25.5型ワイド液晶を一体化したクリエイティブPC――「VAIO type R」
ソニーのハイエンドデスクトップPC「VAIO type R」は、セパレート型から液晶一体型にボディを変更。動画編集用と写真編集用で2つのモデルを用意する。
ボディもラインアップ構成も一新したtype R
ソニーは9月9日、液晶ディスプレイ一体型デスクトップPC「VAIO type R」(VGC-RTシリーズ)を発表した。店頭販売向けのラインアップは、動画編集用のビデオエディション「VGC-RT70D」と、写真編集用のフォトエディション「VGC-RT50」の2モデルを用意する。いずれも価格はオープンプライス。量販店での予想実売価格は、前者が40万円前後で11月上旬の発売予定、後者が35万円前後で9月20日の発売予定だ。
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ビデオエディションの「VGC-RT70D」は、2基の地上デジタルテレビチューナーやVAIO AVCトランスコーダー、USBジョグコントローラを備えている(写真=左)。フォトエディションの「VGC-RT50」には、遮光フードが付属する(写真=右)
VAIO type Rはクリエイティブ用途向けのハイエンドデスクトップPC。2008年5月に発売された前モデルまではPC本体と液晶ディスプレイが分離したセパレート型のボディを採用していたが、新モデルでは一転し、25.5型ワイド液晶ディスプレイ一体のボディとなった。
ボディの変更とともにラインアップも一新している。前モデルは動画編集を重視した仕様で、基本スペックや液晶ディスプレイが異なる3モデル構成だったが、新モデルでは動画編集用のビデオエディションと写真編集用のフォトエディションが用意され、目的別に最適化した2モデル構成となった。
液晶一体型のスリムボディにハイスペックを凝縮
新開発のボディは本体サイズが661.8(幅)×235.5(奥行き)×439.3(高さ)ミリ、重量が約18.8キロと、単体の25.5型ワイド液晶ディスプレイに迫る設置面積に従来機以上のハイスペックなPCを凝縮している。ディスプレイ部の上下に細長い穴を多数開け、ボディ内部を下から上に空気が通る吹き抜け構造とすることで、システムの放熱に配慮した。画面の位置調整は、上15度/下5度のチルト、左右各45度のスイベル、60センチの昇降に対応する。
VGC-RT70Dの前面と背面。前面から見たボディは、まるで単体の液晶ディスプレイのようだ(写真=左)。キーボードは未使用時にディスプレイ部の下に収納できる仕組み。背面は着脱可能なカバーで覆われている(写真=左)。背面のカバーを外すと、HDDベイやメモリスロット、HDMI入出力などにアクセスできる(写真=右)。2基のHDDベイやメモリスロットはドライバでネジを外してカバーを開くだけでアクセス可能
基本スペックは、デスクトップPC用のCPU、チップセット、3.5インチHDDと、ノートPC用のメインメモリ、GPU、スリムタイプの光学ドライブを組み合わせている。CPUはCore 2 Quad Q9400(2.66GHz/2次キャッシュ6Mバイト/FSB 1333MHz)、チップセットはIntel P43 Express、GPUはNVIDIA GeForce 9600M GT(グラフィックスメモリ512Mバイト)を採用。メインメモリはDDR2-800 SDRAMを使用し、本体にはPC2-6400 SO-DIMMスロットを4つ用意している。メモリ容量は標準4Gバイト(2Gバイト×2)、最大8Gバイト(4Gバイト×2)だ。
HDDは回転数7200rpmのSerial ATAドライブを2基内蔵し、容量はVGC-RT70Dが1Tバイト(500Gバイト×2のRAID 0構成)、VGC-RT50が640Gバイト(320Gバイト×2のRAID 0構成)を備えている。2モデルとも、光学ドライブは1層BD-Rに4倍速、1層BD-REおよび2層BD-R/REに2倍速で書き込めるBlu-ray Discドライブだ。OSはWindows Vista Home Premium(SP1)をプリインストールしている。
インタフェースはUSB 2.0×5、4ピンのIEEE1394×1、eSATA×1、HDMI入力×1、HDMI出力×1、光デジタル音声出力(角型)×1、アナログ音声入出力、メモリースティックPROスロット、SDメモリーカード(SHDC対応)/MMCスロット、CFスロット、ExpressCard/34スロットなどを装備。ネットワーク機能は1000BASE-Tの有線LAN、IEEE802.11b/g/n(11nはドラフト準拠)の無線LAN、Bluetooth 2.1+EDRを持つ。製品にはFeliCaポート付きのワイヤレスキーボードと、スクロール機能付きの5ボタンワイヤレスマウスが付属する。
本体の左右にある各種インタフェースは、手前に少し傾いて配置されており、前方からアクセスしやすくしている(写真=左/中央)。側面にはヘアライン加工のアルミパネルを装着し、高級感に配慮した。付属のキーボードとマウスはデジタル無線方式のワイヤレス仕様だ(写真=右)
