60GHz帯はUWB技術の二の舞となるか
無線通信業界のほかの多くの団体と同様に、Bluetooth SIGは、将来Bluetoothで利用する高速無線通信技術の候補として、60GHz帯に関心を寄せている。しかし、60GHz帯には、すでに2つの業界団体が注目しており、それぞれ独自に仕様策定を進めている。60GHz帯も、かつて複数の業界団体が対立して混乱に陥ったUWB技術と同じ末路をたどる可能性がある。
http://www.eetimes.jp/news/3481
60GHz帯に注目する業界団体の1つである「WirelessHD Consortium」は、セットトップ・ボックスからデジタル・テレビに、非圧縮の高品位(HD)映像を送信する技術仕様「WirelessHD」の第1版を策定済みである。新興企業である米SiBEAM社が技術仕様に準拠した無線チップを提供しており、すでにパナソニックなどが採用した。
加えて2009年初めには、「Wireless Gigabit(WiGig) Alliance」という業界団体が新たに発足した。無線LANチップや無線LANシステムの大手ベンダーが支援している。WirelessHD規格が対象とする用途を含めた、さらに広範な利用シーンを狙って技術仕様の策定を進めている。
振り返れば、UWB技術を巡って、IEEEの内外で多くの企業が対立していた。このことが、UWB技術の導入が遅れた要因のひとつだった。Bluetooth SIGのFoley氏は、「競合する2つの陣営を作って失敗してしまったUWB技術から、少しでも何か教訓を得てほしいと思う。2つの陣営を作ってしまったことが、UWB技術が成功を収めていない理由のひとつだからだ」と述べている。かつて、UWB技術の規格策定に関しては、WiMedia Allianceと「Multiband OFDM Alliance(MBOA)」という2つの業界団体が争いを繰り広げていた。
「2つの陣営の論争がどれだけの時間やエネルギ、資産を無駄にしたかを思い出してほしい」(同氏)
WiGig Allianceの狙いは何か
Foley氏は、「WirelessHD Consortiumは今のところうまくやっているようだ」と述べている。「技術仕様に設計上の制限を掛けなければ、最初は用途を1つに絞って、それを徐々に拡大することで、順調に発展していくだろう」(同氏)。
同氏は、WiGig Allianceに対しては、悲観的だ。WiGig Allianceには、Wi-Fi Allianceのメンバーが多く参加している。Wi-Fi Allianceでは、無線LAN規格の最新版「IEEE 802.11n」の次世代規格を策定中で、候補の1つに60GHz帯を使う「IEEE 802.11ad」が挙がっている。
「WiGig Allianceのメンバーは、真の市場が何なのかを見失ったまま、さまざまな用途を模索しているように見える。彼らの戦略が、同Allianceにどのくらいメリットをもたらすか、わたしには分からない」(同氏)。
Bluetooth SIGは、60GHz帯を使うにあたって、さまざまな側面から検討を始めたばかりだ。Foley氏は「60GHzを使った無線通信技術が、UWB技術と同じ方向に進んでいるように思われているかもしれないが、60GHz帯について非難するのは少し時期尚早だ」と説明した。
WirelessHD ConsortiumのチェアマンであるJohn Marshall氏は、「WiGig Allianceの取り組みはパソコンや携帯型電子機器間でのデータのやりとりを想定しており、WirelessHD Consortiumとは補完的であると位置付けている。WirelessHD Consortiumは、WiGig Allianceのメンバーに説明した通り、彼らとは干渉しない団体だ」と説明した。
WiGig Allianceでは、独自の技術仕様を2009年中に策定する予定である。2010年初めには、ロイヤルティ・フリーで提供する見通しだ。WiGig AllianceのチェアマンであるAli Aadri氏は、「60GHz帯を使った複数の候補を検討したものの、われわれが抱えている問題を解決する包括的な技術仕様を提供している団体は見当たらなかった」と述べた。
ある大手システム会社の技術マネジャーは最近、WirelessHD ConsortiumとWiGig Allianceの統合を呼びかけたという。