WiMAXと新幹線無線LANに挑戦!仕事の仕方はこれで変わる!
2009年2月26日から試験サービスが開始されたUQコミュニケーションズの高速データ通信サービス「UQ WiMAX」と、3月14日からスタートした東海道新幹線の東京~新大阪間の無線LANサービス。モバイル環境での仕事が多い筆者にとってはどちらも強い味方になりそうだ。
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筆者の仕事では、記者会見後に原稿をすぐに入稿するというケースが多い。そのためモバイル環境で利用できるパソコンとネットへの接続環境や電源確保などのインフラにはかなり気を使う。
都内の主要な場所ならば、電源はすぐ確保できる。無線LANを利用できる喫茶店やファーストフード店の場所がだいたい頭に入っているからだ。新幹線の主要駅でも、電源と無線LANを確保できる「モバイルコーナー」の場所を記憶している。大阪、名古屋への出張では、モバイルコーナーに一目散に向かうこともしばしばだ。
ある種、異常とも言える感じだが仕事のためには仕方がない。
以前、本コラムでも触れたが、日本全国への出張が多いため今は、広いエリアで使えるイー・モバイルを利用している。それとは別に、通信環境の悪い僻地での取材用には、携帯電話さえつながればダイアルアップでネットに接続できる環境も整えている。
とくに、データ量の多い写真や動画を送信する際には、高速な通信環境は必須だ。原稿は入稿できたが、写真が入稿できずに掲載が遅れるということはなんとしてでも避けたい。それだけに、やはり少しでも高速なネット環境の確保には人一倍気を使っている。
この2つのサービス開始には大いに期待していたのだ。
UQ WiMAXの通信カード(NECアクセステクニカ製) (画像クリックで拡大)
車内での無線LANサービスを開始した新幹線「N700系」(画像クリックで拡大)
都内での利用シーンが増えそうなモバイルWiMAX
まず、UQコミュニケーションズのUQ WiMAXを使ってみた。
今回のモバイルWiMAXのトライアルには、ニフティの協力を得た。7月の正式サービス開始まで無料でモバイルWiMAXを利用できるトライアルモニター制度は、UQコミュニケーションズだけでなく、MVNO(仮想移動体サービス事業者)方式でサービスを提供するニフティでも募集している。
@nifty IDを持っているユーザーが対象だ。既に第1回目の募集は終了しているが、第2回の募集が4月上旬にも始まる予定だ。約30人が対象で無料で試用できる。@nifty IDを持っているユーザーは、この制度を利用してはどうだろうか(詳細はニフティのWebページで確認してほしい)。
では、下り最大40Mbps、上り最大10MbpsといわれるモバイルWiMAXの性能はどの程度なのか試してみよう。
最初に利便性を感じたのはUSBタイプのデータ通信カードをパソコンに差し込んで数クリックするだけでネットに接続できたことだ。有線LANと同じような手軽さである。
東京都千代田区の水道橋駅付近にある筆者のオフィスの室内で接続してみたところ、下り4.9Mbps、上り5.0Mbpsという結果だった。これだけの速度が出れば仕事には十分使える。
次に取材で立ち寄った東京・銀座のアップルストアに持ち込んでみた。ここでの結果は、下り0.4Mbps、上り1.7Mbpsと極端に下がってしまった。来店客が自由に使えるアップルストアの店内無線LANは、下り11.8Mbps、上り8.9Mbps。アップルストアでの取材時には、この無線LAN環境を利用させてもらうことが多いが、これからも従来通り使わせてもらった方がよさそうだ。もう一カ所、取材があった渋谷でも接続を試みた。待ち合わせスポットでもあるハチ公前という屋外で接続したところ、下りは3.9Mbps、上り1.5Mbps。まずまずの結果だ。
1週間ほど利用してみた結果、モバイルWiMAXの通信環境は、ほぼ満足できるレベルだった。山手線圏内を中心とした都心部であれば、一部の地域を除いて利用できた(筆者の場合、神保町近辺で利用できなかったのが残念)。これだけの通信環境(エリアと速度)を実現できているのは合格点。上りのスピードが比較的速かったことも、データ送信の多い筆者には魅力だ。
