千葉大とNEC、無線LANを用いて通信される映像や音声の品質を向上させるダイナミック・パケット通信制御方式を開発
Tokyo, Nov 14, 2008 - (JCN Newswire) - このたび、国立大学法人千葉大学と日本電気株式会社(TSE:6701、以下NEC)は、共同研究の成果として、無線LAN上で通信される映像や音声の品質を向上させる新パケット通信制御方式を考案し、その優位性を示しました。
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近年、映像配信や音声通話、文字データの交換などの目的で、様々な情報が無線LANを通して通信されるようになっています。しかし、無線LANは有線による通信に比べてその帯域(通信媒体を土管にたとえたときの通信速度に対応する土管の太さ)に制限があり、多数の利用者がパソコンから無線LANを同時に利用しようとすると、無線空間でパケット(送りたい全体の情報を小包のように分割した単位)の衝突が頻繁に発生し、映像が乱れる、音が途切れる、通信速度が落ちるといった問題が生じます。これまで、無線LANにおいて画質や音質を保証する、いわゆるQoS(Quality of Service)制御を利用者の要求通りに実現することは、困難とされてきました。
昨年度より千葉大学とNECは協力してこの問題に取り組み、無線LANのアクセスポイント(以下、AP)において、パケットの受信の成否によらず、送出端末への応答のしかたを制御することでこの問題点を解決する方式を考案しました。さらに、時々刻々変化する通信の状況に応じて、端末への応答のしかたをダイナミックに制御することで、利用者の要求に即した最適な品質を提供する新方式を考案しました。
- 研究の背景
QoS制御を無線LANで行うための仕組みとして、IEEE802.11eが標準化されましたが、通信の優先度に関する差異が4種類まで(具体的には、音声、映像、文字データ、様々なファイルの4種類)、同じ優先度のフロー(音声通話や映像ストリーミングなどの個々のアプリケーションでの通信)どうしは同じ品質、APも利用者の端末もIEEE802.11e準拠の製品に買い換える必要がある、などの実用上の問題があります。
- 考案方式の概要と優位性
無線LANの基本プロトコルでは、データパケットを受信したAPもしくは端末が、送信元に受信確認パケット(ACKパケット)を送ることで、データパケットが正しく届いたことを知らせます。考案方式は、この手順を利用して、APにおける単純な制御により、端末の品質を向上させるものです。
考案方式の具体的な手順は以下の通りです。APは端末からデータパケットを受信した際に、端末毎に定められた優先度に応じた確率で、パケットを廃棄します(受信拒否)。APによる受信拒否が行われると、送信元の端末にACKが送信されないため、端末はパケット衝突等による送信失敗と判断して、データパケットを再送します。無線LANの基本プロトコルでは、一定の時間待たないと、データパケットは再送できません。しかも、再送が繰り返されるほど待つ時間は長くなります。従って、APが受信拒否を頻繁に行う端末ほど、パケット送信間隔が長くなり、結果としてデータパケットが受信端末に届く速度(以下、スループット)が低くなります。例えば、文字データを送りたい非優先端末からのパケットをAPが高い確率で受信拒否することで、音声や映像を通信する優先端末からのパケット衝突頻度を抑え、音質、画質を向上させることができます。
考案方式の優位性は、(1)APの機能を変更するのみで、利用者が使う端末の変更が不要、(2)差異をつけうる優先度の数も任意に設定できる、(3)端末数や優先端末のスループットに応じて、受信拒否確率を動的に変化させる仕組みを取り入れることも可能、という点にあります。
優先端末の通信品質のレベルを維持しながら、非優先端末の通信も最大限許容できるように端末毎の受信拒否確率を最適に設定する必要がありますが、受信拒否確率の最適値は、端末数や各端末のスループットに依存します。そこで、(3)では、様々な変化にダイナミックに対応しながらきめの細かい、最適なQoS制御を可能にする方式を考案しました。まず、時々刻々変化する各アプリケーションの通信量や通信の混雑状況をAPにおいて監視します。さらに、優先フローのスループットが利用者の要求に達して非優先フローの通信を必要以上に抑制したり、逆に非優先フローの通信量が増加して優先フローの通信を圧迫し利用者の要求性能を下回りそうになったりした時には、優先フローに関して利用者の要求性能を満たしつつ、非優先フローが残りの帯域を最大限使用することを可能にするよう、各端末の受信拒否確率をダイナミックに調整します。
この(3)の方式については、11月13日に福岡で開催されます電子情報通信学会情報ネットワーク研究会において発表致します。
概要: 日本電気株式会社(NEC)
NECと国内外のグループ企業の連携によって、NECを中心とした「IT・ネットワークソリューション事業」、NECエレクトロニクスを中心とした「半導体ソリューション事業」を展開しています。また両者のシナジー(相乗効果)を発揮することで、お客さまにとって真に価値のあるソリューションの提供につとめています。詳細は、 http://www.nec.co.jp/
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