iPhoneにワンセグ番組を無線で転送! GV-SC310
iPhoneでワンセグを見る方法といえば、ソフトバンクモバイルが販売している「TV&バッテリー」を使うのが一般的だろう(関連記事)。事前に設定しておくことで、「TV&バッテリー」で受信したワンセグ放送を無線LANでiPhoneに配信して番組を楽しめるという製品だ。
http://ascii.jp/elem/000/000/451/451983/
ただこの場合は、ワンセグを見るために「TV&バッテリー」を持ち運ぶ必要がある。「これ以上、細かいモノをカバンの中に増やしたくない」という人なら、できればiPhone単体でテレビ番組を見られたほうが嬉しいだろう。
そこで注目したいのが、アイ・オー・データ機器から登場した「SEG CLIP GV-SC310」である(関連記事)。コイツは、パソコンで録画した番組を転送して、iPhone単体で見られるという代物だ。しかも「TV&バッテリー」はiPhoneのみの対応だが、こちらはiPod touchでも利用できる。
手のひらサイズのGV-SC310
一体、その仕組みや使い勝手はどうなっているのか。8月下旬の発売を前に、テスト機を借りることができたので、そのレポートをお届けしよう。なお、GV-SC310の対応OSはWindows Vista/XPで、残念ながらMac OS Xでは使えない。
無線でダビングできちゃうんです!
GV-SC310の特徴は、何といっても無線でiPhoneにデータを転送できるという点。しかも、パソコンを使わずに、iPhoneだけでダビングを指示できる。
GV-SC310自体はパソコン用のUSBワンセグ・チューナーで、Windowsマシンにこれを差すことで、ワンセグの試聴と録画が可能になる。
さらにiPhone/iPod touchにマキエンタープライズのテレビアプリ「TVPlayer」(価格は無料、iTunes Storeで見る)をインストールしておけば、パソコンの番組を転送して見られる。
もちろんこの方式では、放送中の番組をiPhone/iPod touchで視聴することはできない。向いているのは、番組を「録り貯め」しておき、空いた時間に出先で見るというスタイルだろう。
例えば、深夜番組をパソコンで録画しておき、朝起きて身支度しているときにiPhone/iPod touchに転送。通勤・通学の行き帰りに見る、というシチュエーションが想像できる。
そこでポイントになるのが、録画予約の扱いやすさと転送にかかる手間と時間だ。今回はその点を特にチェックしたいと思う。その前にまずは、外観というかハードウェアを写真でみていこう。
ロッド型アンテナを装着してPCのUSB端子に装着。USBメモリーと同程度のサイズだ ケーブル長3mの外部アンテナも付属。アンテナ底面には磁石が仕込まれていて適当な場所にくっつけられる
F型コネクタ変換ケーブル(これも付属)を装着して一般的なアンテナ・ケーブルをつなぎ…… ケーブルの反対側を自宅アンテナの壁面端子に接続すれば、ワンセグの電波が弱い部屋でも視聴・録画できる
スタンバイからの録画もOK
それでは、パソコン側の録画を順を追って見ていこう。パソコンでの視聴と録画には付属ソフト「SEG CLIP」を使う。付属のCD-ROMからインストールしよう。
SEG CLIPは、インターフェースがシンプルにまとめられており、基本的な使い方は「見ての通り」という感じだ。特にマニュアルを読まなくても、使っているうちに操作が分かってくる。もちろんヘルプも用意しているので、分からない点があれば確認できる。
ウィンドウ左下のボタンでアドバンスモードに切り替わり、視聴中チャンネルの番組表なども表示されるようになる
※以下、テレビ画面が写っている図版にはモザイクがかかっています。
付属ソフトをインストールすると、デスクトップに「テレビ番組表」のショートカットが用意される。それをダブルクリックするとウェブブラウザーが起動して、インターネット番組表のiEPGサイトが開く。録画したい番組を見つけたら、テレビ欄の「iEPG」ボタンをクリックしよう。
各番組の枠の下の方に用意されている「iEPG」ボタンをクリックすると自動的に、予約設定ウィンドウが開く
繰り返し録画も用意されているので、「毎週、金曜日の25時から録画」や「毎週月〜金曜日の11時から録画」といった予約もできる。連ドラやアニメ、帯番組への対応もばっちりということだ。
「継続予約」の欄で「毎週」を選択、あとは曜日を指定する。連ドラなどで最終回の日付がわかっているなら「有効期限」の設定も活用しよう
録画予約の確認、録画した番組の一覧表示と再生は、タスクトレイの右クリックなどから呼び出せる「SEG CLIP infoBox」で実行する。
予約一覧画面。予約内容の変更や削除は、ここから実行する
ライブラリ画面。録画済み番組のサムネイルが一覧表示され(リスト表示も可能)、ここから選択して再生/削除する
パソコンでの予約録画が実用的かどうかは、「スタンバイ状態からでも予約録画が実行されるか」という点が重要だ。ずっとパソコンを起動していなければ録画できないのでは、電気代がかさんでしまう。その点、本製品はヘルプに以下の条件を満たしていればOKと明記されているので安心だ。
電源を切るのではなくスリープや休止状態にする
その際にログイン画面が表示されないようにする
「コンピュータのロック」をしない
GV-SC310をパソコン本体から抜かない
またSEG CLIPはタスクトレイ常駐型なので、ソフト本体をいちいち起動させておく必要もない。録画終了後にスタンバイに戻る設定も用意されているので、そちらも併用すると省エネな環境を実現できる。
ダビング時間は環境に左右される!?
