話題のハイテクヘルメット“Uメット”を現場で使ってみた!
建設現場で使うヘルメットには、笛やクレーン誘導用のヘッドホン・マイク、ヘッドランプなど様々なものを取り付けていますが、さらに電話やカメラが付いたら・・・と考え出されたのが谷沢製作所が開発中の「Uメット」です。まだ試作品段階ですが、戸田建設の佐藤郁氏に現場で色々と試してもらいました。
http://www.nikkeibp.co.jp/news/const08q3/583468/
今回、試用したUメットには、無線LANによる音声通信、Webカメラ、赤外線位置検出、アラーム機能を搭載しています。電源供給には単三電池8本も内蔵しています。実際に被ってみて、お辞儀をしたり、左右に頭を振ってみたりしましたが、装着感が良いためか、着用感は意外に普通のヘルメットと変わりませんでした。
現場事務所と約300m離れた地点で、長距離無線LANを介してUメットで映像や音声をやりとりしました。事務所の声はほとんど違和感なく明瞭に聞きとれました。こちらの声も事務所へは伝わっているようです。Uメット内蔵のWEBカメラの映像もとてもきれいに送信できました。
そして、事務所からUメットにアラームを送信してもらいました。その瞬間、大音響とあごひもに付いたバイブレータでやかましいぐらいにアラームが鳴り響いたのです。
建設IT実験隊/その他
話題のハイテクヘルメット“Uメット”を現場で使ってみた!
保護帽(ヘルメット)は建設現場はもちろん、工場や消防や救急隊員などなど様々な現場で用いられ、欠くことのできないものです。ヘルメットには笛やクレーン誘導用のヘッドホン・マイク、ヘッドランプなど様々なものを取り付けていますが、さらに電話やカメラが付いたら・・・と考え出されたのが谷沢製作所が開発中の「Uメット」です。まだ試作品段階でヘルメットの強度が十分ではないので安全な場所での試用になりましたが、戸田建設の佐藤郁氏にレポートしてもらいました。
【今回の製品】
Uメット(谷沢製作所) 【今回の実験隊】
佐藤 郁氏(戸田建設)
ユーティリティスペース付通信ヘルメットヘルメットの中に携帯電話や無線LAN、動画カメラ、アラーム、マイク、GPSなど様々な電子機器を搭載できる。 戸田建設アーバンルネッサンス部技術チーム主幹。工学博士、技術士(建設部門、情報工学部門)。主な作品は東大崎跨線橋、葛野川ダム、新小岩大橋など。土木学会、土木工業協会、JACIC、JAPICなどの委員も勤める。
はじめに
現場に行くときに必ず身につけていくものと言えば、野帳、電卓、デジカメ、コンベックス、シャープペン、赤鉛筆、三角スケール、図面、トランシーバ(携帯電話)、安全帯、安全靴、ヘルメット、トラチョッキ、軍手、笛などなど・・・・思えばいろいろ持っているものです。
これらの中でもヘルメットだけは、どのような現場でも誰もが共通に身につけなければならないものでしょう。これだけたくさんの装備をポケットに入れたり、腰のベルトに付けたり、リュックサックに入れたりと持ち運びにはいろいろと苦労するのですが、
「ヘルメットに内蔵しちゃえ」とはあまり考えなかったのではないでしょうか。
そういえば超有名なSF映画4部作では帝国軍も同盟軍も色の違うヘルメットを装着し、様々な機能が備えてあったような気もします。(帝国軍の首領は黒い呼吸器付きのフルフェイスヘルメットを被っていましたっけ。)
そんなSF映画に出てきそうな機能をもったヘルメット(Uメット ユーメット)を谷沢製作所とNECが共同開発し、その試作機を実際の現場で試してみました。
現場で使う様々なIT機器をヘルメットに搭載した「Uメット」の概念図
Uメットの機能
Uメットの基本機能は「3G携帯」、「無線LAN(音声通信)」、「Webカメラ」、「GPS」、「赤外線位置検出(smart locator)」、「アラーム機能」の5つです。これらの他にも、製品段階では、転倒アラームや温度センサー、SDカードなども内蔵できるそうです。
今回試用したのは製品化前の試作機なので、このうち
無線LAN(音声通信)
Webカメラ
赤外線位置検出
アラーム機能
を搭載しています。それぞれのパーツの他、電源供給のため単三電池8本もヘルメットに内蔵しています。
Uメットの構造図
これだけの電子機器を搭載するととても大きなヘルメットになりそうですが、外見は普通のヘルメットと同じでさほど違和感はありません(実際にかぶったところはのちほど)。
左:Uメット 右:工事用ヘルメット
Uメットのウラ面
機器構成
今回のUメットには、携帯電話が付いていないので、通信機能を試用するためには無線LANでの通信となります。最低限機能させるための機器構成は
無線LANのアクセスポイント
ミキシングサーバ(音声通信用)
ビューアPC(WEBカメラの画像を確認、音声通信、アラーム送受信用)
とこれらを繋ぐ
スイッチングハブ
になります。
Uメットを稼働させるための機器構成
装着感
実際に被ってみると、発砲スチロール入りのヘルメットの装着感とほとんど変わりません。
