黒くソリッドなもう1つのソニー主力ノート「VAIO type BZ」を試す
VAIOの家庭向け売れ筋ノートといえば、type C、type N、type F(FW)などの名前が思い浮かぶが、もう1つの市場で主力となるのが「type BZ」だ。
フラットでソリッドなボディに変身
http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0808/12/news027.html
15.4型ワイド液晶ディスプレイ搭載のビジネス向けノート「VAIO type BZ」 ソニーの「VAIO type BZ」は、シグマデザインのボディが印象的なビジネス向けノートPC「VAIO type BX」の後継となる製品だ。先代からフルモデルチェンジを行なっており、ボディデザイン、内部構造ともに一新されている。店頭販売は行なわれず、直販のソニースタイルのみで販売され、パーツ構成をカスタマイズしてのオーダーが可能だ。
ボディは幅が362.4ミリ、奥行きが266.8ミリで、フットプリントはtype BX(363.2×265.6ミリ)の15.4型ワイド液晶ディスプレイ搭載モデルとほとんど変わらない。しかし、高さは29.8~37.8ミリとtype BXの同モデル(37.8~40.5ミリ)に比べてかなり薄くなっている。
重量も先代の約3キロから約2.6~2.7キロへと軽量化された。天面と底面はマグネシウム合金で構成しており、ソリッド感も十分。具体的な数値は公表されていないものの、キーボードへの防滴試験、ディスプレイ開閉試験、一点加圧試験、加圧振動試験、衝撃試験などの堅牢性試験もクリアしているという。
デザインは、本体側面をシグマ(Σ)形状に仕上げたtype BXから大きく変わった。ビジネス向けだけにそれほど派手な仕上げではないが、液晶ディスプレイのヒンジ部にバッテリーパックを内包しつつ、ヒンジ右に電源ボタン、ヒンジ左にDC入力端子を配置した「シリンダーデザイン」を採用している。これは「VAIO type T(TZ)」の影響を受け、7月16日に発表されたCentrino 2対応VAIOノートに全面的に組み込まれたものだ。また、キーボード周辺のベゼルが少しくぼんだフォルムにも、type T(TZ)などの影響が見られる。
さらに、キーボード周辺のベゼルが少しくぼんだフォルム、格子柄を採用したタッチパッド、キーボード奥にある細かいパンチング加工が施されたスピーカーなど、さりげないセンスを感じさせる外装だ。本体の周囲を少しだけ斜めにカットして天板の開閉や側面の端子へのアクセスをしやすくしたtype BX譲りの多面デザインや、LEDを使ったパームレスト手前のカラフルなインジケータも好印象で、見た目のよさと見やすさが両立されている。
type BXはシルバーとブラックのツートーンカラーだったが、シンプルなブラック1色に統一された。液晶ディスプレイのヒンジ部をシリンダー状に仕上げたデザインにより、対面側から見たデザインはすっきりしている(写真=左)。端子やインジケータが上から見やすいように、側面を少しだけ斜めにカットした多面デザインはtype BXと同様だが、カットの角度は浅くなり、Σ形状ではなくなった(写真=中央)。天板には、マットな質感で手になじみやすい粉体塗装が施された(写真=右)
最先端のハードウェアでビジネスをサポート
ビジネス向けにフォーカスした製品のため、装備はシンプルだが、内部のアーキテクチャは最先端のものを採用している。CPUは4種類から選択できるが、いずれも45ナノプロセスルール製造のPenryn(開発コードネーム)コアを採用した最新のCore 2 Duoだ。2次キャッシュを6Mバイト内蔵するT9600(2.80GHz)、T9400(2.53GHz)に加え、2次キャッシュ容量が3MバイトのP8600(2.40GHz)、P8400(2.23GHz)も用意されている。
チップセットも発表されたばかりのIntel GM45 Expressを採用している。内蔵グラフィックスコアのIntel GMA 4500MHDはDirectX 10に対応し、3D描画性能がIntel GM965 Express内蔵のIntel GMA X3100よりも若干アップしているほか、H.264/VC-1/MPEG-2のハードウェアデコードを含む動画再生支援機能に対応するのが特徴だ。
これはBlu-ray DiscなどのHDコンテンツを快適に再生するための機能だが、本機はビジネス向けという位置付けのため、光学ドライブはDVD±R DL対応DVDスーパーマルチドライブのみとなっており、付属ソフトの「WinDVD for VAIO」使用時にDVD-Video(MPEG-2)とAVCHD(H.264)のハードウェアデコードがフルで有効に、Windows Media Player使用時にDVD-VideoとDVR-MS(MPEG-2)のハードウェアデコードが部分的に有効になるという。Blu-ray Discドライブの搭載が選べないため、Blu-ray Disc再生時のH.264ハードウェアデコードに対応しないなど、支援機能への対応は一部制限されている。
