802.11nとBluetooth、FM送受信を1チップに集積、ブロードコム社が携帯機器向け発売
米Broadcom(ブロードコム)社は、IEEE 802.11n規格に対応した無線LANのほか、BluetoothとFMの3つの無線機能を1チップに集積した携帯型機器向けLSI「BCM4329」を発売した。2007年2月に投入したIEEE 802.11 a/b/g準拠の従来品「BCM4325」に比べてスループットを約2倍に高めたほか、受信のみだったFM機能に送信機能を追加したことなどが特徴である。
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このLSIを例えば携帯型メディア・プレーヤに組み込めば、「エンド・ユーザーは大量のデジタル音楽コンテンツをパソコンから無線LAN経由で短時間で転送し、自動車に持ち込んでカー・ステレオにFM送信して楽しむといった使い方が可能になる」(同社でバイスプレジデント兼ワイヤレス・コネクティビティ・グループ WLANビジネスユニット本部長を務めるMichael Hurlston氏)。すでに一部顧客向けに出荷を開始しており、2009年の早い時期に量産を始める予定である。従来品と同様に、65nmのCMOS技術で製造する。
3つの無線機能に対応した物理層(PHY)回路やMAC層処理回路のほか、パワー・アンプも集積した。従って外付け部品は、「アンテナやフィルタ、低雑音アンプ、水晶発振器のほか、抵抗やコンデンサなど合計40個ほどで済む」(同氏)。外付け部品を含むプリント基板上の専有面積は75mm2程度だという。消費電力は、無線LANの連続受信時に190mWに抑えた。「従来品に比べて40%低い」(同氏)としている。
IEEE 802.11n規格に対応するとしながらも、同規格の特徴であるMIMO(Multiple Input Multiple Output)技術は採用していない。1本のアンテナを使って、単一ストリームのデータ伝送に対応する。これについて同社は、「パソコン向けでは、MIMOを採用し、複数ストリームの伝送に対応していなければ『IEEE 802.11n』とはうたえない。ただし、携帯電話機などの『Application Specific Device(特定用途向け機器)』と呼ばれる機器向けでは、単一ストリーム品でも『IEEE 802.11n』と呼ぶ」(同氏)としている。
IEEE 802.11n規格が受信可能エリアの拡大に向けてオプション機能として用意した「時空間ブロック符号化(Space Time Block Coding:STBC)」に対応する。すなわち複数のアンテナを備えるアクセス・ポイントが各アンテナから送信するSTBC方式で符号化した信号を、1本のアンテナで時間的にダイバーシティ受信することで、信号強度を疑似的に高める仕組みだ。「STBC機能を使わない場合に比べて、アクセス・ポイントのカバー・エリア内の不感帯を50%に抑えられる」(同氏)。
なお同社は、今回のように各種の無線機能を1チップに統合した製品を、今後2カ月ごとに順次投入していくと表明した。ただし次期製品については、現時点では明らかにしていない。
(薩川格広:EE Times Japan)