期の普及を図るためにかなり早い段階で積極的に市場に投入されるケースが多い。こうした傾向は、今後より顕著になってくるのかもしれない。
筆者紹介:鈴木淳也(すずき じゅんや)
サンフランシスコを拠点にIT関連の話題を追いかけるフリーランスジャーナリスト。情報サイト@IT(現ITmedia)の立ち上げに参画、2002年に独立して現在に至る。