あなたの街のフレッツ・スポットを活用しよう
国内最多スポット数を誇る無線LANサービス「フレッツ・スポット」を活用しよう
どこでも使えるというわけではないが、外出先でもウィルコムのパケットデータ通信より高速なデータ通信環境を得られるのが「無線LANサービス」である。ウィルコムでは、NTTコミュニケーションズが運営する「ホットスポット」と提携して「ウィルコム無線LANオプション」を提供しているが、同じNTTグループのサービスである「フレッツ・スポット」も、実はWindows Mobileに対応している。そこで今回は、W-ZERO3シリーズでフレッツ・スポットを活用してみようという話である。
http://ascii.jp/elem/000/000/213/213902/
フレッツ・スポットの魅力とは?
フレッツ・スポットは、BフレッツやフレッツADSLなどの固定回線用ブロードバンド接続サービスを提供する、NTT東日本とNTT西日本の無線LANサービスである。そのため、サービス提供エリアは東西に分断され、NTT東/西日本のの境界線より西側(富山、岐阜、愛知、静岡以西)ではNTT西日本が、東側(甲信越、神奈川以東)ではNTT東日本が同じ名称でサービスを提供している。
東西どちらのサービスも単独では全国的な展開とならないが、NTT東日本のフレッツ・スポットのユーザであれば、西日本でも追加料金なしで利用でき、その逆も可能となっている。したがって、実質的にはほかの無線LANサービスと同様に、全国展開であると見なせるだろう。
利用できるスポット数は、NTT東日本のエリアが2007カ所、NTT西日本のエリアが2821カ所で、全国では約4800カ所を超える(2009年1月20日現在)。前出のホットスポットを同じカウント方法で算出すると1804カ所であることから、ざっと2.5倍以上の数のスポットで利用できることになる。なお、本稿でのカウント方法は、複数のアクセスポイントが設置されている鉄道の駅などは「1つ」と計算しているので、実際にサービス各社がアピールしている「アクセスポイント数」とは異なるので、あらかじめご了承いただきたい。
ところで、フレッツ・スポットは利用できるスポットについて、数の多さもさることながら、ほかに2つの大きな特徴がある。そのうちの1つは、名古屋周辺や京阪神地区を中心とした西日本全体で多くのスポットが提供されているということだ。わかりやすいように、主要な無線LANサービス4社の都道府県別のスポット数をグラフに示した。グラフは左側から都道府県コード順に都道府県のエリア数を積み重ねたもので、一番左側が北海道、右側が沖縄県のスポット数を表している。
フレッツ・スポットは西日本で充実
まず、ウィルコム無線LANオプションで利用できるホットスポットは、首都圏の4都県にあるスポットの比率が非常に高く、全体の62%がこの部分に集中している。愛知県(76カ所)、大阪府(120カ所)もそこそこの数が提供されているものの、それ以外の県は全体的に薄く広く分布しているだけで、3大都市圏以外のスポット数はあまり多くない。
これに対して、ほかの3サービスは、関東甲信越以北で2000カ所程度のスポットを提供しているが、フレッツ・スポットはさらに愛知県(525カ所)、大阪府(499カ所)も首都圏に負けない充実した数が提供されている。西日本エリアでも多くのスポットを展開しているBBモバイルポイントと比較しても、中国・四国、九州地方ではより厚みのある展開になっていて、西日本全体での充実ぶりが目立つ。
もう1つの特徴は「アクセスポイントの共用化」がキーワードになる。先に取り上げた主要無線LANサービス4社のうち、実に3つがNTTグループが提供するサービスである。この3つのサービスは、利用料金、接続方式等が異なるものの、アクセスポイントはNTTブロードバンドプラットホーム(NTT-BP)が中核となって共用化を進めており、すでに多くのスポットで2つないし3つのサービスが共用利用できるようになっている。
NTTグループが提供する公衆無線LANサービス