気になる重量ですが、約1.1kg(製品は1kg以下を予定)と軽量のノートパソコンぐらいと普通のヘルメットに比べると、手で持った感覚としては重い気がして正直なところ被るのをためらったのですが、実際に被ってみると不思議と重さを感じません。
お辞儀をしたり、左右に頭を振ってみたりしましたが装着感が良いためか、意外に普通のヘルメットとあまり差はありませんでした。
Uメットの装着感(左)は、普通のヘルメットをかぶったとき(右)とあまり変わらなかった
実験
では、「早速現場で使ってみよう!!」といきたいところでしたが、稼働中の現場で試用するためには、2つの大きな問題がありました。
試作品で強度などヘルメットとしての機能を満たしていない
通信設備が無線LANだけであり、近く(30~50m)にアクセスポイントが必要
つまり、ヘルメットが無くても安全で、LAN回線がある場所を探さなければなりません。ムムッ・・・「これって現場事務所の周りだけじゃん!!」
ということになるのですが、これではいかに何でも臨場感が出ないので、いろいろ思案して、
とにかく広い現場でヘルメットが不要な現場
アクセスポイントを乗用車に積んで、乗用車と現場事務所を無線LANで繋ぐ
Uメットは乗用車の周りで使う
という計画をたて、図のような構成にしました。
今回の実験の機器構成
事務所側の装置
車載装置。上が長距離無線LAN用のアクセスポイント、下がUメット用のアクセスポイント アクセスポイント用の乗用車。クルマの上に立っているのが長距離無線LAN用アンテナ
実験結果
【地点1】
肉眼で直接事務所が見える約300m離れた地点で確認しました。長距離無線LANの通信速度は54MBPSとほぼ全開の状態です。
事務所の声はほとんど違和感なく明瞭に聞きとれました。こちらの声も事務所へは伝わっているようでしたが、どこかの設定が間違っていたのか、自分の声が再び返ってきてしまい少々不自由でしたが、製品版ではIP電話で広く利用されているSIPに対応するとのことで心配なさそうです。
Uメット内蔵のWEBカメラの映像もとてもきれいに送信できました。
事務所からアラームを送信してもらうと・・・・!!!! 瞬時に大音響とあごひもに付いたバイブレータでやかましいぐらい。ちなみに、携帯電話の着信音を最大にして同時にバイブレータもかけて耳に当てたような感じです。通常の連絡であればバイブレータだけでも十分です。これがあれば緊急時の避難連絡なども一発で伝わりそうです。
地点1から現場事務所を望む。中央の大きな木の下に事務所の屋根がかすかに見える
地点1での長距離無線LANの通信速度
UメットのWEBカメラの映像。事務所のViewerPCの画面を撮影
アラーム音が鳴ったときの状態。音とともにUメット側面の窓が点滅します ↑上記の画像をクリックするとアラーム作動中のミニムービーが見られます
【地点2】
地点1があまりにも感度が良かったので、途中に障害物があり、直接見通せない現場事務所より約600mの道路上に移動して再度実験しました。通信速度は約11Mpsに下がりましたが、地点1とほぼ同じ結果になりました。
11Mbps の速度で接続しています
地点2でのUメットのカメラの映像。走っている自動車が鮮明に写っている
おわりに
ヘルメットは保安帽としての検定を通らないと「ヘルメット」として認めてもらえないそうで、何らかの付属物を取り付ける場合には、取り付けた状態でも検定を通らないといけないとのことでした。
「Uメット」と聞くとユビキタスを思い浮かべますが、検定の話を聞いて、「ユーティリティスペース付通信ヘルメット」という名称に納得した次第です。
Uメットの機能のほとんどは携帯電話に付いている機能なので、携帯電話をバラバラにしてヘルメットと頭の隙間に詰め込めば同じだと簡単に考えていたのですが、「保安帽」ゆえの難しさがあるようで、ヘルメットメーカーの熱意がひしひしと伝わってきました。
軽量化や省電力化、コスト低減などまだまだ解決すべき課題はありますが、災害復旧や人命救助の現場からのニーズが多いそうで、現場でUメットが標準になる日もそう遠くないかも知れません。
■実験隊によるUメットの評価 (各項目とも 5:非常に優れている 3:平均 1:全然ダメ) 評価項目 評価の視点
スグレモノ度 製品自体がもつ機能、性能の評価
お役立ち度 製品を業務に導入したときの省力化、効率化の評価
おトク度 機能、性能に対する価格の評価
とっつき度 使いこなせるようになるまでの手間と時間の評価
ユビキタス度 他のシステムとの連携、互換性の評価
おすすめ度 業界内の知人に薦めたいかどうかの評価
【取り上げてほしい建設IT製品のリクエスト募集中!!】
「建設IT実験隊」のコーナーで取り上げてほしい建設IT関連製品のリクエストをお待ちしています。メーカーからの製品提供のお申し出も歓迎します。ご希望がありましたら、コメント欄またはメールでお気軽にお知らせください。
2008年09月01日 10:58 | パーマリンク