不景気時代のSOHO向け低価格A4モノクロレーザー複合機選び
どれだけ不景気でも、故障発生やリースの完了でオフィス機器の追加購入や代替えが必要な場合がある。手ごろな価格で買えるイマドキのSOHO向けA4レーザー複合機を考えてみた。
不況下でも元気な低価格A4モノクロレーザー複合機市場
急激に市況が悪化しているが、そのような中でもリースの期限や機器の故障はいや応なくやってくる。それは大企業だけでなく、個人事務所や小規模事業所など、いわゆるSOHO環境でも例外ではない。特に専任のシステム管理者やIT管理者がいないSOHO環境では、製品選びも一苦労だ。そこで、ここではプリント/コピー/スキャン/FAX機能が1つにまとまったSOHOの“神器”であるモノクロレーザー複合機を集めた。
http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0902/17/news071.html
いうまでもなくレーザー複合機のメリットは、オフィスで必須となる機能をコンパクトにまとめていながら、安価に購入できることにある。複数のオフィス機器を1つにまとめることができるメリットに加え、保守管理の手間も1台で済むし、複数のオフィス機器を設置するスペースの確保が必要なくなる。最近ではカラーレーザープリンタも手ごろになってきたが、実売6万円以下のオールインワン機は少ない。インクジェット複合機の新モデルも登場しているが、印刷のクオリティではレーザープリンタに分があるのも事実だ。
こういったメリットが浸透してきたためか、ここ数年は価格なビジネス向けA4モノクロレーザー複合機の市場が元気だ。この市場は年々拡大してきており、今後も前年比約110%以上で伸びて行くと予想されている。
そして市場の成長に伴い、低価格化と高性能&高機能化も加速している。ほぼ全部入りの最上位モデルが実売で6万円を切る価格になり、ミドルレンジで4万円前後、ローエンドでは2万円台から3万円台という価格帯の製品がそろってきた。具体的には、最上位モデルでは印刷速度が21~24ppm/cpmと高速出力が可能になり、しかも有線LAN/無線LANに対応し、ADF(自動紙送り装置)や自動両面印刷ユニットまでを標準装備する。
つい数年前までは本体価格は現在とそれほど変わらないものの、速度が16~18ppm/cpm程度で両面印刷ユニットや有線LANなどのオプション類をすべて搭載すると10万円近くしていたことを考えれば、大きな変化なのが分かる。
低価格なA4モノクロレーザー複合機は2社の製品に絞られる
現在、実売6万円以下の低価格なA4モノクロレーザー複合機をリリースするメーカーは、キヤノンとブラザー工業の2社に絞られる。この市場は、ほぼ2社によって引っ張られているといっても過言ではない。しかも、高性能な最上位モデルが買い得感の高い価格に設定されており、買い手にとってはうれしい状況になっている。
まずは実売6万円以下で購入できる2社のモデル数を見てみよう。キヤノンのSateraシリーズでは6モデルが該当し、ブラザー工業のJUSTIOシリーズでは5モデルが該当する。合計すると11モデルとなり、選択肢は十分用意されていると考えていいだろう。なお、下記一覧表の実売価格は大手量販店での価格を参考にしている。
低価格モノクロレーザー複合機の市場を引っ張るキヤノンのSateraシリーズ(写真=左)と、ブラザー工業のJUSTIOシリーズ(写真=右)
キヤノンのA4モノクロレーザー複合機ラインアップ(実売6万円以下)
製品名 MF4380dn MF4370dn MF4350d MF4330d D450 MF4010
出力速度 22枚/分 20枚/分
プリント ○
コピー ○
スキャン ○
FAX ○ -
USB ○
ADF ○(両面) ○ ○(両面) -
有線LAN ○ -
無線LAN -(オプション対応)
ネットワークプリンタ共有 ○ -
ネットワークスキャン ○ -
両面印刷 ○ -
給紙容量 約250枚
実売価格 6万円前後 5万円前後 4万円前後 3万円前後 4万5000円前後 2万円前後
ブラザー工業のA4モノクロレーザー複合機ラインアップ(実売6万円以下)
製品名 MFC-8660DN MFC-7840W MFC-7340 DCP-7040 DCP-7030
出力速度 24枚/分 21枚/分
プリント ○
コピー ○
スキャン ○
