確かにiPhoneは魅力的だった・・けど
日経エレクトロニクス8月11日号の特集「iPhone 3G」の特集を執筆するため,iPhone 3Gを購入した。私が購入した個体は,早速分解に回されてしまったので,それほど使い込んだわけではない。だが,確かに使っていて何となく面白い。なんとなく「わくわく」する。そして,面白い。今までのパソコンや携帯電話機とは異なる,新しい操作方法やユーザー体験には感心させられた。これまでの携帯電話機では得られなかった感覚だ。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/TOPCOL/20080807/156152/
だがそこまでだった。面白いし,魅力的ではあるが,自分で使う機器として購入を決断するには,バリュー・フォー・マネーを考えなければならない。この観点に立つと,私の場合はiPhoneに乗り換える理由が成り立たなかった。
まず電話として比べてしまうと,iPhoneはあまり使いたいとは思わない。むしろ,ごく普通の形状の電話の方が望ましい。米国風に,Bluetoothヘッドセットを付けるというのも,今ひとつ乗り気にならない。一方でiPhoneの売りであるインターネット機能だが,正直別に目新しいとは思わなかった。実はソフトバンクモバイルの「X02NK」を使った経験があったからだ。
X02NKはフィンランドNokia Corp.の「N95」をソフトバンクモバイル向けにカスタマイズしたもので,Symbian OSとNokia社の「S60」と呼ぶプラットフォームを採用した携帯電話機だ。S60対応のソフトウエアであれば,かなりの確率でX02NKでも利用できる。X02NKにインストールするソフトウエアなどを探してみたりすると,なんとなくわくわくしてくる。昔,Palm ?を使い始めたときと似たような感覚だ。
インターネット機能を考えても,iPhoneにひけをとらない。POP3クライアントが標準装備されているので,例えば米Google Inc.の「Gmail」と接続して,オフラインでメールを閲覧することもできる。iPhoneなら,「Mobile Me」を使えばプッシュ型で送ってくれるという先進性はあるが,Gmailクライアントとしては同等だ。Webブラウザーとしても,標準のNokiaブラウザーではFlashコンテンツを含むパソコン用のサイトは閲覧できないが,「YouTube」に掲載された動画を閲覧するための専用ソフトウエアや,中にはAV動画がよく掲載されるサーバー専用の動画再生ソフトウエアなどが作られている。Flash Lite 3.0のベータ版もあるなど,App Storeに統合されてきれいに地ならしされたマーケットとは違う,混沌とした雰囲気が猥雑な活気を醸し出しているようで面白かった。
ただそれでも,いろいろと粗は見える。やはりパソコンに比べて,描画に時間がかかる。これは3Gを使って通信しているときよりも,無線LANを介して通信している時の方が痛切に感じる。同じページを表示させるのにも,無線LANを経由している方が3G経由よりも時間がかかる。特にこれはWEPキーを設定した無線LANスポットで感じられる。おそらくソフトウエアで暗号化処理をしているためだろう。iPhoneについては残念ながら無線LAN環境で使う機会がなかったので,このあたりどうなっているかは分からないが,おそらくN95よりは快適に使えるだろう。
これらの機器を使って,iPhoneにしてもX02NKにしても,いつでもどこでもインターネットにつながる安心感,というのは得られた。だが,どこかしら使いにくい。パソコンと違う部分があるせいか,どこかしら違和感を感じる場面がある。あとFlashコンテンツを使ったWebサイトが見られないというのも,パソコンに比べるとかなりマイナスだった。機能的な不満はこれくらいで,維持費が安ければ持っていたいと思ったくらいだ。
が価格は決して安くはない。月額固定で7280円支払うとなると,正直言ってちょっと維持するのがつらい。本気でパソコン代わりに使うには少々物足りないし,かといってちょっとした情報を手軽に取るだけであれば,ケータイ向けのサイトでも,多少の工夫をすれば十分対応できる。だったら今まで通り,携帯電話機を使い続けるのがよかろう。家族の割り引きもあることだし。
こういう結論に達し,およそ1カ月間,iPhoneとX02NK用でソフトバンクモバイルの回線を持っていたが,月末で解約した。1カ月の間に新規契約と解約を繰り返したので少々心苦しいが,インセンティブを貰ったわけではないので良しとしよう。
と思っていたら,最低料金を切り下げると発表。うーん。これなら解約しなくてもよかったかなぁ。