高度な管理ソリューションでフル無線ネットワークへ──メルーCEO
無線LAN市場は落ち込むもメルーは50%成長。教育・医療・ホテル分野で大幅な伸び
(2009年06月15日)
http://www.computerworld.jp/news/mw/150629.html
企業向け無線LANベンダーの米国Meru Networksは2007年からIEEE 802.11n(ドラフト)に準拠した無線LAN製品を提供している。当初は、米国の大学など教育機関が中心となって導入が進んでいたが、2008年中程から医療やホテル、そして一般企業でも導入事例が目立つようになってきたとのことだ。
米国Meru Networks社長兼CEO イハブ・アブー・ハキマ(Ihab Abu-Hakima)氏
しかし、802.11n規格はいまだにドラフト2.0段階だ。正式策定は2009年9月ごろとされていたが、再度延長される可能性もあるという。今後市場はどのように変化していくのだろうか。メルーの社長兼CEOを務めるイハブ・アブー・ハキマ(Ihab Abu-Hakima)氏に、無線LAN市場の動向と今後の予測について話を伺った。
──企業向け802.11n市場の状況は
調査によると、802.11nに対応するデバイスは2009年で3億台にのぼり、今後3年で1.5倍に増加すると見込まれている。非常に大きなマーケットであることは疑いようがない。
だが不況の影響もあり、無線LAN市場全体としては落ち込んでいると言わざるを得ないのが現状だ。しかし、その中で当社は、2007年から2008年にかけて50%の伸び率を達成した。2007年に802.11nドラフト準拠製品を市場に投入し、当初は大学などの教育機関を中心に導入を進めていたが、2008年中ごろから医療やホテルなどでの導入が増え始め、一般企業でも事例が出始めている。
802.11nの300Mbpsは、現在FastEthernet(100Mbps)で稼働しているアプリケーションを配信するのに十分な帯域幅である。また、増え続けるデバイスを有線LANでカバーしようとすると、一般的な無線LANシステムでもコストは2倍以上、当社の無線LAN製品と比較すれば5倍にもなる。2008年中ごろから、各組織の担当者がこうしたことに気づき始めたようだ。
当社が大幅な成長を遂げることができたのは、当社製品のメリットをユーザーが理解してくれて、有効な事例としてほかのユーザーに紹介してくれたこと──つまり「口コミ」が大きく影響したと感じている。特別なマーケティングを実施したわけではない。当社の持つ純粋な技術力・サポート力が、市場に認められたのだ。
──技術の優位点とは
無線LAN市場には3つのタイプのユーザーが存在すると思う。まず1つ目の無線を導入しないというユーザーについては、コメントを省略しよう。顧客となる可能性があるのは、「一部分に無線を導入したい」ユーザーと「すべてを無線にしたい」ユーザーに大分される。このうちメルーが得意とするのが、完全な無線ネットワークを欲しているユーザーだ。
当社の無線LAN製品群は、「展開」→「運用」→「メンテナンス」→「拡張」と流れる無線LANのライフサイクルを考慮している。さらに各項目では、「展開のシンプルさ」「予測可能で確実な運用」「容易なメンテナンス」「低コストな拡張」という特徴を出すことを重視している。これが、完全な無線ネットワークを構築する際の大きな強みとなる。
最新のテクノロジーとしては「Virtual Port」をあげられる。2008年に当社は「Virtual Cell」という技術を発表したが、これは複数のアクセス・ポイント(AP)をあたかも1つのAPとして扱えるようにする機能であった。Virtual Portは、こうして統合されたCellに対して、スイッチング・ポートのようなものを仮想的に構成する機能である。従来のVirtual Cellは、言うなればシェアド・ハブのようなもので、有線LANでよく活用されるポート単位の管理が不可能であった。Virtual Portを用いれば、ロケーションを選ばない無線LANでありながら、柔軟なスイッチ・ライクの管理を実現することができる。
また、メルーでは従来から無線通信の可視化技術の開発を続けていたが、近々これを活用した管理ソリューションを発表できるだろう。この管理ソリューションの特徴はリアルタイムに通信を見える化するだけでなく、過去にさかのぼって問題を探ることができるという点だ。無線LANは、デバイスや電波の状況が刻々と変化するものであるため、ある問題点を探るのが難しい。それを解決するために、問題が発生した時点の状況を正確に再現できるようになっている。
──802.11nがなかなか策定されないことについて
当社が2007年に802.11nドラフト準拠製品を市場に投入したのは、とうぜんリスクも承知のうえだった。しかし、実際にふたを開けてみればユーザーの興味は非常に高く、その点はおどろいたが、同時にうれしく思っている。802.11nはいまだにドラフト状態ではあるが、ユーザーのデバイス数も大幅に伸びているし、それほど問題はないと考えている。