FAX ○ -
USB ○
ADF ○(両面) ○ -
有線LAN ○ -
無線LAN - ○ -
ネットワークプリンタ共有 ○ -
ネットワークスキャン ○ -
両面印刷 ○ -
給紙容量 約300枚(最大550枚) 約250枚
実売価格 6万円前後 4万5000円前後 3万5000円前後 2万6000円前後 2万2000円前後
最上位モデルは製品の性格を理解しよう
それでは、各カテゴリー別に傾向と対策をまとめていこう。
まずは各シリーズの最上位(あるいはほぼそれに準ずる)モデルの実売6万円に位置する製品だ。キヤノンでは、1月に新登場した「Satera MF4380dn」が該当する。従来機に比べて出力速度が22ppm/cpmに高速化され、両面読み取りのADFに有線LAN、自動両面印刷も標準搭載する全部入りモデルだ。両面読み取りのADFによってコピーとスキャナの用途が大きく広がったうえに、同社の誇る「オンデマンド定着技術」によって省電力とウォームアップレスでの快適出力が特徴となっている。このモデルからネットワーク経由でのスキャンにも対応しており、全方位的な性能向上を果たした。
一方のブラザー工業の最上位モデルは「MFC-8660DN」となる。こちらも有線LAN対応と自動両面印刷機能を標準搭載し、ADFは片面読み取りながら2社のモデルの中では最速の24ppm/cpmの高速出力がウリだ。スキャナーのセンサーがCCDで被写界深度が深いので、立体物のスキャンもでき、最大550枚の大容量給紙に対応し、最大で544Mバイトのメモリ増設やBR-ScriptによるPostScript互換印刷などが可能になっている。
Satera MF4380dnは、待機電力が3ワットという低消費電力と、横幅が390ミリというコンパクトなボディ、そして両面読み取りのADFがポイントになり、コピーやドキュメントスキャンといった部分を重視するならお勧めだ。MFC-8660DNはボディサイズがやや大きめとなるが、24ppm/cpmの高速出力とPostScript互換印刷、増設可能なメモリー、最大給紙量550枚(オプションの大容量給紙カセット装着時)、CCDによる深い被写界深度がポイントになる。Satera MF4380dnの最大給紙枚数は250枚(増設不可)なので、プリントする機会が多いならMFC-8660DNが最右翼となるだろう。
選択肢が豊富なミドルレンジは用途を絞り込もう
ミドルレンジクラスは2社で合計5モデルと製品数が多いぶん、利用目的をきちんと立てて製品を絞り込む必要が出てくる。キヤノンでは「Satera MF4370dn」「Satera MF4350d」「Satera D450」の3モデルが該当する。
Satera MF4370dnは、ADFが片面読み取りになった以外は最上位のSatera MF4380dnに準ずる仕様だ。22ppm/cpmの高速エンジンや自動両面印刷、有線LAN対応、ネットワークスキャンといった機能はそのままで、実売価格が5万円を切っており、両面読み取りADFの必要がないか、予算が5万円以内でなるべく高機能な製品を選びたい人に向いている。
そしてSatera MF4350dは、4万円を切る価格で有線LAN接続やネットワークスキャン機能などが不要な人向けとなる。Satera D450は、FAXと有線LANは非搭載だが最上位のSatera MF4380dnと同じ両面読み取りADFを採用しており、利便性を求めるユーザーに向いている。価格も4万5000円前後と買い得感が高い。
Satera MF4370dn
Satera MF4350d
Satera D450
ブラザー工業のミドルレンジモデルは、「MFC-7840W」と「MFC-7340」の2モデルだ。MFC-7840Wは、21ppm/cpmの出力性能で片面読み取りのADFを搭載し、最大給紙枚数が250枚のコンパクトな本体を採用するなど、キヤノンのSatera MF4370dnとクロスする製品だ。実売価格も4万5000円前後と若干Satera MF4370dnより安価に設定されている。機能面ではSatera MF4370dnが自動両面印刷に対応するのに対し、MFC-7840Wは非対応、両モデルとも有線LANは装備するが、MFC-7840Wは無線LANを標準搭載するといった違いがある。下位のMFC-7340は、MFC-7840Wから有線LAN/無線LANを省いてボディカラーをブラックからグレー基調にしたモデルで、価格を3万5000円前後に引き下げた製品と考えるとよいだろう。
