Eye-Fiカード、動画アップロード対応でどう進化するのか--Eye-Fi創立者に聞く
ブロガーを中心に、人気を博している「Eye-Fi」。2GバイトのSDタイプのカードに無線LANユニットを搭載した製品だ。デジタルカメラに差し込むと、Eye-Fiに保存された写真データを無線LANアクセスポイントを経由し、PCやオンライン写真共有サービスへと転送できるというものだ。
http://japan.cnet.com/interview/tech/story/0,2000055961,20392313,00.htm
2008年8月にアイファイジャパンが設立。同社のオンラインストアなどで購入できるようになった。最近では「mixi」への自動アップロードにも対応したほか、Eye-Fiカード対応のデジタルカメラの増加など、Eye-Fiをめぐる動きが活発になってきた。
Chief Product OfficerのYuval Koren(ユーバル コーレン)氏(左)とアイファイジャパン代表取締役の田中大祐氏(右) Eye-Fiの創立者であり、Chief Product OfficerのYuval Koren(ユーバル コーレン)氏とアイファイジャパン代表取締役の田中大祐氏に、日本での展開や「2009 International CES」で展示された動画対応などについて話しを聞いた。
- 「2009 International CES」で、技術展示されていた動画アップロード対応のEye-Fiがすでに米国で発売されていますが、日本国内での販売についてはどうでしょうか。
動画対応のEye-Fiカード コーレン:今までのEye-Fiは写真データの転送にしか対応していませんでしたが、「Share Video」という製品は動画データの転送も行えるようになりました。容量は4Gバイト(SDHC規格準拠)へと従来の2Gバイト(SD規格準拠)から増量され、まもなく日本国内でも流通する予定です。価格は調整中ですが、満足していただけるように努力中です。我々の目標とするところは、より多くの動画とより多くの写真を転送でき、また保存できる環境を作るということです。
- コンパクトデジタルカメラの動画は「AVI」「H.264(MPEG-4 AVC)」「Motion JPEG」などで保存されますが、「Share Video」の対応形式はどうなるのでしょうか?
コーレン:カメラ内で合成した動画データや編集したデータなどを含め、新規に保存されたデータであればアップロードできます。Eye-Fiの仕組みは、カード内に写真/動画データが書き込まれてはじめてアップロードができるようになります。現在、対応している形式は、写真であれば「JPEG」、動画についてはいわゆるデジタルカメラが記録するすべての動画形式で利用可能です。
(コーレン氏は動画撮影のデモを披露してくれた。Eye-Fiカードをカシオ計算機のデジタルカメラに挿入し、動画撮影を開始。撮影が終わると瞬く間に動画データが近くのPCへと転送されていく)
- 写真データと比べると、動画データはデータ量の肥大化が考えられます。先ほど撮影した数十秒の動画データの転送は想像以上に速かったのですが、動画データの転送に対応したことで、全体的な転送速度の向上が図られているのでしょうか。
コーレン:今撮影したデータの転送に関して言えば、1つはデータサイズが小さかったこと、そして転送先が近くにあったことが高速に転送できた理由となります。ハードウェアの話をすると、無線LAN機能は通信環境に依存するのでハッキリとしたことはいえませんが、データの書き込みということであれば、メモリ部分の性能が向上したことで以前のモデルと比べ高速化されています。
- 今春のカシオ計算機のコンパクトデジタルカメラでは、5機種がEye-Fiに対応しました。「対応モデル」にはどんな違いがあるのでしょうか。
コーレン:カシオ計算機の一部のカメラには“Eye-Fi連動機能”というものが搭載されています。ニコンの「D60」と「D90」で搭載した機能をさらにパワーアップさせたもので、Eye-Fiを利用している時には、画面上にいろいろな表示が行えるようになりました。たとえば、Eye-Fiを利用している際は、「Eye-Fi」というロゴが表示され一目で利用していることが確認できます。
カードが認識されると「Eye-Fi」と表示される 田中:多くの写真データや長時間の動画データを転送する際に気になるのがオートパワーオフの問題です。定期的に操作をしないとオートパワーオフにより転送が正しく行われないといった事がありましたが、Eye-Fi連動機能を搭載したモデルなら、そういった問題はありません。また、電力不足で正常に動作しないという消費電力の問題もEye-Fi用の設計がなされているので、安心して利用できます。
- 具体的にはどういった仕掛けなのでしょうか。
転送中に電源を切ろうとした時は、注意を促してくれる コーレン:まず、Eye-Fiが挿入されていることをカメラ側が検知できるようになっています。そして、カードに対して転送状態にあるかどうかの確認を行うようになりました。転送中を確認するとオートパワーオフが延長されるという仕組みです。また、転送中にユーザーが故意に電源を落とそうとすると、転送中であるという警告画面が表示されます。もちろん強制的に電源を落とすことも可能です。オートパワーオフの延長ということで、長時間にわたる転送が終わった際には自動的に電源が落ちるようなっています。
- 動画データの転送に対応したということは、SDHC/SDカードに対応するデジタルビデオカメラでも使えるのでしょうか。
コーレン:Eye-Fiのターゲットはあくまでも“デジタルカメラを使って写真・動画を撮るユーザー”です。この場合の動画とはショートムービーを前提としています。手軽に撮影したものをまるごとシェアし合うという考え方です。ところが、デジタルビデオカメラを使うユーザーというのは、録画したデータをパソコンで編集し、オリジナルムービーを作るという手間と時間をかけられる人たちだと思います。そういった意味では、Eye-Fiのターゲットとはいえません。
