【大学発ベンチャー】東京大学→セルクロス 無線LAN空間、面でデザイン
金属メッシュでサンドイッチ構造にしたシート内に電波を閉じ込めると、電波は表面に染み出るが、外には飛んでいかない。
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200909070027a.nwc
セキュリティー性が高く、電波空間をデザインできる。東京大学大学院情報理工学系研究科の篠田裕之准教授が原理を発見した技術をもとにセルクロスを設立。特許出願は国内56件、海外9件を数える。根本的な部分を押さえる「原理特許」も取得している。
製品第1号は、イトーキから2008年夏に発売された無線LANシート「LANシート」。無線LAN対応のパソコンならばシートの上に置けばインターネットなどが利用できるようになる。接続の煩わしさがなく、情報漏洩(ろうえい)の心配もないなどの利点から、すでに大分市の生涯学習施設「大分市情報学習センター」など全国百数十カ所に導入されている。
今秋からは、デザインなどを変えた自社ブランド「@CELL LAN」も電子部品商社のミカサ商事(大阪市中央区)を通じて販売する予定だ。
また、オフィス用途だけでなく、今後拡大が期待される無線ICタグ(RF-ID)市場にも参入する。無線ICタグは、生産・流通を画期的に改善するとして期待されている産業技術。従来のバーコードで行っていた個品管理が空間的に一度に扱えるという効率面だけでなく、万引の監視など棚から取り出した瞬間をキャッチできる無線LANシートのような技術も期待できる。16日から東京都江東区の東京ビッグサイトで開催される「自動認識総合展」に出展され、本格的に事業を開始する。
同社には、イトーキ、ミカサ商事、シートを製造する帝人ファイバーの協業3社も資本参加しており、手堅く事業を進める意向。同社では、リーマン・ショックから立ち直って設備投資が本格的に立ち上がるのは10年後半とみているが、09年12月期の売上高1億7000万円(予定)を12年12月期には23億円程度にまで引き上げる計画。13年ごろの上場に向けての準備も進めている。
「ワイヤレス給電」という未知の可能性がある技術を持っているのがベンチャーとしての魅力を高めている。シートは電磁波という形を介して、エネルギーも送れる。たとえばオフィスの壁全体をシートで覆い、センサーを散らばらせることで、照明や空調などを最適、省エネにコントロールすることが可能だし、ユビキタス社会を実現する全く新しい生活環境を創出するかもしれない。
出力を高めると、微弱だが空間にも電磁波が飛び出るため総務省による認証が必要となる。現在、同省のプロジェクト「新たな通信媒体を利用したサーフェイス通信技術の研究開発」(08~12年度)として、東大、セルクロス、帝人ファイバー、NEC、NECエンジニアリングの5者が安全性など、夢の実現に向けて研究を進めている。(原田成樹)
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清松哲郎
【会社概要】セルクロス
▽設立=2002年10月
▽社長=清松哲郎
▽本社=東京都文京区本郷7の3の1 東京大学アントレプレナープラザ204
▽資本金=1億6620万円(09年8月末)
▽社員数=10人(同)
▽事業内容=2次元通信を使った通信関連機器の設計、製造、販売