Windows 7の実像 Part 6 無線LANとホームネットワークの改良
Windows 7では、Wi-FiやBluetooth、Wireless USBなどのワイヤレス通信機能と、ネットワーク機能がいくつか改良されている。特に無線LANは使い勝手が向上している。第6回ではこれらについて説明しよう。
http://ascii.jp/elem/000/000/205/205227/
以下の画面はすべて英語版プレβ(Build 6801)でキャプチャーしたもの。β版とは異なる可能性がある
なお、今回の記事はプレβ版を元に作成した。そのため、現在公開されているβ版とは、若干異なる可能性がある。
ジャンプリストで使いやすくなる無線LAN
Windows 7では無線LANの使い勝手が向上している。Windows Vistaでは通信可能な無線LANアクセスポイントが複数ある場合、任意のアクセスポイントに接続するのには、操作が少々面倒だった。
通知領域にある無線LANのアイコン(赤丸内)を左クリックすると、接続可能なネットワークがジャンプリストで一覧表示される。「Connect」を押すと接続する。緑のバーは電波の強度
しかしWindows 7では、通知領域にあるネットワークのアイコンを左クリックするだけで、通信可能なアクセスポイントをジャンプリストとして、一覧表示する。このジャンプリストから接続したいアクセスポイントを選択すると、接続に必要な認証キーの入力画面に進む。
Windows 7にも、Windows VistaやXPにある「Windows Connect Now」(WCN)が搭載されている。この機能は、設定を入れたUSBメモリーを接続したいパソコンに装着しておけば、ユーザーが認証キーなどを手動で入力しなくても、自動設定できるものだ。
Vista SP2やWindows 7ではこれを発展させて、「WCN-NET」というシステムにより、アクセスポイントから無線で設定情報を取得して、自動的にパソコン側を設定できる。プレβ版のWindows 7とWCN-NETに対応した無線アクセスポイント(バッファローのAirStation WXR2-G300N)でテストしたところ、正常に接続できた。パソコン側は初めてアクセスポイントに接続する時に、AirStation側に登録されているWPS(Wi-Fi Protected Setup)のPINコードを入力するだけで、後はネットワーク経由ですべて設定できる。
WCNに対応したWZR2-G300Nの設定画面。「AirStationのPINコード」を接続したいパソコン側に入力する 先の「Connect」ボタンを押すと、この認証画面が表示される。ここでPINコードを入力する
接続に成功すると、ジャンプリストの一覧に「Connected」と表示される
無線LANの新機能「SoftAP」と「VirtualWiFi」
またプレβ版には実装されていないが、無線LAN関連では「SoftAP」(ソフトウェアアクセスポイント)や「VirtualWiFi」(VWiFi)といった機能がβ版に実装される。
SoftAPは、パソコン内蔵の無線LAN機能とソフトウェアを組み合わせて、簡易的なアクセスポイントとして、有線LANと無線LANをつなぐものだ。実は2002年のWinHECでお披露めされた技術なのだが、なかなかソフトウェアが提供されなかった。
SoftAPとVirtualWiFiの構成図(WinHEC 2008のスライドより)
2002年のWinHECの際には、SoftAPと対になるクライアント側ソフト「Soft STA」も解説されていた。Soft STAを使えば、複数のアクセスポイントがある環境で、ローミングの管理をしてくれる。
2008年11月に米国で開催されたWinHEC 2008では、Soft STAに関しては、まったく説明がなかった。もしかするとSoft STAは、Windows 7のService Packなどで導入されるのかもしれない。
一方のVirtualWiFiは、2002~2006年までの4年間、マイクロソフトの研究機関Microsoft Researchで研究されていた技術だ。Microsoft Researchのウェブサイトから、ダウンロードできる。
VirtualWiFiは、ひとつの無線LAN機器を仮想化して、複数の機器として利用するためのソフトだ。つまり、ひとつの無線LAN機能しか内蔵していないノートパソコンでも、VirtualWiFiを利用すれば、複数のアクセスポイントに同時接続できる。通信速度は理論上半分になってしまうため、パフォーマンスという面ではメリットはない。しかし、ひとつの仮想デバイスで企業内のネットワークに接続しつつ、もうひとつの仮想デバイスで公衆無線LANに接続するといったこともできる。
先ほどのSoftAPと組み合わせれば、公衆無線LANにアクセスしながら、SoftAPと組み合わせてアクセスポイントとしての機能を提供することも可能だろう。
最後にもうひとつ、Windows 7から「Wake-on-Wireless LAN」がサポートされる。スリープ状態のパソコンを有線LAN経由で遠隔起動する技術があるが、Wake-on-Wireless LANはこれを無線LAN経由で行なう。