ではいよいよ、録画した番組をiPhone/iPod touchにダビングする。
何はともあれApp Storeから「TVPlayer」をダウンロードしてiPhone/iPod touchにインストールしておくこと。パソコン側では、SEG CLIPを起動していなくても、タスクトレイに常駐していればOKだ。加えて、パソコンとiPhone/iPod touchを同じ無線LANアクセスポイントにつなぐことも条件だ。
ここまで設定しておけば、以降はiPhone/iPod touch側(TVPlayer)から操作できる。画面で流れを説明していこう。
TVPlayerを起動して右上の「+」ボタンをタップ サーバー=パソコン側がリストアップされる。待ち受け状態が整っていれば「利用可能」になっているので、タップして選択
パソコンに録画してある番組がリストアップされる。ダビングしたい番組にチェックを入れて(複数選択可)「ダビング開始」ボタンをタップすると、転送が始まる
ダビングが完了した番組はTVPlayerのトップ画面に表示される。タップして再生開始!
再生中。画面をタップするとコントローラーなどが表示される
サーバー接続に特別な手続きも必要なく(AppleのBonjourというプロトコルを用いることでこの部分を自動化しているようだ)、作業開始からダビング開始まで慣れれば30秒もかからない。なおこの機能はいわゆる「ダビング10」の仕組みを利用しており、iPhone/iPod touchへの転送でもダビング回数が1回分消費される。
さてダビングにかかる時間だが、マキエンタープライズのサイトには、30分の録画データの転送を1分40秒で完了という測定例が掲載されている(60分だと3分30秒)。ダビング時間はパソコン本体の処理能力と無線の接続環境に左右されるとのこと。ちなみにメーカーの検証環境は、Core2 Duo 2.0 GHz + IEEE802.11bだ。
試しにIEEE 802.11b/gの無線LANアクセスポイントを使い、MacBook Pro(Core 2 Duo T9400 2.53GHz)+ Windows Vista SP1の環境で30分番組をダビングしてみたところ1分10秒前後で終わった。一方で、Eee PC 1000HE(Atom N280 1.6GHz)+ Windows XP SP3では、同じ30分番組でも7分30秒前後と多少長くなってしまった(いずれも3回計測)。
Atomを採用したネットブックを「母艦」にした場合はややコピーに時間がかかってしまうため、より快適に使いたいときはスペックが高めのマシンを用意しておくといいだろう。手順は簡単だし、Core 2 Duoのマシンではダビング速度も十分に速い。総合的に見れば快適といえる。
通勤・通学のお供にピッタリ
SEG CLIPにはほかに、プレイステーション・ポータブル(PSP)やケータイ向けに番組をメモリーカードに書き出す機能も用意されているが、iPhone/iPod touchへの無線ダビングの方が、メモリーカード抜き差しという物理的な手間も要らず、明らかに気軽で効率もいい。
そういうわけなので、例えばiPhoneとPSPの両方を持ち歩いているユーザーでも、iPhoneへのダビングの方がおすすめだ。まあPSPの場合は、PSP+専用ワンセグチューナーを使うのが普通だろうが……。
結論としては、「ワンセグのリアルタイム視聴にはこだわらない」「通勤・通学の空き時間を録画番組の消化で有意義に過ごしたい」という、iPhone/iPod touchユーザーにぜひ注目してほしいアイテムだ。GV-SC310は6300円という価格なので、「iPhoneに乗り換えて余ったiPod touchを活用したい」という人も買いやすいだろう。
「TV&バッテリー」はリアルタイム視聴ができるが、地下やビルの中で電波状況が悪くてテレビが見られない可能性もある。SEG CLIPなら録画したデータを再生しているだけなので、そうした心配もない。また、日本のiTunes Storeはアメリカと違ってテレビ番組を売っていない。その間隙を突く、好製品といえるだろう。