固定回線必要なし!? - UQの「WiMAX-Wi-Fiゲートウェイセット」を試す
1 ルータとUSBデータ端末のセット製品「WiMAX-Wi-Fiゲートウェイセット」
http://journal.mycom.co.jp/articles/2009/04/10/uqwimax/
UQコミュニケーションズが、モバイルWiMAXサービス「UQ WiMAX」を開始して1カ月以上が経過した。現在はまだ試験サービスの段階だが、モニター募集に加えて端末販売も行い、サービスはひとまず無事に離陸したという印象だ。現時点では東京23区内と神奈川県の横浜、川崎にサービスエリアが限られ、基本使用料もかからない状態となっている。あくまでお試しサービスという位置づけなので評価もしづらいところだが、サービスエリア内のユーザーであれば気になるサービスだろう。
ルータとUSBデータ端末をセットにした「WiMAX-Wi-Fiゲートウェイセット」
UQ WiMAXは、理論値では下り最大40Mbps、上り最大10Mbpsを実現する高速な無線ネットワークだ。現在はUSBスティック型、PCカード型など、データ通信端末が提供されており、これを利用することで高速な無線通信が可能だ。
ピンポイントの屋外ネットワークである公衆無線LANに比べてカバーする範囲が広く、携帯電話より高速大容量の通信が行える、というのがモバイルWiMAXのメリット。現時点ではカバーエリアが狭いため、その効果は限定的だが、全国を網羅するようになれば、モバイルインターネット環境が一変する能力を秘めている。
家庭のWAN回線をモバイルWiMAXで
そうした中、UQから登場したのが、「WiMAX-Wi-Fiゲートウェイセット」(OKIネットワークス製)だ。これは、USB接続型のデータ通信端末「UD01OK」と、無線LANルータ「UG01OK」をセットにした製品で、ポイントとなるのは、ルータ側の接続回線にUQ WiMAXを使用する、というところだ。
本体背面にUSBポートを備え、ここにセットのUD01OKを接続すると、WAN側の回線としてUD01OKが使われ、インターネットに接続できるようになる。LAN側は無線LAN(IEEE802.11b/g)を使い、ほかのPCをネットに接続することができる。WAN側の回線にケータイを使う製品はほかにもあり、イー・モバイルやウィルコムのデータ端末を利用できるルータが発売されている。製品としてはこれと同じものだ。
本体背面。USBとLAN端子を備える。有線LANは使わなくてもいい
このようにUSB端子にデータ端末を接続する
使い方は簡単。ルータ側のUG01OKの背面にある電源スイッチをOFFにし、背面のUSBポートにUD01OKを挿入する。あとはACアダプタを接続して電源スイッチをONにする。そのまましばらく待つと、ルータのステータスランプがオレンジから緑に変わり、UQ WiMAX回線に接続される。
ルータ側の設定は、ひとまずはこれだけ。続いて、PCを接続する。接続方法は普通の無線LANへの接続と同じだ。Windows Vistaでは、通知領域にあるネットワークアイコンをクリックし、「ネットワークに接続」を選択する。
2 「WiMAX-Wi-Fiゲートウェイセット」をセットアップ
無線LANの選択画面が立ち上がったら、説明書にあるUG01OKのSSIDを選んで「接続」をクリックする。すると「セキュリティキーまたはパスフレーズ」の入力画面になるので、これも説明書にあるWEPキーを入力する。これで接続はOKだ。
SSIDからUG01OKを選択する
WEPキーを入力。WEPキーはルータの背面に書かれているので、最初に接続したあとはすぐ変更した方がいい
当然ながらあとは通常の無線LANと扱いは同じで、ルータ側でUQ WiMAXに接続さえしていれば、特に特別な作業は必要ない。接続に成功したら、ルータの設定を変更できる。普通のルータと同様に、Webブラウザ経由で設定の変更が可能。ルータに接続しているPCから「http://192.168.1.1/」にアクセスし、指定のIDとパスワードでログインできる。
まずは、セキュリティ上の設定をしよう。無線MACアドレスとSSIDが似ているので、SSIDをそれとは無関係のものに変更しておくといい。設定画面の「無線LAN基本設定」→「SSID」で設定は変更できる。
