無線LANで2W、DVD再生で11W削減! 地球と財布に優しいパソコン省エネ術
日常生活を過ごすためには欠かせない水道光熱費。中でも、電気料金は一人暮らしでも5000円から1万円程度かかる負担の大きな費用だ。特に今年1月から、昨年の原油価格高騰分が価格に燃料調整費として転嫁され、一般的な標準家庭の電気料金は1月~3月期に7206円と、2008年10月~12月期より409円も上がった。自宅に届いた支払明細を見て驚いた方も多いのではないだろうか。東京電力などは4月の電気料金を値下げする発表しているが、今後について不安を感じる面もある。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20090224/1024011/?top
これまで電気料金に含まれる燃料調整費は、3カ月ごとに半年前の原油、天然ガス、石炭の「燃料価格」に基づいて価格が決められてきた。だが、新年度から導入予定の新しい電気料金制度により、燃料調整費は毎月変更されるようになる。現在の燃料価格を基に試算すると、標準家庭で約6000~6400円と、現在より1000円近く安くなる見込みだという。こう書くと新料金制度について「大歓迎」する方が多いかもしれないが、喜んでばかりもいられない。昨年のように燃料価格が上がり始めると、今度はあっという間に電気料金が上昇する怖さも秘めているのだ。
2008年7月に1バレル140ドルを超えた原油の先物価格(WTI)は、現在約40ドルまで下がった。今の水準で推移してくれれば新制度の恩恵を受け続けられるものの、原油価格は昨年末をピークに下げ止まり、このところ横ばいで推移し始めている。昨年のような高騰は起きなくても、この先、株価のような変動が見られることだろう。
そこで今回は将来を見据え、電気料金を節約するコツを再考してみたい。本コラムでは、「電気料金を月2000円安くする方法」を紹介しているが、これは主に夏場のエアコン利用を控えることを目的とした省エネ方法。もう少し身近な存在“パソコンの省エネ”に取り組んでみたい。今使っているパソコンの環境化でそのくらいの電気を消費しているのか。また、環境設定を変えるといくらお金が安くなるのかを検証してみよう。
デスクトップPC1台を1年間使い続けた場合、電気料金はなんと2万円程度かかる。消費電力の低い携帯ノートでも3000円程度だ。ネット接続用のモデムと無線LANルーターを合わせると、パソコン関係にかかる電気代はさらに高くなる(画像クリックで拡大)
記事では、サンワサプライ「ワットチェッカーPlus」を使って、パソコンの消費電力と電気料金を計測している(画像クリックで拡大)
1日の電気代はA4ノートが約16円、デスクトップなら約53円
自分の使っているパソコンが、どのくらいの電力を消費しているのか。おそらくほとんどの方がご存じないだろう。そこで、一般的なA4ノートパソコンと、セパレート型のデスクトップパソコンを例に、消費電力を確認しておきたい。ピックアップしたパソコンは、国内大手NECのA4ノート「LaVie L」とデスクトップ「VALUESTAR L」。どちらも長年、モデルチェンジを続けて販売し続けているロングセラーだ。
LaVie Lは定番モデルの「LL750/SG」、VALUESTARは最上位モデルの「VL770/SG」をピックアップしてみた。メーカーが公表している消費電力を確認すると、LL750/SGが標準で約33W、最大で約75W。VL770/SGはパソコン本体が標準で約63W、最大で約212W。液晶ディスプレーが約43Wで合計107W(標準)となる。このままでは、ピンとこないので、電気料金に換算してみたい。1kWあたりの電気料金が20円と仮定すると、1Wあたりの電気料金は1時間0.02円になる。つまりLL750/SGなら1時間の電気料金は0.66円。VALUESTAR Lなら1時間2.2円になる計算だ。1日電源を入れっ放しにしていれば、LaVie Lが15.84円。VALUESTAR Lなら52.8円になる。
もっとも、この計算はあくまで標準の消費電力を基に算出したもの。ウェブやメールをしているくらいなら、消費電力はそれほど上がらない。電源もこまめに切っているはずなので、支払金額は示した金額よりも安くなるだろう。あくまで参考値として考えてほしい。
消費電力の目安に使ったNEC「LaVie L LL750/SG」と、「VALUESTAR VL770/SG」。A4ノートはデスクトップより、消費電力が約1/3と低い(画像クリックで拡大)
分類 A4ノート 携帯ノート セパレート型
デスクトップ 液晶一体型
デスクトップ
シリーズ名 LaVie L LaVie G
タイプJ ※1 VALUESTAR L VALUESTAR N
製品名 LL750/SG GL12EA/NC VL770/SG VN770/SG6B
消費電力 標準 約33W 約17W 約63W 約79W
最大 約75W 約55W 約212W 約155W
付属液晶 なし なし 約43W なし
(本体一体)
電気料金の
目安 ※2 1時間 0.66円 0.34円 2.2円 1.58円
1日 15.84円 8.16円 52.8円 37.92円
1カ月 481.8円 248.2円 1606円 1153.4円
1年間 5781.6円 2978.4円 1万9272円 1万3840.8円
※1 NEC Directのみの販売
※2 標準の消費電力でパソコンを稼働し続けた場合
パソコン種類別の消費電力の目安。同一メーカー(NEC)で比較している
電気料金が安くなるパソコン利用法は?