一体型ならではの最適化された画質と音質
1920×1200ドット表示の25.5型ワイド液晶ディスプレイは広色域仕様だ 25.5型ワイド液晶ディスプレイは、解像度1920×1200ドット(WUXGA)のノングレアパネルを用いている。同社が「リッチカラー液晶」と呼ぶ広色域のパネルで、xy色度図上のAdobe RGBカバー率は96%、u'v'色度図上のNTSC比は103%をうたう。WinDVD使用時はx.v.Colorの色域での動画再生が可能だ。
高画質化技術については、ノイズリダクション、アップスケーリング、高画質I/P変換、シャープネスの4つから構成される「Motion Reality HD」が、DVDやBlu-ray Disc、地上デジタル放送の再生時に働く。従来機のMotion Realityは専用のチップで処理していたが、新モデルではNVIDIAの高画質化技術「PureVideo」を用いてMotion Reality HDを実現する。CPUを使った画像処理技術に比べて、CPU負荷を上げずに映像を再生可能だ。
また、用途に応じて色設定のパターンを変更できる「色モード」設定機能(いわゆる画質モード)を搭載。標準、テレビ、BD/DVDの3つのモードが用意され、表示するコンテンツに合わせて自動で最適な色設定に変更できる。HDMI出力とHDMI入力を1系統ずつ備え、HDMI入力時はPCの電源がオフでも外部ディスプレイとして使用可能だ(パススルー表示のみで、録画や取り込みは不可)。PC映像とHDMI入力の切り替えは本体右側面のボタンから行える。
オーディオ機能は、VAIOおなじみのDSD録音/再生対応サウンドチップ「Sound Reality」と、DSP/S-masterデジタルアンプを内蔵するほか、サラウンド音響技術の「Dolby Home Theater」をサポート。液晶ディスプレイの両側面には横幅2センチで出力5.5ワットの新開発ステレオスピーカー「リニアラインドライブ」、背面には65ミリ口径で出力11ワットのサブウーファー「ダイナミクスウーファー」を内蔵する。一体型ボディを生かして、視聴位置に合わせて最適になるように音質はチューニングされている。
ビデオエディション「VGC-RT70D」
ビデオエディションのVGC-RT70D ビデオエディションのVGC-RT70Dは、動画編集関連のアプリケーションを豊富にプリインストールした。動画編集用およびBD/DVDオーサリング用の「Premiere Pro CS3+Encore CS3」をはじめ、ソニー製ビデオカメラ「ハンディカム」で撮影したHDV/AVCHD形式の動画をPremiere上で軽快に扱うためのプロキシ編集やスマートレンダリング機能を備えたプラグイン「VAIO Edit Components Ver.6.4」、マルチトラック音楽編集用の「DigiOnSound5 for VAIO(HDV対応版)」、DVDオーサリング用の「TMPGEnc DVD Author 3 for VAIO」、MPEGカット編集用の「TMPGEnc MPEG Editor 2.0 for VAIO」、画質補正/ファイル変換用の「TMPGEnc 4.0 XPress for VAIO」などを用意する。
2基の地上デジタルテレビチューナーとハードウェアトランスコーダーの「VAIO AVCトランスコーダー」を搭載しているのもVGC-RT70Dの特徴だ。テレビ視聴・録画・管理ソフトは「Giga Pocket Digital(Ver.1.2)」を採用。新たにVAIO AVCトランスコーダーを実装することで、番組をリアルタイムでMPEG-2からMPEG-4 AVC/H.264に変換しつつ、容量を最大3分の1程度に抑えてHD画質のまま録画したり、録画後に番組をMPEG-4 AVC/H.264に変換できるようになった。
VAIOトランスコーダーによるテレビ録画時間
画質 録画モード ファイル形式 ビットレート 100Gバイトに録画可能な時間の目安
HD画質 DR MPEG-2 約17Mbps 約12.5時間
HD高画質 MPEG-4 AVC/H.264 約10Mbps 約21.5時間
HD長時間 MPEG-4 AVC/H.264 約5Mbps 約43時間
SD画質 SD標準 MPEG-4 AVC/H.264 約2.5Mbps 約86時間
SD長時間 MPEG-4 AVC/H.264 約1.5Mbps 約144時間
VAIO AVCトランスコーダーは「VAIO Movie Story」や「Click to Disc/Click to Disc Editor」「VAIO Content Exporter」で動画変換の速度を高速化する機能も持つ。VAIO AVCトランスコーダーは、MPEG-4 AVC/H.264からMPEG-2出力、HDVからMPEG-4 AVC/H.264出力、MPEG-4 AVC/H.264からDVDに書き出すためのファイル変換、VAIO Movie StoryからMPEG-4 AVC/H.264出力といったシーンで働く。
