単体で無線LANアクセスポイントになる ケータイ登場!
つい1年程前に、携帯の回線とセットで、場所を選ばずに無線LANアクセスポイントになるツールが登場し、その後いくつかの種類が選べるようになった。ウィルコムの「どこでもWi-Fi」などの人気製品も登場している。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090605/158263/
昨年の秋頃、同種の製品を担当している方に取材した際に「近い将来携帯電話にアクセスポイントが入るのではないですか?」と、余談で聞いてみたことがある。「技術的には十分可能ですが、サイズや電池の問題があるのでしばらく先になるでしょう」という答えだった。
ところが驚いたことに、ドコモの夏モデルに単体で無線LANアクセスポイントになる機種が登場したではないか! 技術の進化は、なんと早いのだろう。
[画像のクリックで拡大表示] 早速、最新モデルの「N-06A」を借りて試してみることにした。今回は、電話機そのものの機能についてはほとんど触れないのでご了承いただきたい。
さて、手元に届いたN-06Aは、見た目・サイズともに普通の携帯電話である。特に大きなわけではないが、最近よく見かけるスリムなタイプではない。スーツのポケットに入れると、若干ふくらみが気になりそうだ。
ドコモの携帯電話はいくつかのモデルに分かれているが、フル機能の端末が揃う「PRIME」シリーズに属している。810万画素のカメラやワンセグに対応し、キーによる操作に加えて、タッチパネルも使える。使いこなすのが大変なほどの、機能てんこ盛り端末だ。
設定は簡単だ
では早速、「アクセスポイントモード」でWi-Fi機器を接続してみよう。利用に当たっては、まず、mopera Uの契約が必要になる。
アクセス先に応じた設定が可能なのだが、初期設定はmopera Uが登録されており、特に何も意識せずに接続できる。デスクトップのアイコンで「アクセスポイントモード」を選択して、「接続開始」をタップすればよい。これで、携帯側の設定は完了で、接続待ちになる。
普通に使っている限り、カスタマイズするのはセキュリティーと接続待ち時間の変更程度だろう。待ち時間は、一定時間操作がないと、自動的にアクセスポイントモードが終了する時間を決めるのだ。
僕が借りた端末はセキュリティーが設定されていなかったが、外出先で使うケースが多いので、WEPキーなどを設定しておいた方が安心だ。N-06A側で入力したセキュリティーキーをパソコン側でも入力すればよいので簡単だ。
対応している通信規格は、IEEE802.11b/gだ。最近主流の規格なので、この2つに対応していれば、ほぼすべての機器が利用できるだろう。
アクセスポイントモードでは、セキュリティーなどの設定が可能だ。
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設定は、パソコンで無線LAN親機をセッティングした経験があれば、さほど難しくない。
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パソコンからもごく普通に使える
パソコンからの操作は、普通のアクセスポイントに接続するのと何ら変わらない。ワイヤレスネットワーク接続に「N06A0006」と表示されるので、普通の無線LANへの接続と同様だ。
また、iPhoneでも接続してみたが、こちらも特に苦労することなく、普通に利用できた。当然ながら、携帯本体とパソコンの距離が離れると電波が弱くなるわけだが、普通の場面であえて離れて使うケースはないだろう。
僕のテストでは、20~30センチ離した状態と、2メートルほど離した比較での差は感じられなかった。だが、隣の部屋に移動すると、やはり電波が弱くなって通信速度が落ちる。
もし、部屋のテーブルの位置が電波が悪く、窓際ならバーが3本立つような環境なら、携帯本体を窓際に、パソコンをテーブルに置いて作業すると良いだろう。
どちらにしろ、一般的な無線LAN親機と比較しても、さほど電波が弱いとは感じられないのは立派だ。まあ、鞄やポケットに入れて置いて使うならまったく問題ないだろう。
パソコンから接続した。この画面はセキュリティを設定していない状態だ。
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iPhoneからも、簡単に利用できる。無線LAN対応のデジカメなどからも使えるだろう。
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実用度はいかに!
残念ながら、通信速度は立派とは言い難く、僕の事務所で試した限りでは、0.2Mbps程度でしか通信できなかった。イーモバイルやドコモの通信アダプターでは、1~2Mbpsが普通なので、速度的には見劣りする。
また、電池の持ちもかなり心配だ。短時間のテストだが、20~30分で携帯本体の電池バーが1つ減った。全部でバーは5本あるので、1時間程度の利用がせいぜいだと考えるべきだろう。電池を使い切ると、携帯電話として機能しなくなるのが困る。
普段はこのように、待ち受け画面のアイコンをタップするだけで使える。
[画像のクリックで拡大表示] さらに、制限事項もあって、接続できる機器は1台に限られている。同僚と2台のパソコンをつなごうと思っても、同時には利用できないのだ。また、通信中にはFOMAの着信以外のほとんどの操作ができなくなる点も注意が必要だ。
当然ながら、パケット通信料金もそれなりにかかる。Wi-Fiアクセスポイントとして利用中には、パソコンで接続している時と同様の費用がかかり、パケ・ホーダイ・ダブルの場合は、月額1万3650円だ。
とても便利なのだが、やはりメインのモバイル通信として考えるには、若干物足りない点もある。他のキャリアで通信している人が、通話用にドコモの携帯を購入して、たまに使う程度が頃合いだろう。例えば、iPod touchなどの端末を仕事に活かしたいと考えている人には、とても役立ちそうだ。僕も回線契約を切ってしまったスマートフォンが何台もあるのだが、N-06Aと一緒に持ち歩けば、無線LANで使えてしまうわけだ。
戸田覚(とだ・さとる)
1963年東京都出身。ビジネス書作家。株式会社アバンギャルド/株式会社戸田覚事務所 代表取締役 雑誌連載多数、テレビ・ラジオ出演、講演、セミナー等で広く活躍中。著書累計80冊以上。「あのヒット商品のナマ企画書が見たい!」(ダイヤモンド社)が近著。近況はブログにて。