サービス名称 提供企業 月額利用料金(定額利用時・税込) スポット数
ホットスポット NTTコミュニケーションズ 700円~ ※1 1804
フレッツ・スポット NTT東日本
NTT西日本 840円※2、または945円※3 (+プロバイダ接続料) 4828
ドコモ公衆無線LANサービス NTTドコモ 840円~ ※4 2946
※1:料金プランを新つなぎ放題、新ウィルコム定額プラン、新トリプルプランR、ウィルコム定額プラン+データ定額などで契約時に、ウィルコム無線LANオプションを利用時。
※2:NTTのフレッツアクセスメニューを契約している場合。
※3:NTTのフレッツアクセスメニューを契約していない場合。
※4:mopera Uスタンダードプラン+U「公衆無線LAN」コース利用時。
共有できるスポットが多いのも利点
NTTグループ3社のサービスについて、全スポットに占める共用化スポットの数を棒グラフに示したものが下図である。3つのサービスについて共用化が完了しているスポットは、現在859カ所。主に、タリーズコーヒー、プロントなどのカフェ、モスバーガーやロッテリアなどのファーストフード店がこれに該当する。
また、フレッツ・スポットとドコモ公衆無線LANサービスの2サービスで共用化されたところも1429カ所にのぼるが、ここには首都圏、名古屋圏、関西圏の私鉄駅が含まれる。これに対して、フレッツ・スポットとホットスポットだけで共用化されたところは261カ所、ホットスポットとドコモ公衆無線LANサービスだけで共用化されたところは187カ所に留まり、ホットスポットはほかの2サービスに比べて共用化の恩恵が今ひとつである。しかし、後者には2009年3月14日からスタートする東海道新幹線(東京~新大阪)のN700系車内と17駅で利用できる無線LANサービスが含まれるので、どちらを重視するかはユーザによって違ってくるかもしれない。
そのほか、各サービスが単独で提供するスポット、つまり、そのサービスに加入しなければ利用することが出来ない場所については、ホットスポットが505カ所、ドコモ公衆無線LANサービスも471カ所であるが、フレッツ・スポットは2288カ所もあり、その点でも優位である。
このように、フレッツ・スポットを契約していれば、ホットスポットの約6割、ドコモ公衆無線LANサービスの8割近くのスポットを利用できるので、「アクセスポイントの共用化」という観点から考えれば、NTTグループ3社のサービスの中では最も契約しがいがあるといえるのではないだろうか。
フレッツ・スポットの利用料金は実質いくら?
エリアの面から見ると魅力的なフレッツ・スポットだが、料金面や実際に利用する時の制限事項には少なからず課題がある。それは、(1)自宅で利用している固定ブロードバンドサービスによっては、結果的に料金が高くなってしまう点、(2)利用する端末が「フレッツ・スポット」に対応している必要がある点、そして、(3)登録した2台の機器でしか利用できず、登録の変更が有料である点の3点である。
このうち、W-ZERO3シリーズで利用するだけなら(2)はさほど問題にならないが、(1)と(3)についてはユーザによってマイナス要素になるので、あらかじめ理解しておいた方がいいだろう。
まずはじめに(1)の利用料金の話。フレッツ・スポットを利用するには、NTT東/西日本にあらかじめ申し込んでおき、なおかつ、フレッツ・スポットに対応したプロバイダにも加入する必要がある。
自宅の固定ブロードバンド回線で、BフレッツやフレッツADSLなどのフレッツシリーズを利用している場合は、NTT東/西日本に支払うフレッツ・スポットの基本料金は月額840円。プロバイダに支払う料金は、Bフレッツ等でも同じプロバイダを利用しているなら、多くのプロバイダで加算料金なしで利用できるようだ。つまり、新たにフレッツ・スポットを利用する際に発生する追加コストは月額840円(契約料も無料)で済む。
これに対して、自宅の固定ブロードバンド回線がYahoo! BBやイー・アクセスのADSLなどでフレッツ系のサービスを利用していない場合、フレッツ・スポットの基本料金は105円アップの月額945円(別途契約料が840円)になる。