さらに通信部分の暗号化でWEPが選択されているので、これを変更する。WEPはセキュリティ的には脆弱で、無線を解読されて内容が読み取られる危険があるからだ。どうやら一部の携帯ゲーム機でも使える設定になっているようだが、より強固なWPA対応機器だけなら、この設定は変更しておくべきだろう。同じ「無線LAN基本設定」にある「暗号・認証方式」で変更する。基本的には「WPA2-PSK(AES)」を選択するといい。さらにその下部にある「TKIP/AES設定」→「PSKキー」に任意の値を入力する。
ルータの管理画面。まずはSSIDを変更。続いて暗号方式を変更し、WEPからWPA2-PSK(AES)にする。以前はニンテンドーDSのようにWEPにのみしか対応しないゲーム機もあったが、ニンテンドーDSiでWPA2をサポートしているので、WEPしか使えない端末は少ないはずだ
これを設定すると、PCからの接続がいったん切断されるので、先ほど設定したSSIDとPSKキーを使って再びルータに接続する。WPS(Wi-Fi Protected Setup)対応の機器があれば、WPSを使って簡単に接続設定ができる。設定画面の「WPS」から機能を有効にすればいい。
さらに「インターネットセキュリティ設定」からセキュリティの設定が可能。デフォルトで「ファイアウォール」と「Windowsフィルタ」は有効になっており、これはそのままでいい。「静的フィルタリングテーブル」では、最大32件までのフィルタリングが設定可能で、特定のプロトコルの通信を通過または破棄するルールを作成できる。「NAPT/ルーティング設定」では、簡易DMZ、VPNパススルー、UPnPの設定も行える。
セキュリティの設定画面。基本的にはデフォルトのままで良さそう
必要に応じて静的フィルタリングを設定する
ほかにもファームウェアのアップデート機能やNTPサーバの設定、ログの表示機能も備えており、通常のルータと遜色ない機能を備えている。なお、1個だけだが有線LANポートも備えており、ここからデスクトップPCなどで有線接続を行うこともできる。
3 USBデータ端末「UD01OK」を外出先で試す
普通のルータは、FTTHはADSLなどのWAN回線をつなぎ、家庭内には有線・無線のLAN環境を構築するが、UD01OKは、そのWAN回線がワイヤレスのUQ WiMAXになっているというだけの違いだ。
たとえば引っ越しなどで有線のWAN回線がない場合、開通にはある程度の時間が必要だが、これがあれば、開通を待たなくてもすぐにネット接続ができるようになる。最大40Mbpsという高速な通信であれば、ADSL回線よりもむしろ速い場合もあるだろう。受信環境が良ければ、いちいち有線WAN回線を契約しなくてもネット接続が可能だ。
ちなみに、UG01OKは寸法・重量が120(W)×35(D)×90(H)mm・約150gと小型軽量のルータで、これを持ち歩いて使う、という利用方法も想定されている。また、軽量サイズを生かし、壁掛けにも対応。電波の入りやすい場所を探して設置するといいだろう。
外出先でモバイルWiMAXを使う
ルータとのセットとなる通信端末UD01OKも見てみよう。本体は手のひらサイズのUSBスティック型。USBメモリのような細く小さいものではなく、本体は少々大きめ。寸法・重量は35(W)×15(D)×74(H)mm・30g。現在UQのデータ通信端末でもっともコンパクトな「UD01SS」と比べると、縦横でそれぞれ1cm程度大きい。ただ、USB端子は回転式で本体に収納されるので、全体的にフラットなボディになっている。利用時はUSB端子を回転させる。180度回転するので、PC側のUSBポートの向きに合わせて利用できる。
USB端子は収納できる
くるっと1回転するUSB端子。PC側のUSBポートの位置などによって向きを変更できる
デバイスドライバやユーティリティソフトは本体内に同梱され、PCに最初に接続したときに自動でインストールが開始される。基本的には画面の指示に従って、そのままインストールを行えばいい。
インストーラーは本体に同梱されており、インストールは簡単
設定するのはインストールフォルダぐらい