電気料金の目安が分かったところで、今すぐできる省エネパソコン利用法を模索してみよう。テストに使ったパソコンは、普段原稿執筆用に使っている富士通の携帯ノート「FMV-BIBLO LOOX R」(2008年夏モデルの「FMV-BIBLO LOOX R/A70」)。携帯ノートということもあり、もともと標準の消費電力は低いのだが、さらに消費電力を低減できるものなのか、挑戦してみたい。
手始めにLOOX Rが、どのくらい電力を消費しているのか測定してみる。サンワサプライの「ワットチェッカーPlus」を介して、AC電源をコンセントにつなぎパソコンを起動した。まず高負荷時の消費電力の計測するため、液晶の輝度を最高値まで上げ、無線LAN経由でインターネットに接続。さらに光学ドライブにDVDをセット、全画面モードでの再生してみた。当然だがCPUの使用率が上がり、廃熱のためのファンも高速回転している状態になる。この状態で消費電力を計測すると、30Wになった。これは1時間あたり0.6円、1日なら14.4円、1カ月で438円、1年間なら5256円の電気料金に相当する。
もちろん、このくらいの金額なら気にしない方もいるだろう。しかし、あえて電力を無駄することはない。もう少し効率的にパソコンを使えば、地球にも財布にも優しくなるはずだ。さて、30Wの消費電力が、最終的に何Wにまで下がるだろうか?
早速、省エネ運用に取りかかろう。まずはDVDの再生だけを停止してみる。すると、消費電力は19Wへと急降下。11Wの電力がDVD再生に必要だったことが分かった。
次に見直すのは液晶の輝度。テスト機には、8段階の輝度調整が用意されている。一番下にするのが最も省エネになるが、それでは暗くて文字の確認がしづらい。今回は、下から3番目の輝度まで、5段階下げてみた。消費電力はたったこれだけで16Wへと3Wも減少した。念のため最低輝度での消費電力も計測してみたが、結果は14~15W。約1Wの変化にとどまる。パソコンによって輝度調整のレベルが異なるため、一概に下から3番目がいいとは言えないが、暗すぎないギリギリのレベルに調整すると省エネになるだろう。
目一杯負荷を挙げて計測すると、消費電力は30Wになった(画像クリックで拡大)
輝度を調整して、ディスプレーの明るさを抑えると消費電力が下がる(画像クリックで拡大)
続く省エネポイントは無線LANだ。ノートパソコンは、ほぼ全機種が無線LAN機能を内蔵している。おそらく多くの方が、無線LAN経由でインターネットに接続していることだろう。
実はここに落とし穴がある。LOOX Rは、無線機能を有効にすると、無線LAN機能と当時にBluetooth機能も一緒に有効になる。このため、そこそこ電力を消費してしまうのだ。実際、本体の無線LANスイッチをオフにしただけで、消費電力が先ほどより2W下がり、14Wになった。ルーターとパソコンが離れている場合は、無線LANを使うしかないが、ルーターと同じ部屋に設置したパソコンなら有線LANのほうが省エネになるのだ。
パソコンの使い方に関しても見直すべきポイントがある。筆者もよくやってしまうことだが、1度開いたウインドーを閉じなかったり、Webページをタブでどんどん開いてしまうことがある。こうした使い方は、無駄にCPU使用率を上げるだけだ。CPUへの負荷が高まれば、当然、消費電力も上がる。実際、使い終わったウインドーやWebページ、必要ないソフトを終了させると消費電力が1W下がった。