ペアリングが簡単になるBluetoothとWireless USB
Windows 7でサポートされるBluetooth関連のトピック。接続をより簡単にすることが大きな目標だ
Windows 7は標準でBluetooth 2.1に対応する(VistaはSP2から対応予定、関連記事)。さらに、今まで面倒だったBluetooth機器同士のペアリングを簡単になっている。
詳細は関連記事を参照していただきたいが、Bluetooth 2.1機器同士が自動で相手を認識して、ペアリングのためのPINコードも自動生成してくれる。ユーザーはペアリングする機器を選べばいいだけだ。
ロジクールのBluetooth対応キーボード「diNovo Mini」をWindows 7が検出 Windows 7が生成したPINコードをdiNovo Miniで入力するだけで接続できる
VistaでのBluetoothは、マウスやキーボード(HIDデバイス)、シリアルポートなどのプロファイルしかサポートしていなかったが、Windows 7ではヘッドセット、AVRCP(AV機器のリモコン)、A2DP(高品質オーディオ機器)がサポートされている。これらがサポートされることで、Bluetoothのワイヤレススピーカーやワイヤレスヘッドフォンなどが、特別なドライバーソフトをインストールしなくてもWindows 7で利用できるようになる。
Windows VistaとWindows 7でサポートされるBluetoothプロファイルの違い Windows 7におけるBluetoothのソフトウェアブロック図
Bluetoothのオーディオは、Windows 7のサウンド仕様「UAA」(Universal Audio Architecture)に統合されているため、Windowsの標準サウンドデバイスとして扱われる。これにより、複数のオーディオデバイスをOS上で切り替えて利用できる。
例えば、パソコンにBluetoothスピーカーとマイク、ヘッドセットが接続されているとする。DVDを再生するときは、Bluetoothのスピーカーで再生する。この状態で、SkypeなどのIP電話で通話しようとすると、Bluetoothスピーカーの音量を落としてマイクで通話するよう動作する。さらに、ユーザーがスピーカー+マイクではなくヘッドセットで通話をしたいと思えば、パソコン上で動的にヘッドセットに切り替えられる。
IP電話がかかってきたときに、ユーザーがBluetoothヘッドセットを使っていれば、自動でそこに通話を切り替える
Wireless USBに関しては、Windows 7では「WHCI」(Wireless Host Controller Interface)が標準でサポートされる。これにより、Wireless USBに接続された機器がUSB機器として認識されて扱いやすくなる。Windows 7でのサポートにより、Wireless USB対応機器も増えてくるだろう。
Windows 7では、Wireless USBのWHCIが標準サポートされる
新しいネットワーク「HomeGroup」
簡単だがセキュリティーの高い家庭内LAN構築を目指した新機能「HomeGroup」
Windowsのネットワークには、ActiveDirectoryを利用したドメインネットワークと、古典的なWorkgroupネットワークの2種類がある。ドメインネットワークは企業で利用されることを想定したシステムであり、家庭内ではWorkgroupを使ってネットワークを構築するのが一般的だ。
家庭内LANでファイルを相互共有したり、ネットワーク上のプリンタを利用するには、対象となるすべてのパソコンでネットワークアクセスを有効にしなければならない。これはセキュリティー面では非常に脆弱と言える。
Windows 7では新たに、「HomeGroup」という考え方を取り入れた。HomeGroupに登録されているパソコンだけに、ファイルを共有したり、プリンターを利用できるようにするものだ。例えば、パソコン上のMusic、Video、Photoフォルダーだけを、HomeGroupで共有できる。
HomeGroupではパソコン上にあるどのライブラリ/リソースを共有するかを指定する。Picture(写真)、Document(ドキュメント)、Music(音楽)、Printer(プリンター)、Video(ビデオ)などを共有できる HomeGroupに接続するためのパスワードが自動作成される。ほかのユーザーが同じHomeGroupにアクセスする際には、このパスワード入力するだけでいい
HomeGroupはActiveDirectoryのように、特別な認証サーバーが必要となるわけではない。最初にHomeGroupを作成したときに、特定のパスワードが作成される。そして、同じHomeGroupに接続したいパソコンは、初めてHomeGroupに接続する際にこのパスワード入力すればよい。
HomeGroupによって、家庭のネットワークもある程度セキュアに保てるようになる。また、ノートパソコンなどを使っているユーザーにとっては、仕事場と家庭の両環境にノートパソコンを持ち込む場合に、HomeGroupを切り替えるだけでファイル共有するフォルダーを変えたり、使用するプリンター名を変えたりできる。