このように、ミドルレンジクラスの製品は実売価格をはじめ、用途や利用目的を絞り込んでいくことで製品候補がおのずと決まってくるはずだ。
MFC-7840W(写真=左)とMFC-7340(写真=右)
ローエンドクラスはA4モノクロレーザーとも比較しよう
実売2万円台から3万円を切るローエンドゾーンは、プリント/コピー/スキャンの3機能だけでよいというユーザー向けの製品になる。このクラスになると比較する対象は複合機だけでなく、2万円台の低価格なA4モノクロレーザープリンタも含まれてくる。つまりA4モノクロレーザープリンタとそれほど変わらない価格で購入でき、ADFやカラースキャン、コピー機能が使える点が付加価値になる。
キヤノンの製品でローエンドクラスは「Satera MF4330d」と「Satera MF4010」の2モデルとなる。中でもSatera MF4330dは、最新モデルの一員であり22ppm/cpmの高速エンジンとADF、自動両面印刷機能といった高機能さがウリで、実売でも3万円を切る優れたコストパフォーマンスが魅力の製品だ。Satera MF4010は、2008年からの継続モデルで20ppm/cpmのエンジンにADFは非搭載という、いわばプリンタにスキャナを組み合わせてコピーを可能にしたモデルといえるだろう。
Satera MF4330d(写真=左)とSatera MF4010(写真=右)
ブラザー工業のローエンドは2モデルで、「DCP-7040」と「DCP-7030」が該当する。DCP-7040はSatera MF4330d対抗ともいえる仕様であり、出力は21ppm/cpmでADFを搭載、自動両面印刷には非対応だが実売で2万円台半ばとSatera MF4330dよりも安価になっている。DCP-7030はSatera MF4010対抗でADFは非搭載、価格も2万円前後と拮抗する製品だ。
ローエンドクラスの製品は価格が安いぶん、モノクロレーザー複合機を初めて使うというユーザーに向いているように思えるが、これまで複合機を使っていて必要な機能が絞り込めたユーザー、そして安価なA4モノクロレーザーを購入しようとしている人も購入を検討してみるのをお勧めする。
DCP-7040(写真=左)とDCP-7030(写真=右)
お得なキャンペーン情報もチェック
キヤノンが実施中のキャッシュバックキャンペーン そのほか、年度末ということもあって両社ともキャンペーンを展開中だ。キヤノンは4月17日まで発売記念キャンペーンを行っており、A4モノクロレーザー複合機の最新モデルを購入するともれなくキャッシュバックを受けられる。具体的には、Satera MF4380dn、MF4370dn、MF4350d、D450が5000円、MF4330dとMF4010が2000円のキャッシュバックとなる。保証書のコピーや領収書などを応募する必要があるものの、購入価格を低く抑えることが可能だ。
一方のブラザー工業は「モノクロトナープレゼントキャンペーン」を4月26日まで展開しているが、残念ながら今回取り上げたモデルは対象外となっている。
以上、低価格なA4モノクロレーザー複合機を見てきたが、最上位モデルともなると性能が1~2年前の10万円クラスのモデルと同等かそれを超えるようになってきているといえる。
細かいところでは、Sateraシリーズでは「オンデマンド定着技術」によってウォームアップの時間が必要でなく、待機消費電力も3ワット以下と低く抑えられており、エコを意識した製品になっている。また従来モデルでは液晶モニタにバックライトが搭載されていなかったが、新モデルではバックライトを搭載することで視認性が向上しているという違いがある。ブラザー工業のモデルでは、液晶モニタにバックライトを標準装備し、表示されるメニュー項目に漢字を含めた日本語表示が可能であったり、背面排紙が可能になっており、封筒や厚紙を印刷した場合に反りを抑えた印刷ができるようになっている。
A4モノクロレーザー複合機は価格と性能のバランスが取れてきたことで値ごろ感が一層高まってきており、現在のような不景気でも買い替えや新規購入することで、印刷速度のアップや使い勝手の向上、電気代の削減、省スペース化などさまざまなメリットを受けられるのは間違いない。