2万円安く長時間駆動──7万円台のCULV版「HP Pavilion Notebook PC dm3i」も捨てがたい
13.3型ワイドのディスプレイとメタルボディが特徴の日本HP「HP Pavilion Notebook PC dm3i」。高速なハイパフォーマンスモデルに続き、2万円安く、2時間余分にバッテリー駆動する「ベーシックモデル」のパフォーマンスを検証する。
http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0911/17/news030.html
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CULV版CPUを採用──2万円安く、プラス2時間のバッテリー駆動
日本HPの「HP Pavilion dm3i」シリーズ。ベーシックモデルの価格は7万9800円から より高速な9万円台か、長時間駆動の7万円台か──。新しいPCを購入しようと考えた時、想定予算内でどの仕様のPCにするか、どんな構成にするか、こんな悩ましいプロセスもPCを購入する楽しみの1つである。
今回は、標準電圧版Core 2 Duo SP9300と外部GPUのGeForce G105Mを搭載する「HP Pavilion Notebook PC dm3i ハイパフォーマンスモデル」(レビュー:「CULVでは物足りない──それなら、標準電圧版CPU+外部GPUの「HP Pavilion Notebook PC dm3i」はどう?」を参照)に続き、ボディデザインは同一ながら、CULV版CPUの採用で、より安く購入できる「HP Pavilion Notebook PC dm3i ベーシックモデル」(以下、dm3i ベーシックモデル)のパフォーマンスを検証する。
dm3i ベーシックモデルは、CPUをデュアルコアのCULV版Celeron SU2300(1.2GHz)、グラフィックスをIntel GS45 Expressチップセット内蔵のIntel GMA 4500MHDとする構成で、ハイパフォーマンスモデルより2万円安い、7万9800円からという価格設定になる。ボディデザインや重量、ディスプレイのスペック、キーボードやタッチパッドの使い勝手といった外観上の仕様はdm3i ハイパフォーマンスモデルと同一で、1366×768ドット表示に対応する13.3型ワイドの液晶ディスプレイ、ヘアライン加工を施した約1.9キロのメタルボディ、縦横19ミリピッチの違和感なく入力できるキーボードなどを採用する。プリインストールOSは32ビット版のWindows 7 Home Premiumだ。
そのパフォーマンスは、CULV版CPUにより標準電圧版CPUを採用するハイパフォーマンスモデルと比べると相応に低くなると予想されるが、バッテリー駆動時間が延びる効果は大いに期待できる。出力11.1ボルト/57ワットアワー(単体重量370グラム)とdm3シリーズで共通のバッテリーを搭載するが、カタログ公称値はハイパフォーマンスモデルの約8時間に対して約2時間多い、約10時間となっている。
ヘアライン加工を施した金属素材を用いる天面と、ゆったり&カッチリのキーボード
本体右側面にDC入力、100BASE-TX対応の有線LAN、アナログRGB、HDMI出力(HDCP/音声同時出力対応)、USB 2.0×2、マルチメモリカードリーダー(SDHC対応SDメモリーカード/PRO対応メモリースティック/MMC/xDピクチャーカード。SDメモリーカード装着時は約2.5ミリ出っ張る)、イヤフォン/マイク入出力。右側面にケンジントンロックポート、排熱口、USB 2.0×2、プッシュ型無線LANオン/オフスイッチ、スライド型電源スイッチを設け、前面下部にAltec Lansing+SRSサラウンド技術を盛り込むステレオスピーカーを実装する
dm3iベーシックモデルのデバイスマネージャ画面。評価機は、HDDに日立GST「Travelstar 7K320(HTS7232232L9A360)」(2.5インチSerial ATA/320Gバイト)、メモリモジュールはHynix「HMT125S6BFR8C」(2Gバイト/PC3-8500)、Mini PCI Express型無線LANモジュールに「Atheros AR5009」(IEEE802.11a/g/n対応)を実装していた
※製品を分解/改造すると、メーカー保証は受けられなくなります。内部で使用されている部品などは編集部が使用した評価機のものであり、すべての個体にあてはまるものではありません
確かに速度はそれなり──ただ、“一般用途”では問題なし
パフォーマンステストは、dm3i ハイパフォーマンスと同じ「PCMark05」「3DMark06」「FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3」とともに、デュアルコアCPUのレンダリング性能を計る「CINEBENCH R10」、新世代のPC/3D総合ベンチマークソフト「PCMark Vantage」で計測する。