さらに、プロバイダに支払う料金も、フレッツ系のサービスを利用している場合とは異なってくる。例えば、ASAHIネットなら、フレッツ・スポットを利用するための事前申し込みは不要、利用した月のみ「フレッツ無線LAN対応サービス」の利用料として月額158円が課金がされる。このほかに基本接続コースの月額料金と各コースの月内の接続時間をオーバーした分が課金される。また、@niftyなら、@nifty ひかり one シリーズなどの固定ブロードバンド接続サービスを利用するコースで契約していれば、追加料金なしで利用可能だが、ダイヤルアップ系のスタンダードコースなどでは、そもそもフレッツ・スポットを利用することができない。
このように、フレッツ系のサービスを利用していないと、フレッツ・スポットを利用する際のプロバイダ選びはなかなかに難しくなるわけだ。しかし、そんなときは新たにトリプレットゲートのワイヤレスゲートに加入するのがおすすめだ。ワイヤレスゲートの月額基本料(月額210円)に、フレッツ・スポットプロバイダー接続料(時間無制限で月額315円)を支払えば、プロバイダ側の支出は月額525円で済む。NTT東/西日本に支払う945円と合計すると、月額1470円でフレッツ・スポットを利用できることになる。
接続方法と端末の利用に制限あり
次に上記(2)の話。フレッツ・スポットは、ほかの無線LANサービスとは接続方法が異なり、接続するには、PPPoE(PPP over Ethernet)方式を用いる。そのため、単に無線LAN機能を有し、Webブラウザを搭載する機器ならなんでも利用できる、ということにはならない。パソコンでWindows、Mac OSマシンならどちらが搭載されていても問題ないが、携帯ゲーム機やスマートフォンでは、はじめからPPPoEに対応しているか、接続ソフトをインストールしなければならない。Willcom 03などのWindows Mobile搭載スマートフォンは接続ソフトの「フレッツ・スポット接続ツール」が用意されており、これをインストールすることで利用可能となる。
現在提供されているWindows Mobile用のフレッツ・スポット接続ツールは、Windows Mobile 6までの対応で、Windows Mobile 6.1を搭載するWillcom 03は動作確認機種になっていないが、筆者がテストしたところ特に問題なく動作するようだ。
なお、契約時にサービスプランを「標準プラン」と「高セキュリティプラン」の2つから選択できるが、高セキュリティプランで利用できるのはパソコンだけで、スマートフォンでは利用できないので注意が必要だ。
フレッツ・スポットに対応する機器と非対応の機器
フレッツ・スポット対応機器 フレッツ・スポット非対応機器
Windows XP/Vista、Mac OS X搭載のパソコン、Windows Mobile搭載機、PSP全シリーズ、mylo COM-2、gigabeat T401 Ver.2.0、COOLPIX S52c、S610c
登録できる端末は2台まで
最後に上記(3)の話。フレッツ・スポットは、申し込み時にフレッツ・スポットで利用する機器のMACアドレスを2台まで登録するが、これは登録した機器しかフレッツ・スポットで利用できないということを意味する。2台まで登録できるので、ノートパソコンとスマートフォン、ノートパソコンとPSP、PSPとスマートフォンといった多用な組み合わせで利用できるが、例えばノートパソコンを買い換えたとき、スマートフォンを機種変更したときは登録情報の変更手続きが必要となる。MACアドレスの登録変更には2100円の工事費用が発生し、変更までに4営業日を要するので、時間的にも余裕を持って申し込まなければならない。
ちなみに、MACアドレスを間違えて登録してしまうと、無線LANやプロバイダの接続情報が正しくともまったく接続できない(筆者の実体験である)。間違えて登録しても登録変更には2100円がかかるので、申し込み時は入念にチェックしておこう。