高速化の例としては、VAIO Movie StoryでHDVの素材からムービーを作成し、MPEG-4 AVC/H.264で出力した場合、変換時間は17分から8分に短縮(約3倍)できたほか、VAIO Content ExporterでHDVをMPEG-4 AVC/H.264に変換して出力した場合、変換時間は5時間52分から1時間1分に短縮(約6倍)できたという。
ただし、素材のカット編集が行なわれている場合や、出力リストの動画を1つにまとめて出力する場合、HDVを1440×1080ドット以外の解像度で出力する場合、ステレオ入力の音声素材をドルビーデジタル5.1チャンネル出力に設定した場合などでは、ハードウェアトランスコーダーは利用できない。
そのほか、動画編集ソフトの操作に役立つUSBジョグコントローラ、動画編集の基礎から応用、VAIO Edit Componentsの活用方法、DVD/BDの作成方法を解説したチュートリアルPDFも収録されている。
VAIO AVCトランスコーダーのボード(写真=左)。テレビ操作用のリモコンやUSBジョグコントローラが付属する(写真=右)
フォトエディション「VGC-RT50」
フォトエディションのVGC-RT50 フォトエディションのVGC-RT50は、RAW現像・画像管理ソフト「Photoshop Lightroom 2」とフォトレタッチソフト「Photoshop Elements 6」をプリインストール。ソニーのデジタル一眼レフカメラ「α」シリーズで撮影したRAWデータをLightroomで現像する際、αのカメラ本体での画作りに近い結果が得られる画質調整パラメータ「αプリセット」を備えている。また、エプソン製の顔料インクジェットプリンタを使う場合にPhotoshopとプリンタドライバのカラーマネジメント設定を簡略化できる「EPSON Print Plug-in for Photoshop」も搭載される。
25.5型ワイド液晶ディスプレイは出荷時でICCプロファイルが設定されており、カラーマネジメント対応アプリケーションを使用する際、Adobe RGBとsRGBの画像をほぼ正しい色域で再現できるという(カラーキャリブレーション機能のオプションは用意されていない)。また、デジカメからの画像取り込み用にUDMA対応の高速CFカードスロットを搭載したほか、外光の映り込みを抑える専用の遮光フードが付属する。
遮光フードを装着した状態でカラーとモノクロのグラデーションを表示した例(写真=左/中央)。液晶ディスプレイとしての詳細なスペックは非公開だが、入手した試作機の液晶パネルはTN方式だった。遮光フードは側面の溝にはめ込む仕組みで、工具なしに着脱できる(写真=右)
VAIO type R店頭モデルの違い
モデル名 VGC-RT70D VGC-RT50
主なソフト Premiere Pro CS3+Encore CS3、DigiOnSound、TMPGEnc Lightroom 2、EPSON Print Plug-in for Photoshop
HDD 1Tバイト 640Gバイト
テレビ 地上デジタル×2 -
ハードウェアトランスコーダー VAIO AVCトランスコーダー -
付属アクセサリ USBジョグコントローラ、リモコン 遮光フード
VAIOオーナーメードモデルではよりハイスペックな仕様も用意
なお、直販のVAIOオーナーメードモデルでは、Core 2 Quad Q9550(2.83GHz)やCore 2 DuoのCPU、最大2TバイトのHDDやRAID構成(0/1/なし)、テレビチューナーやAVCトランスコーダー、USBジョグコントローラ、遮光フードの有無、ワイヤードのキーボードとマウス、Office 2007、Vista Ultimate(SP1)などを選択できる。
VAIO type R店頭モデルの概要(その1)
シリーズ名 モデル名 タイプ 従来比較 CPU メモリ HDD OS 実売
VAIO type R VGC-RT70D(ビデオエディション) 液晶一体型 フルモデルチェンジ Core 2 Quad Q9400(2.66GHz) 4096MB 1TB Home Premium(SP1) 40万円前後
VGC-RT50(フォトエディション) 液晶一体型 フルモデルチェンジ Core 2 Quad Q9400(2.66GHz) 4096MB 640GB Home Premium(SP1) 35万円前後
VAIO type R店頭モデルの概要(その2)
シリーズ名 モデル名 液晶 解像度 チップセット 光学ドライブ GPU TV機能 重量
VAIO type R VGC-RT70D(ビデオエディション) 25.5型ワイド 1920×1200 Intel P43 BD-R/RE対応Blu-ray Disc GeForce 9600M GT 地デジ×2 約18.8キロ
VGC-RT50(フォトエディション) 25.5型ワイド 1920×1200 Intel P43 BD-R/RE対応Blu-ray Disc GeForce 9600M GT - 約18.8キロ