ベンチマークテスト HP Pavilion dm3iベーシックモデル(Core 2 Duo SP9300) (参考)HP Pavilion dm3iハイパフォーマンスモデル(Core 2 Duo SP9300) パフォーマンス比
PCMark05 CPU 2983 5565 53.6%
Memory 3075 5111 60.2%
Graphics 1303 3443 37.8%
HDD 5848 5628 103.9%
3DMark06 1280×768ドット 3DMarks 704 2996 23.5%
SM2.0 220 1115 19.7%
HDR/SM3.0 278 1119 24.8%
CPU Score 1077 2041 52.8%
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3 Low 1932 8665 22.3%
High 1327 5670 23.4%
Windowsエクスペリエンスインデックス(Windows 7) プロセッサ 3.8 5.7 66.7%
メモリ 4.7 5.5 85.5%
グラフィックス 3.4 4.7 72.3%
ゲーム用グラフィックス 3.3 5.6 58.9%
プライマリハードディスク 5.8 5.8 100.0%
PCMark Vantage PCMarks 2271 3856 58.9%
Memories 1604 2659 60.3%
TV and Movies Suites 1704 2765 61.6%
Gaming Suites 1480 2954 50.1%
Music Suites 2981 4700 63.4%
Communication Suites 2168 3445 62.9%
Productivity Suites 1672 3200 52.3%
HDD Test Suites 3566 3564 100.1%
CINEBENCH R10 1CPU 1254 2507 50.0%
xCPU 2332 4655 50.1%
dm3iハイパフォーマンスモデルと比較したパフォーマンス差(左) Windows エクスペリエンスインデックスの結果(右)
パフォーマンステストの結果を見ると、やはり標準電圧版Core 2 Duo SP9300と外部GPUのGeForce G105Mを搭載するdm3iハイパフォーマンスモデルより少々劣る。ゲームやハイビジョンクラスの動画再生、動画・音楽データのフォーマット変換などのエンターテインメント寄りの利用シーンにおいては他社のCULVノートPCと同様に、ある程度の割り切りは必要だ。HDDのみごくわずかに高い値だが、こちらは同じ320Gバイトの2.5インチHDD(7200rpm)で、チップセットも同様なので、誤差範囲ととらえてよいだろう。
もっとも、Webやメール、オフィスアプリケーション、ちょっとした動画再生や画像編集などの機能はそつなくこなせるので心配はいらない。余裕のある配列とカッチリと剛性感のあるキーボードとともに、よくある“一般的なビジネスコンシューマー向けPC利用”で困るシーンは少ないと思われる。
音楽データの変換処理時間を比較 dm3i ベーシックモデル
(CULV版Celeron SU2300) dm3i ハイパフォーマンスモデル
(標準電圧版Core 2 Duo SP9300) パフォーマンス比
Appleロスレス→AAC(256kbps VBR/44.10kHz) 5分34秒 2分55秒 約49.1%
※iTunes 9.0.2.25を使用
※ソースはRoutes To Riches「Mama's Gus」(全17曲)
動画データの処理時間を比較 dm3i ベーシックモデル
(CULV版Celeron SU2300) ハイパフォーマンスモデル
(標準電圧版Core 2 Duo SP9300) パフォーマンス比
フルHD/17MbpsのMPEG-2→フルHD/17MbpsのMPEG-4 AVC/H.264(AVCHD) 20分54秒 9分2秒 約43.2%
フルHD/17MbpsのMPEG-2→640×480ドット/2MbpsのMPEG-4 AVC/H.264(iPhone用設定) 8分49秒 4分7秒 約46.7%
※DVD MovieWriter Ultimate 2010(体験版)を使用
※サンプルソースは180秒(3分)のフルHD/約17MbpsのMPEG-2データ(場面遷移と動きのある実写撮影)
バッテリー駆動時間は、その分「長い」
バッテリー駆動時間 dm3iベーシックモデル (参考)dm3iハイパフォーマンスモデル
省電力モード 約7時間41分 約5時間32分
ハイパフォーマンスモード
(ディスプレイ輝度も最大) 約4時間58分 約3時間54分
※BBench 1.01/IEEE802.11gの無線LAN接続、60秒間隔でのWeb巡回×10サイト、10秒間隔でのキーストロークを行う設定で計測
では、バッテリー駆動時間はどうか。dm3iベーシックモデルのカタログ公称値は約10時間だ。
