【ISSCC】インダクタレスUWBトランシーバやWiMAX/無線LAN 2モード・トランシーバが登場
「International Solid-State Circuits Conference 2009(ISSCC 2009)」の「Session 24:Wireless Connectivity」では,インダクタレスUWBトランシーバやWiMAX/無線LAN 2モード・トランシーバが登場するなど,多種多様な無線規格のトランシーバ技術がそろった。多岐にわたる通信規格において最新の設計例が紹介される興味深いセッションだった。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090213/165597/?ST=lsi
本セッションで発表があったのは,ベルギーIMECのソフトウエア無線(Software Defined Radio)向けの0.1~5GHz帯の受信機(論文番号:24.1),オランダNXP Semiconductors社のインダクタ不使用のWiMedia UWB SoC(論文番号:24.2),イタリアUniversity of Modena and Reggio EmiliaのUWB受信機(論文番号:24.3),Analog Devices社(アイルランド)のIEEE802.15.4向けトランシーバ(受信機の発表は論文番号:24.3,PLLの発表は論文番号:24.7),米Marvell社の2×2のWiMAX/無線LAN送受信機(論文番号:24.5),米Intel Corp.の45nm CMOSの小型送信機(論文番号:24.6),米University of WashingtonのGPS受信機(論文番号:24.8),韓国Korea Advanced Institute of Science and Technology(KAIST)のボディ・エリア・ネットワーク・トランシーバ(論文番号:24.9),である。
このうちIMECとIntelの発表はいずれも45nm CMOSプロセスでの試作であり,電源電圧は1.1Vである。昨年のISSCCあたりから45nm CMOSでの試作例はSRAMやデジタル回路のセッションを中心に増えつつあるが,RFアナログ回路についても45nm CMOSでの試作結果が出てきた。デジタルとのシングル・チップ化が必要な無線規格については45nm化へのスケーリングの流れが今後も続くと思われる。
NXPのWiMedia-UWB SoCの特徴は,これまで低雑音増幅器(low noise amplifier),電力増幅器(power amplifier),電圧制御発振器(voltage controlled oscillator)といったRF回路で低雑音化や低電圧化のために用いてきたインダクタをすべて排除したことにある。低雑音増幅器や電力増幅器ではデジタル回路に使うインバータ回路に近い回路トポロジーの増幅器を使用している。また電圧制御発振器としては,リング・オシレータを用いている。リング・オシレータを使うと位相雑音が大きくなるのがネックだが,位相比較周波数を高くすることでPLLのループ・フィルタの遮断周波数を高く設定し,キャリヤ近傍の位相雑音を抑えることで積分位相雑音電力を小さくしている。キャリヤ周波数のチャネル周波数間隔が広いUWBならではのことである。インダクタを排することで面積削減に寄与し, 3.3×3.3mmの面積でデジタル部まで含むUWB-WiMedia SoCを65nm CMOSで実現している。近距離通信システムの特徴を生かした巧みな設計である。
Marvellは,比較的遠距離のネットワークであるWiMAXと比較的近距離のネットワークである無線LANの2バンド/2モード送受信機について発表した。無線インターネット接続を考えるとき,二つのネットワーク形態をシームレスに使い分けることはモバイルPCや携帯情報端末では必然と考えられる。そのような背景において,WiMAXと無線LANの2モード・チップの要求が,開発の背景にある。同社は,WiMAXと無線LANの回路性能への要求を共通点/非共通点の観点から分析し,必要となる可変性を備えたチップを設計している。発表では詳しく述べていないが,さまざまなキャリブレーション技術を実装し,-40dBを超えるEVM(error vector magnitude)を送信系,受信系ともに実現している。
その他の発表では,University of WashingtonのLNA/MIX/4相VCO縦積み回路やKAISTの2周波数同時受信ミキサなど,回路技術による低電力化の工夫が目を引いた。