無線プリントサーバーで邪魔なケーブルと決別しよう!
今回は、無線プリントサーバーを取り上げる。ちょっと難しい製品だが、プリンターがワイヤレスになるのは非常に魅力的である。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20090306/1024365/?ST=digital
無線プリントサーバーを一言で言うと、パソコンとプリンターをケーブルなしでつなぐための製品だ。最近は、プリンターそのものに無線LANを内蔵した機種が増えており、ワイヤレスの支持率の高さが分かる。
プリンターは、それ自体のサイズが大きいため、パソコンのそばに置けないケースが多い。仕方なく長いUSBケーブルで部屋の片隅に置いたプリンターまで延ばすことになる。そんなときにこの無線プリントサーバーを利用すれば、ケーブルの呪縛(じゅばく)からは解放される。無線LANの電波が届くところなら、どこにプリンターを置いても良いのだ。しかも、一般的なUSB接続のプリンターがネットワーク対応になり、複数のパソコンから共有できるのだから素晴らしいじゃないか。
LPV3-U2-G54は、なかなかコンパクトで置き場所を選ばない。アンテナも立派で感度は良さそうだ(画像クリックで拡大)
もちろん、すでにプリンターを共有していた人は多いだろう。例えば、3台のパソコンを使っていて、どれか1台にプリンターがつながっていれば、ネットワークを介して共有できる。誰もが当たり前にやっていることだ。ただし、これには1つ欠点があった。プリンターを接続しているパソコンの電源が入っていないと使えないのだ。しかし、この無線プリントサーバーを使えば、プリンター自体がネットワーク対応になるので、どのパソコンからでも常に利用できる。
実は、当研究所が始まった頃から、無線プリントサーバーを手に入れたいと考えていた。ただ、なかなか値段が合わなかった。ところが、ここへ来てようやく値段が下がり、「LPV3-U2-G54」を手に入れることができた。僕はヨドバシ・ドット・コムで1万2800円の18%還元で購入したが、価格.comの価格情報を見ると、なんと8000円台で購入できる店もある。なので、当研究所の予算内の商品と言えるのだ。
基本は無線LANでの利用だが、有線でも利用可能。また、環境によっては初期設定時に有線LANに接続する必要がある(画像クリックで拡大)
プリンターが双方向通信に対応していないので、情報を取れないのが残念だ(画像クリックで拡大)
AOSSボタンがないと設定が面倒
到着したLPV3-U2-G54は、小さめのルーターといった印象だ。大きさは、ちょうどVHSのビデオを半分にした程度。サイズは、125×30×86mmと、なかなかコンパクトである。写真を見れば分かるようにそこからアンテナが伸びている。まあ、プリンターの近くに設置する際にも場所がなくて困るようなことはないだろう。
プリンターとの接続は普通のUSBケーブルを使う。1mほどのケーブルが付属するが、長さが足りなければ市販品を使うと良いだろう。利用にあたってはACアダプターも接続する必要があるが、もちろん付属している。
さて、いよいよ設定だ。新しいモデルの無線LAN親機で、かつバッファローの製品を使っているなら簡単だ。無線LANのセキュリティーをワンタッチで自動設定できるAOSSボタンを押すだけでLPV3-U2-G54を認識させられる。ところが、僕が使っているのはバッファロー性ながらちょっと古い製品だ。AOSSボタンは付いているものの、なぜかボタンを押しただけでは認識されなかった。そこで、付属ディスクの電子マニュアルを見て、手動設定で作業進めていった。ボタン一発でつながらない環境の人は、ある程度の手間を覚悟したほうが良いだろう。
さらに、僕のケースではちゃんと設定を終えて、無線プリントサーバーが正しく認識できているにもかかわらず、なぜか印刷ができなかった。本機に付属しているマニュアルの範囲内ではこちらも解決できず、電子マニュアルの「困ったときは」を調べて、IPアドレスを設定したら問題はようやく解決した。
LPV3-U2-G54の各種設定には、ブラウザーを使う(画像クリックで拡大)
ほとんどのユーザーが、付属のマニュアルに説明されている手順で問題なく使えるはずだ。しかし、その域を超えたとたんに、理解不能になるユーザーが多いだろう。例えば、電子マニュアルの「印刷できない」という項目の下には「TCP/IPプロトコルで印刷できない」「本製品設定後、プリンタドライバをインストールしたが、正常に印刷できない」といった項目が並んでいる。こんな見出しを見たところで、どの理由で印刷できていないのかをビギナーには判断ができないと思う。専門用語を極力減らした説明を望みたい。
付属の専用ソフトLPV3マネージャでIPアドレスなどの設定が可能だ(画像クリックで拡大)
パソコン側では、普通にプリンタドライバーをインストールして、新しいポートを設定していく必要がある。ここではまだ有効になっている双方向サポートも、この後で無効にする(画像クリックで拡大)
使い始めれば快適だが欠点もある
さて、設定を済ませてしまえば、あとは普通のプリンター同様に印刷できる……と、思っていたのだが、実はちょっと違った。このモデルの場合は、双方向通信をサポートしていないのだ。僕の環境で困ったのが、プリンターの情報が取れないことだ。
普通にUSB接続した場合には、プリンターの情報をユーティリティーでチェックできる。インクの残量もここで確認して、不足した色のカートリッジを交換することになる。ところが、双方向通信に非対応だと、プリンター本体のインク切れのランプが付いても、どの色がどの程度減っているのか分からないのである。
もちろん、このあたりはプリンターの機種によっても状況が違うだろう。特に、単体で使える複合機なら、パソコンにつながなくてもインク残量が確認できるので問題はない。僕のケースでは、ちょっと古いUSBプリンターを無線化したので、こういう問題が生じたわけだ。
印刷そのものはごく普通にできた。速度的にボトルネックになっている感じも受けずに、快適に利用できた。もちろん、こちらも電波状況によって変わる可能性はあるだろうが、使い始めれば満足できる人は多いはずだ。
ただ、本コーナーでも取り上げたように、いまや複合機すら1万円以下で買える時代だ。無線LAN対応の複合プリンターも3万円程度で買える。いま使っているプリンターを生かしたい人以外は、無線化のためにプリンターごと買い換える手も検討すると良い。
おそらく、この製品が最も役立つのはネットワーク非対応のカラーレーザーなど、高価なプリンターを使っているユーザーであろう。
「ポート名」には「パス」の一部を指定するのだが、うまくいかなければ、IPアドレスを自分で指定することになる(画像クリックで拡大)
プリンターが双方向通信に対応していないので、情報を取れないのが残念だ(画像クリックで拡大)
著 者
戸田 覚(とだ さとる)
1963年生まれのビジネス書作家。著書は100冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。日経トレンディネットでは、ほかに「戸田覚の進化論」を連載中。ユーザー視点の辛口評価が好評を博している。ブログでも各種追加情報を記載しています。