Windows Mobile端末でフレッツ・スポットに接続するには
Willcom 03などのWindows Mobile端末でフレッツ・スポットを利用するには、まず対応するバージョンのフレッツ・スポット接続ツールをインストールする必要がある。Willcom 03やAdvanced W-ZERO3[es]の場合は、Windows Mobile 6(Professional、Classic)用をダウンロードしてインストールすればいい。
インストールが完了したら、フレッツ接続ツールの設定を行う。無線LAN関連の情報はソフトウェアにあらかじめ設定されているので、ここではプロバイダへの接続情報(プロバイダへのログインID、パスワードとプライマリ/セカンダリDNS)を入力するだけでいい。
フレッツ・スポット接続ツールを起動するとメイン画面が表示される 「メニュー」→「追加」からフレッツ・スポットの接続情報を設定する。接続タブの画面では、接続名は適当な名称でOK。ユーザ名は、利用するプロバイダで指定されたログイン名を入力。パスワードはプロバイダの接続パスワード 「パスワードの保存」のチェックボックスをオンにして確定すると、確認のダイアログが表示される。こうしておけば接続時に毎回パスワードを入力する必要がなくなる
追加画面のIPアドレスタブ。「サーバーが割り当てたIPアドレスを使用する」にチェックが入っていれば変更する必要はなし 追加画面のネームサーバータブ。プロバイダに指定されたプライマリ/セカンダリDNSを入力。次回以降は入力の必要はない アダプタ、MACアドレスが空欄になっているときは、無線LAN機能がオフになっている。フルキボードのFn+OKキーで無線LAN機能をオンにしよう
設定が正しく完了すれば、フレッツ・スポットに接続する操作は実に簡単。無線LAN機能がオフであれば、フルキーボードのFnキー+OKキーで無線LAN機能をオンにし、フレッツ接続ツールを起動。画面上の接続ボタンをタップするだけで、無線LANへの接続、PPPoEでの認証といった一連の処理をソフトウェアが自動的に行ってくれる。接続が完了すれば、メールの送受信をするなり、Webブラウジングをするなり、快適な速度でインターネットを利用可能だ。
なお、フレッツ・スポットから切断するときは、フレッツ接続ツールの切断ボタンをタップすればいい。
メイン画面で接続ボタンをタップすると、フレッツ・スポットへの接続がスタート。この操作だけで、アクセスポイントへの接続、フレッツ・スポットへのログインの一連の処理が行われる アクセスポイントへの接続に続けて、プロバイダへの接続が行われる 接続が完了すると、この画面に。非表示ボタンをタップして接続状態ダイアログを消去し、Opera MobileなどでWebサイトの閲覧などを始めよう。切断するときは、フレッツ・スポット接続ツールを再度表示し、左下の「接続状態」をタップ。ダイアログの接続ボタンをタップすればいい
フレッツ・スポットのエリアは、前出の通りドコモ公衆無線LANサービスやホットスポットなども使える共用型のアクセスポイントが設置されている箇所が多い。そのため、エリア内で無線LANをオンにするとこのように複数のアクセスポイントが検出されるが、特に気にせずにメッセージは消去して構わない
西日本のユーザなら利用価値は大
フレッツ・スポットは、利用料金がユーザによっては高くなってしまったり、利用端末の制限など使い勝手が悪い部分もあるが、特に西日本エリアでの充実したスポット数は魅力である。接続ツールも、Windows Mobileの無線LAN設定をすることなく利用でき、はじめに設定を済ませてしまえば、接続/切断の簡単な操作だけで利用できるのも使い勝手がいい。
西日本在住のユーザや、出張等で関西での利用が多いユーザのように、ウィルコム無線LANオプションで利用できるホットスポットの無線LANスポットが利用したい場所にはあまりない場合は、十分検討に値するサービスであるといえるだろう。