dm3i ハイパフォーマンスモデルと同様に「BBench 1.01」(海人氏作/IEEE802.11gの無線LAN、60秒間隔でのWeb巡回×10サイト、10秒間隔でのキーストロークを行う設定で実施)で計測した結果、標準の省電力モード時で約7時間41分、ハイパフォーマンスモード時(輝度最大)で約4時間58分となった。ちなみに、同条件下で計測したdm3i ハイパフォーマンスモデルのバッテリー駆動時間は省電力モード時で約5時間32分、ハイパフォーマンスモード時(輝度最大)で約3時間54分だった。
公称値の約10時間には届かないが、この結果は上々だ。7時間半以上駆動するなら、多くの場合で1日の営業時間まるまるバッテリー駆動だけで持たすことも可能であり、出張や外出機会の多いビジネスユーザーにはとくに心強いことだろう。そして、省電力モードにおいては確かにハイパフォーマンスモデルより「約2時間長く駆動する」ようである。
なお、dm3iシリーズのディスプレイはバックライトがそもそもかなり明るいので、照明を落とした暗い環境でなくても──例えば適度に明るい屋内、喫茶店やファミリーレストランなどでも、最低輝度のままおおむね運用できてしまう。ここは、バッテリー駆動時間をより長くできうるポイントの1つである。
バッテリーは11.1ボルト/57ワットアワー出力で、ボディにすっぽり収まる仕様。大容量バッテリーは用意されない。ACアダプタは116(幅)×44(奥行き)×29(高さ)ミリ/約264グラム(L字型プラグ使用時/180センチ長のプラグケーブル使用時は約391グラム)となる
発熱性や騒音レベルも優秀──熱くならず、静か
騒音レベル
暗騒音 35.7デシベル
アイドル時 36.2デシベル
CINEBENCH R10テスト+HDD内検索時 38.2デシベル
(参考)排熱口から1センチ 49.2デシベル
※ディスプレイ面から20センチ離した位置で計測
dm3iシリーズは、ハイパフォーマンスモデルにおいても意外に静かで熱くならないが、この特徴はベーシックモデルでも同じである。
駆動音は深夜のオフィスでもほとんど聞こえないほど静かだ(なお、音ではないが、HDDが駆動する振動は若干パームレストに感じる。ただ、これは個体差かもしれない)。高負荷作業時はファンの回転数がやや上がるものの、それも実利用時の体感値としては誤差程度で、キーボードを叩く音にかき消されるほどだ。なお、ファンの風切り音は本体右側面の排熱口から聞こえ、排熱口から1センチの距離で計測すると49.2デシベルとなった。
稼働中の温度
キーボード面(左/右) 28.8度/30.2度
パームレスト(左/右) 31.2度/31.6度
ボディ裏面(左/右) 35.4度/33.1度
排熱口 37.2度
(参考)机上 26.2度
※室温約27度
※高負荷テスト+HDD内検索を10分間行った後に計測
約27度の室内において、CINEBENCH R10テスト+HDD内検索を10分以上行った後に計測した各場所の温度は、キーボード面が約29度、パームレストが約31度、裏面は約35度前後となった。
発熱が少ないCULV版CPUを採用するベーシックモデルは、ハイパフォーマンスモデルより若干温度が低かった。とはいえ、dm3iシリーズは操作面の温度がそもそもそれほど上がらず、計測環境による誤差範囲と言えるほどの差だ。逆に、冬期に屋外で使うと、金属素材を用いるパームレストが“かなり冷え冷えになる”ほうが気になった。裏面はキーボード面よりやや温度が上がるが、それでも一般的な体温より低い値だ。ヒザに乗せて長時間使用する場合も、不快になるほどの熱さは感じないだろう。
「何かの専用マシン」に特化するなら、ベーシックモデルがいいのでは
dm3iシリーズは、HPの直販サイト「HP Directplus」のみで販売され、「ベーシックモデル」と「ハイパフォーマンスモデル」の2モデルを用意する(店頭販売モデルとして、AMD Congoプラットフォームモデル「HP Pavilion Notebook PC dm3a」もある)。
今回評価したベーシックモデルは、確かにパフォーマンスは標準電圧版CPUと外部GPUを搭載するハイパフォーマンスモデルに劣る。ただ、同一のボディながら2万円も安いこと(10万円以内の価格帯で2万円はかなり大きい)、そして同じバッテリーながら約2時間も長く駆動することがポイントになる。長時間+低価格か、それとも高速か、確かに悩ましいのだが、実はそれほど深く考えることもない。
いわゆるCULVノートPCは、1台ですべてをまかなう使い方ではなく、利用シーンや使い方を特化した「何かの専用マシン」として導入するのが向いている。ゲームやエンコード、動画編集といった高負荷の処理を高速にこなす性能を求めるか否か──。高機能な別のPCを所持しているなら、あるいはビジネスユーザー向けの“仕事用”とするなら、dm3iシリーズにおいてはこのベーシックモデルが向いている。この2万円の差額を利用し、Office 2007 Personalプリインストールモデルにする(ベーシック・オフィスモデル:9万9750円から)、バッテリーをもう1つオーダーする、あるいは3GやモバイルWiMAXのデータ通信端末の初期導入コストに充てるなどもおいしい購入方法の1つと言えそうだ。