底面のカバーを開けば、メモリスロットやHDDベイに容易にアクセスできる。ACアダプタはtype BXのものより小型化された メモリスロットはPC2-6400用が2つあり、4Gバイト(2Gバイト×2)、2Gバイト(2Gバイト×1)、1Gバイト(1Gバイト×1)の3種類の構成が選べる。メモリスロットはネジ止めされた底面のカバーを外すことでアクセス可能だ。
HDDは2.5インチ/Serial ATA対応で、80Gバイトから320Gバイトまで5種類の5400rpmドライブが選択できる。さらに、200Gバイトに関しては7200rpmの高速モデルも用意されるため、合計6種類の選択肢となる。なお、センサで振動や衝撃を検知し、HDDを保護する機能も装備している。
本体装備のインタフェースは、3ポートのUSB 2.0、IEEE1394(4ピン)、メモリースティックPROスロット、SDメモリーカードスロットのほか、ビジネス用途を意識し、アナログRGBの外部ディスプレイ出力、PCカードスロット(TypeII×1)も装備する。3つのUSB 2.0ポートは左右に振り分けられ、また有線LANや外部ディスプレイ出力は奥側に配置されるなど、使いやすさにも配慮されている。通信機能は1000BASE-Tの有線LANのほか、IEEE802.11nドラフト準拠の無線LAN、Bluetooth 2.0+EDR、さらに56kbpsのFAXモデムを持つ。
前面にはヘッドフォン、マイク、メモリースティックPROスロット、SDメモリーカードスロット、各種インジケータを配置(写真=左)。背面はバッテリーで占有される(写真=右)。バッテリー駆動時間は、標準のSタイプ(11.1ボルト 4400mAh)で約5時間~約5.5時間、大容量のLタイプ(7200mAh)で約8時間~約9時間をうたっており、据え置きでの利用が中心の大型ノートPCとしてはかなりの長時間を確保している
左側面にはACアダプタ接続用のDC入力、排気口、アナログRGB出力、USB 2.0×1、TypeII×1のPCカードスロットを備えている(写真=左)。右側面には、4ピンのIEEE1394、USB 2.0×2、光学ドライブ、有線LAN、FAXモデム、電源ボタンが並ぶ(写真=右)
プリインストールOSはWindows Vista Business(SP1)を採用。法人向けカスタマイズモデルは、Windows XP Professional(SP2)へのダウングレードにも対応する。
視認性の高い液晶ディスプレイと快適な入力環境
15.4型ワイド液晶ディスプレイは2種類から選べる 液晶ディスプレイは、LEDバックライトを採用した光沢仕様の「クリアブラックLE液晶」と、非光沢仕様の「ノーマル液晶」の2種類が用意される。いずれもサイズは15.4型ワイドだが、画面の解像度は後者が1280×800ドットに対して、前者は1440×900ドットと広い。また、前者を選んだ場合は有効131万画素のWebカメラが標準装備(ノーマル液晶の場合は選択式)となり、全体の重量も約100グラム軽い約2.6キロになる。
今回試したのはクリアブラックLE液晶を採用したモデルであったが、ビジネスユースを意識した落ち着きのある上品な発色で左右の視野角も広く、好感が持てた。動画/静止画を自然な色に見せる補正機能も搭載している(オフにすることも可能)。ただし、クリアブラックLE液晶は光沢仕様なので画面に背景が映り込みやすい。これが気になる場合は高解像度と引き替えに、非光沢のノーマル液晶を選ぶのも手だ。
キーボードは周辺のベゼルを一段堀り込んでおり、type T(TZ)をはじめ、昨今のVAIOノートによく見られるデザインだ。ただし、type T(TZ)やVAIOノートの新モデルがこぞって採用している、キーとキーの間にスペースを設けた「アイソレーションキーボード」ではなく、ノーマルなフルサイズキーボードを装備する。type BZはビジネス市場向けということで、多くのユーザーが使い慣れた形のキーボードをあえて継承したという。
VAIOノートの新モデルとしては珍しく、スタンダードな形状のキーボードを採用している キーピッチは19ミリ、キーストロークは2.5ミリを確保している。キーの配列は理想的で、タッチ感も良好だ。強くタイプした場合にごくわずかなたわみは感じるが、よほど強くタイプしない限り気付かない程度で、作りはしっかりしている。なお、キーボードユニットは縁を折り返して防滴シートを張った「ウォーターレジスト構造」を採用。キーボードに水をこぼしても30CCまでの水をプールし、内部まで到達しにくいような設計となっている。
ポインティングデバイスは、2ボタン式のインテリジェントタッチパッドだ。多機能ドライバを導入しており、エッジを利用したスクロールなどに対応する。タッチパッドの使い勝手自体に不満はないものの、type BXで導入していたスティック型のポインティングデバイスが省かれた点は評価が分かれるところだろう。
キーボードの左奥にはワンタッチボタンとミュートボタンを用意 左パームレストにはFeliCaポートがあり、Suicaやおサイフケータイなどのチャージ、履歴確認などに利用できる。キーボードの左奥にはワンタッチボタン(S1ボタン)とミュートボタン、無線機能のスイッチがある。ワンタッチボタンの設定はコントロールパネルなどからアクセスできる「VAIOの設定」でカスタマイズする仕組みだ。