ただ、途中で3回、Windowsのセキュリティ警告が表示されるのはいかがなものかと思う。とはいえ、警告に対してインストールの許可をしないと利用できないので、そのままインストールを行う。最終的には再起動をすれば利用可能になる。
途中で警告が表示されるが、今回はインストールを選択する
ユーティリティソフトが常駐していれば、UD01OKをPCに接続すると自動的にユーティリティが起動する。UD01OKは、携帯電話のデータ通信端末とは異なり、モデムではなく、PC上ではLANインタフェースとして認識されるので、UD01OKがPCに認識されると、特に接続作業を行わなくても自動的に電波の確認を行い、圏内であればそのまま回線が接続される。
ユーティリティ自体には「接続」ボタンが用意されているが、明示的に切断してから再度接続する場合でなければ、このボタンを押す必要はない。UD01OKをPCにつなぐだけで、自動で接続されるので、携帯のダイヤルアップや公衆無線LANよりも手軽に利用できる点はメリットだろう。
ユーティリティは特別な機能はなく、常駐させておけばUD01OKを接続するだけで自動的に接続が行われる
4 気になるゲートウェイセットの接続速度を計測
安定すれば高速通信が可能
今回のゲートウェイセットは、外出先と自宅の回線をすべてUQ WiMAXでまかなうというサービスだ。実際にどの程度のスピードが出るか、というは気になる点だろう。
現時点では、まだ試験サービス中であり、基地局が順次増設されているところだ。まだ基地局の数が十分ではないので、23区内などのカバーエリア内であっても、十分なスピードが出ない、またはそもそもつながらない場合がある。もともと、UQ WiMAXで使われている電波の周波数2.5GHz帯は、浸透性が携帯などに比べてよくないので、屋内では接続が不安定になる場面も散見された。
筆者が住む江東区のマンションの5階の場合、東側の窓際に設置したところ、ぎりぎり接続できる、というレベルだった。
23時台にテストしたところ、1Mbps程度の通信速度だった(speed.rbbtoday.comで計測)。場所を変えてみたところ、2~4Mbpsの通信速度に向上。さらに11時台に新宿・京王プラザホテルの47階で試すと1Mbps程度。日比谷の喫茶店で16時台に試したところ3Mbpsを超えた。
また、高速移動中の通信速度も調べようと、車で首都高速に乗って王子から板橋まで走行したところ、場所によっては10Mbps以上を記録した。接続が不安定だったのはハンドオーバー性の問題かエリアの問題かは分からないが、それでも電波の強いところでは10Mbps以上の速度が出たのはさすが。ここまでの速度が出ればかなり快適だ。
PCと接続したところ。それほど小型のサイズではないが、この状態で横に倒せばキーボード入力の邪魔にはならない
接続中はランプが青く光る
このほかゲートウェイセットのメリットとしては、通信の不安定さが解消できるという点も挙げられる。本来であれば屋内でも直接データ端末をPC接続して使えばいいのだが、屋内だと電波の入り具合にムラがあるので、電波が入りやすい場所にルータを設置しておけば、より安定してUQ WiMAXのサービスを利用できるようになる、というわけだ。ルータを窓際に設置して無線LANで接続すれば、わざわざ電波が強い場所を探してPCを設置する必要がなくなる。もちろんルータとして複数のPCを同時に接続できるというのも大きなメリットだろう。
実際の利用シーンとしては、外出するときはルータから端末を抜いて持ち出し、屋外ではモバイルでUQ WiMAXを利用。帰宅したらルータに接続することで、そのまま家庭のWAN回線として利用する、という使い方になる。現時点でも、電波が十分に入るところであれば高速な通信が可能で、モバイルWiMAXの潜在能力の高さが伺える結果だった。
現在、このゲートウェイセットのモニター募集が行われており、カバーエリア内のユーザーであれば十分テストする価値がある。屋内だとなかなか入りづらい場合もあるが、窓際を探せば電波が入る可能性が高くなり、このゲートウェイセットが威力を発揮する。
すでに固定回線を持つユーザーであれば今回のゲートウェイセットを選択する理由はそれほど多くはないが、自宅にいる時間が少ない単身者などは、固定回線の代わりにUQ WiMAXを利用することは非現実的な選択ではなさそうだ。