[2005年]携帯や無線LANで新規参入,KDDIは東京電力とタッグ組む
異端児ともいえる2人の経営者が2005年の通信業界をかき回した。ソフトバンクの孫正義社長と,ライブドアの堀江貴文社長である。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090728/334587/
総合通信事業者を目指す当時のソフトバンクにとって,唯一カバーしていない領域が移動体通信だった。2004年8月に総務省が発表した800MHz帯の再編計画に対し,孫社長は「我々も800MHz帯での参入を希望していたのに,事業者がNTTドコモとKDDIに既に決まっている」と不服を訴え,総務省に行政訴訟を起こしていた。
2005年1月に入ると,総務省は参入の可否を議論する会合で「技術的な問題で800MHz帯の新規参入は認めない」とソフトバンクの要求を拒否した。
これを受けてソフトバンクは,即座に方針を切り替えた。新たに総務省が割り当てを予定していた1.7GHz帯への参入を申請したのだ。NTTドコモなど既存の事業者も希望したが,総務省は6月に新規の事業者2社へ1.7GHz帯を割り当てると方針を公表。11月にはソフトバンクとイー・アクセスが1.7GHz帯の免許認定を受けた。
公衆無線LANでYahoo!を目指す
一方のライブドアの堀江貴文社長は6月,月額525円と格安の公衆無線LANサービスを発表。記者会見で「ソフトバンクがYahoo! BBでブロードバンドを広めたように,ライブドアは公衆無線LANを広める」と宣言した。
ライブドアは7月から東京の新宿や六本木周辺で試験サービスを開始した。パワードコムの支援を受け,10月の本サービス開始時点で無線LANアクセス・ポイントを約2200台,2006年3月には東京に6200台,2006年末には1都8県で6万台の基地局を展開する予定だった。IT企業の買収を繰り返し,急激な勢いで拡大していた当時のライブドアらしい強気の事業計画だった。
ライブドアに刺激され,公衆無線LANサービスを提供していたNTTグループも,サービスを強化した。7月にNTT東西とNTTドコモがサービスのインフラ統合を発表。8月にはNTTブロードバンドプラットフォームが「つくばエクスプレス」車内で公衆無線LANサービスの提供を始めた。9月には,NTT東西がアクセス・ポイントの増強を発表し,2005年末までに3500台から9500台に増やすと発表した。
東電とKDDI連合でNTT対抗
固定通信では,KDDIと東京電力が10月に発表した包括提携が話題となった。2006年1月以降に東電の子会社パワードコムをKDDIが合併。FTTH事業では,KDDIと東電の光ファイバ網を統合する方針を示した。発表会見でKDDIの小野寺正社長は「NTTグループに対抗しうる企業グループを形成する」と提携に込めた決意を表した。
2005年夏の時点でKDDIと東京電力のFTTHユーザーを合計すると約30万人。これに対して,全国規模のFTTH網を持つ東西NTTは200万人以上と大差があった。東電とKDDIの提携についてNTT持ち株会社の和田紀夫社長は「シナジー効果を目指した連合が出てきているが,惑わされず中期経営戦略を進める」と,2010年に光ユーザー3000万回線という目標を継続する考えを改めて示した。
(松元 英樹=日経コミュニケーション) [2009/08/03]