- 容量の問題についてはどのように考えていますか?写真データと比べれば動画データのデータ量は大きいため、4Gバイトでは心許ない気もします。
コーレン:そのことについてはまず、なぜ大容量メディアが必要なのかということを考えなくてはなりません。我々が調べたところによると、デジタルカメラを使う多くの人は、メディアの限界までデータをため込み、これ以上撮影できないというところではじめてパソコンへと保存し直すという使い方をするようです。つまり、パソコンへの保存という作業を1回で済ませたいと考え、その作業自体を先送りにしているというわけです。
ところが、Eye-Fiを利用しているユーザーというのは、平均的に1カ月に4~5回のアップロードを行っています。つまり、頻繁にパソコンやオンラインストレージ(サービス)へとバックアップしているのです。つまり、メディアの容量の大小というよりは、撮影したデータをどのようなアプローチで保存(バックアップ)するのかという使い方の問題がその根底にあるのです。
私たちは調査の結果、4Gバイトは必要十分な容量であると確信しています。というのも、こまめにデータをバックアップしてもらうことでデータの安全性を確保できるとともに、新鮮な動画をシェアするきっかけになると考えているからです。これは無線LAN機能を搭載するEye-Fiならではといえますね。
カードをデジタルカメラに差し込んだままPCに動画を転送できる --現状では公衆無線LANサービスに正式対応していませんが、その点についてはどう考えていますか。
田中:米国では「WAYPORT」というプロバイダが大きなシェアを持っており、1つのIDで多くの場所から無線LANを利用することができます。ところが日本では、多くのプロバイダがサービスを提供しており、すべてのプロバイダをサポートすることができないため、公衆無線LANサービスに対応できないというのが現状です。ただし、livedoor Wirelessが実験的に行っている「MACアドレス認証サービス」(※)が実用化されれば、公衆無線LANサービスにも対応できると思います。
※MACアドレスを元に機器の認証を行う仕組みのこと。サービスにMACアドレスを事前に登録しておくことでウェブ認証(ID、パスワードの入力)をする必要がなくなり、無線LANの送受信範囲内に入ると簡単にオンライン通信ができるようになる。
- 現在、Eye-Fi カードはアドホックモード(アクセスポイントを介さずに、パソコン同士が直接通信を行うモード)には対応していませんが、単純にパソコンへのバックアップとして利用するのであれば、アドホックに対応したほうが便利ではないですか?
コーレン:実は、米国でも同じような意見を多く受け取っています。しかし、我々が第一に考えているのはユーザーにとっていかに“わかりやすい、使いやすい製品”であるかということです。そういう意味では、「アドホック」という言葉を知っていても、実際に設定をしたことがある人はそれほど多くないのではないでしょうか。したがって、答えになるかわかりませんが、どうすれば簡単に使えるようになるのか、そしてわかりやすい使い方をどうすれば提案できるかというのを模索している段階です。
- アップロード先(オンラインサービス)の強化についてはどうでしょうか。
田中:ライブドアの「livedoor PICS」への対応もそうですが、より多くのサービスに柔軟に対応していきたいと考えています。特に今年は動画対応Eye-Fiの発売がありますから、ユーザーにとって使いやすい環境を整え、満足して頂けるように努力していきます。
また近々、ソーシャル・ネットワーキング サービスの「mixi」とオンラインパートナーシップを結びます※。mixiとは、アイファイジャパンが立ち上がる前から話をさせてもらっており、開発のうえでも全面的な協力をしてもらっていました。
Eye-Fiという製品の特性上、写真データのアップロードサービスは、写真の公開という製品内容を理解するために有効な手段ですが、写真データや情報をシェアするという意味ではmixiというサービスがもっとも製品イメージに合ったサービスと考えています。私としてもmixiで写真データのシェアリングを行うというのは必須であると考えており、今回、正式にサポートできることをうれしく思っています。
※4月21日よりリリースした。
- 現在はオンラインストアなど一部のみの販売ですが、今後、量販店などへの展開は考えていますか。
田中:「Share Video」の発売と同時に大手量販店への流通も開始します。どのような店舗で展開していくかは調整中です。
- Eye-Fiのユーザーを対象にしたサービスとしてiPhone用のアプリケーションが公開されました。今後の展開についてお聞かせください。
コーレン:日本では非常に好評でEye-Fiユーザーの全体(カード+アプリ)の比率からいうと、圧倒的に日本のユーザーに支持されています。
バージョンアップの話で言えば、まずはバグフィックスですね。細かいところを修正して完成度を高めています。iPhoneアプリの話ではなくなってしまいますが、ソフトウェアの開発という意味ではEye-Fiをもっと多くの携帯端末ユーザーに体験してもらいたいとも思っています。そこで、開発しやすい、しかもユーザー数の多いプラットフォームでの展開も考えています。まだ細かい話はできませんが期待していてください。
より多くのオンラインパートナー、より多くのカメラメーカー、ハードウェアメーカー様と協力して、Eye-Fiの魅力を体験できる環境を整備していきたいと思っています。
- ありがとうございました。