テストは以上で終了。当初30Wだった消費電力は、すべての点を見直すことで最終的に13Wへと、17Wも減ったことになる。もちろんパソコンで作業すれば、CPUの負荷が上がって消費電力も増えるが、ベースになる電力を低く抑えておけば省エネの効果は上がるはずだ。
最終的には13Wまで消費電力を下げることができた(画像クリックで拡大)
離席中はモニタオフ、不要なモデムやルーターも電源を切る
このほか、省エネテクニックとして付け加えたいのは、作業途中に少し席を外すときの電源管理方法。トイレ休憩やタバコを吸いに行く、ほんの数分間にかかる無駄な電力を抑える方法がある。短時間の席外しでは、パソコンの電源をオフにするのはわずらわしい。スクリーンセーバーを起動して、液晶の焼き付きを防ぐくらいが関の山だ。
だが、今回のテストでもスクリーンセーバーを起動してからの消費電力を計測してみると、消費電力は現状維持か、少し上がることが分かった。おそらく、スクリーンセーバーを起動するための消費電力アップだろう。省エネをしたいなら、スクリーンセーバーより、いい方法がある。それは一定時間、パソコンを操作しない場合に「モニタの電源を切る」方法だ。
13Wで稼働中のテスト機では、液晶ディスプレーがオフになるだけで、消費電力は10Wへと下がる。ディスプレーの電源が切れても、一瞬で復帰できるので使い勝手は悪くない。ノートパソコンの場合は、「電源オプションのプロパティ」を開き、電源接続時の「モニタの電源を切る」を3~5分程度に設定しておくといいだろう。
テスト結果の推移がこちら。ちょっとした使い方の見直しばかりだが、省エネ効果は意外と高い(画像クリックで拡大)
パソコン関連の省エネをもう1つ披露しよう。インターネットに接続するために使うモデムとルーター。いつでもネットが利用できるようにと、電源を入れっ放しにしている家庭もあるだろう。この2つの機器は、一体どのくらい電気を使っているのか。実際に、フレッツADSLのモデムと無線LANサービスルーターを使って計測してみた。結果は、モデムでも6W。モデムとルーターを合わせると15Wにもなった。1カ月換算の電気料金は216円。1年間なら2628円になる。1日3時間程度しかインターネットを使わないなら、実働時間分の電気料金は年間330円ほどで済む。つまり電源を入れ放しにすると、年間約2300円もの無駄遣いになるのだ。
パソコンやケータイの充電に使うAC電源も使っていないときは、コンセントを抜いておきたい。本体がAC電源に接続されていなくても、AC部分で待機電力が消費されている。細かなポイントだが、挿しっぱなしの使い方はやめたほうがいい。
今回紹介したパソコンの省エネ利用法は、あくまで1例にすぎない。すでにある程度の省エネテクニックを駆使している方は、それほど効果が得られないかもしれないが、もし見直す点があったなら、今後のパソコン利用に活用してほしい。
「画面のプロパティ」で「スクリーンセーバー」タブを開き、「スクリーンセーバー」を「なし」に設定。続いて、「モニタ電源」の「電源」ボタンをクリックする(画像クリックで拡大)
「電源オプションのプロパティ」が開いたら、「モニタの電源を切る」で時間を設定する。これでスクリーンセーバーが起動する代わりにディスプレーの電源が切れる(画像クリックで拡大)
コンセントに挿しっ放しのコンセント。とくにAC電源は、本体をつないでいない状態でも待機電力を消費しているので注意。使っていないときは、コンセントから抜いておきたい(画像クリックで拡大)
著 者
原 如宏(はら ゆきひろ)
パソコンから食べ物まで、ジャンルにこだわらず手がけるライター界のなんでも屋。メインの移動手段は“徒歩”というエコ生活を実践中。