セキュリティに関する機能も充実している。パスワードは、パワーオン、HDD、Windowsログインと3重に設定が可能。HDD内のデータをハードウェアキーで保護するTPMセキュリティチップも搭載しており、万が一、HDDのみが盗難にあっても内部の情報を盗まれないようになっている。左側面にはケンジントンロック接続用のホールも装備する。
さらに、新機能としてBIOSメニューには各デバイスへの細かいアクセス制限機能を用意し、USBデバイスへのデータ書き込み/USBデバイスからのデータ書き込みを禁止する「USBアクセス制限ユーティリティ」も新たに装備した。また、キーボード右奥には指紋認証用センサを装備。煩雑なパスワード入力も本人であればワンタッチで解除することができる。
「VAIOの設定」では、VAIOに関するさまざまな設定を一括して設定できて便利だ。ワンタッチボタンのカスタマイズ(写真=左)のほか、HDD保護の設定(写真=中央)やUSBアクセス制限の設定(写真=右)などもここから行なえる。ワンタッチボタンはデフォルトで「プレゼンテーション設定」に割り当てられているが、さまざまな機能を選択可能だ。外部ディスプレイに表示されている内容を内蔵ディスプレイでPinPのように小さなウィンドウで確認しつつ、外部ディスプレイに映らない領域で資料を参照するなどの作業が効率的に行えるユーティリティ「VAIOプレゼンテーションサポート」も選べる
充実の基本スペックによりパフォーマンスは良好
Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア ここからはベンチマークテストの結果を見てみよう。今回入手した機体は、Core 2 Duo T9400(2.53GHz)、メモリ4Gバイト、HDD 250Gバイト(5400rpm)と比較的ハイスペックだ。まずWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアだが、プロセッサ、メモリ、プライマリハードディスクの値は非常に優秀。グラフィックスもチップセット内蔵としてはなかなかのスコアだ。
2.53GHzという高クロックのCPUを搭載していることからテスト結果は良好で、PCMark05 1.2.0のCPUでは6000を超える高いスコアをマークした。総合スコアの4982という数値もノートPCとしてはかなり優秀。GM45チップセット内蔵グラフィックスに関しては、GM965チップセット搭載のノートPCよりも若干高速な程度のスコアとなった。対応システムバスと対応メモリが高速化し、グラフィックスメモリとして使うメインメモリへのアクセスが向上しているぶん高速化されている印象だ。
DirectX 9.0c対応ベンチマークテストである3DMark06 1.1.0のスコアは、GM965チップセット搭載PCに比べてかなりよくなっている。CPU高速化の影響もあるが、純粋なゲームシーンでも5~7割の性能向上が見られる。もっとも、いずれにしても本格的な3Dゲームタイトルのプレイは厳しいことには変わりない。
DirectX 8.1対応のゲームがベースとなっているFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコアはGM965チップセット搭載ノートPCとあまり変わらず、実用的にプレイできるレベルにはあるという程度だ。ビジネス向けPCとしては優秀な性能を持つといえる。
左からPCMark05、3DMark06、FFベンチのスコア。ちなみにPCMark VantageのPCMark Suitesスコアは3041だった
静音性と放熱も問題なし
放熱制御は2つの設定が選べる 静音性、熱設計はともに優秀だ。前述した「VAIOの設定」の「電源オプション」メニューから「放熱優先」と「静音優先」の2通りの設定が選べるが、前者でもファンの音は低く抑えられ、回転数が上がったとしても耳に付かない柔らかい低音で、エアコンの音などでかき消されてしまう程度であった。
「放熱優先」の設定では発熱があまり気にならず、室温25度前後の部屋で一連のベンチマークテストを終了した後の温度は、一番熱い左側面の排気口付近で43度前後だった。また、HDDに負荷が集中した場合は右パームレストあたりがじんわりと熱を帯びてくる(放射温度計で40度弱)が、少し休ませれば落ち着いてくる。
「静音優先」では2~3度上がる程度だが、室温がやや高い(28度前後)部屋で使用した場合は表面が全体的に40度前後の熱を帯びる感じで、ちょっと気になった。
完成度の高い快適ビジネスモデル
45ナノメートルプロセス製造の最新CPUを中心としたハードウェアのパフォーマンスは非常に優秀で、静音性にも優れている。見やすい大きな画面と打ちやすいキーボードを備えた入力環境も快適だ。堅牢性、豊富なインタフェース、各種セキュリティ機能などもソツなく備え、ビジネス向けモデルとして非常に完成度の高い仕上がりになっている。
ソニースタイルの最小構成で14万3300円からと少々高価にはなったが、type BZはそれだけの実力を備えているといえるだろう。ワンランク上の快適性を求めるビジネスユーザーにおすすめだ。