現在、主力で利用しているイー・モバイルからの移行は、全国をカバーできる段階になってからと考えているが、都内ではWiMAXの利用が増えそうな感じがする。
USBタイプのデータ通信カードをパソコンに差し込んで、数クリックするだけで簡単にネット接続できる(画像クリックで拡大)
今回はソニーのミニノート「VAIO type P」を使ってテストした(画像クリックで拡大)
渋谷のハチ公前で、モバイルWiMAXで接続。まずまずの結果となった(画像クリックで拡大)
速度は期待できないが、切れにくいN700系の無線LAN
続いて、東海道新幹線の車内無線LANに挑戦してみた。
無線LANの前に、新幹線車内でモバイルWiMAXを試してみた。試験サービスエリアである都内を走行中にネットに接続してみたかったからだ。東京~品川間では下り0.5Mbps、上り1.8Mbpsという結果だった。つながることは確認できたが、下りの遅さが気になる結果となった。
続いて本命の車内無線LANに接続。NTTコミュニケーションズの「ホットスポット」、NTTドコモの「Mzone」および「mopera U」、ソフトバンクテレコムの「BBモバイルポイント」、UQコミュニケーションズの「UQ Wi-Fi」の接続サービスが、高い感度で受信できるのが特徴だ。
今回は、BBモバイルポイントに接続してみた。
通信速度は、1編成あたり下り最大2Mbpsという制限がある。新横浜近辺のほか、トンネルが多くこれまでは通信をあきらめていた熱海近辺、富士山が見える新富士近辺でテストしてみた。ただいずれも、下り0.4Mbps、上り0.7Mbpsと、それほど速度は出なかった。
JR東海では「高速の回線速度を必要とする動画やデータの閲覧及びダウンロードには不適です。アクセスが集中するとつながりにくい場所もありますので、ご理解ください」と説明している。筆者が乗っていた車両を見渡してみると、ノートPCを利用しているユーザーは、数人しかいなかったので、アクセスが集中している状況ではない。やはり2Mbpsの制限ではこの程度なのだろうか。
掛川を過ぎたあたりで、イー・モバイルにも接続してみた。掛川近辺を過ぎると、名古屋までトンネルが少なくなり、イー・モバイルで接続しやすいからだ。結果は下り0.4Mbps、上り0.2Mbps。速度は無線LANとあまり差がない。
浜松近辺で、再度、両者を比較してみたところ、イー・モバイルが下り2.8Mbps、無線LANは下り1.3Mbpsだった。なんとイー・モバイルに軍配があがったのだ。イー・モバイルでもそれほど遜色がないどころか、むしろイー・モバイルの方が速い場所がある。ただ、イー・モバイルは途中、通信回線が途切れるシーンもあった。通信が途切れるのが嫌な人は、無線LANの方がいいだろうが、甲乙つけがたい結果だ。
いずれにしろ、新大阪までのネット環境は、新幹線車内をオフィスとして利用するビジネスマンの増加に拍車をかけそうだ。
モバイルWiMAXと新幹線無線LAN。高速移動通信を実現できる環境がそろってきたことは、モバイル利用の多い筆者にとってはうれしい限りだ。
これからはサービスエリアの広がりと、料金プランとをすり合わせて、どのチョイスがベストなのかをじっくり検討したい。
東京~新大阪間で無線LANサービスを開始した東海道新幹線「N700系」(画像クリックで拡大)
N700系の車内では電源も取れる(画像クリックで拡大)
車内では複数の無線LANが飛んでいる(画像クリックで拡大)
著者
大河原克行(おおかわら かつゆき)
1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。BCN記者、編集長時代を通じて、約20年にわたって、IT産業を中心に幅広く取材、執筆活動を続ける。現在、ビジネス誌、パソコン誌、Web媒体などで活躍。nikkeiBPnetの「ビジネス・フォアフロント」の連載を担当。著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「松下電器 変革への挑戦」(宝島社)、「パソコンウォーズ最前線」(オーム社)などがある。