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iPhoneは日本に何をもたらす?(ホームサーバの戦い・第17章)

①iPhoneはケータイ?

http://japan.cnet.com/blog/mugendai/2008/07/12/entry_27012209/

今のテレビの報道はいずれも、iPhoneをケータイとして報道している。だが、ソフトバンクの孫社長が言うとおり、「インターネットマシン」であって、今のケータイをiPhoneに乗り換えようとすると失敗する。アサヒコムでソフトバンクの孫社長の挨拶が紹介されていた。

冒頭の挨拶で孫社長は、「ケータイ業界の新しい時代の幕開けである」と宣言。「ケータイは、いままでは音声通話とメールが主流だったが、iPhone 3Gはインターネットが快適に操作できる。ケータイというよりもパソコンに近い、まさにインターネットマシンである」と、端末の魅力について語った。(asahi com7/11ビックカメラ、有楽町店でiPhone発売イベント、孫社長や上戸彩さんも登場)

IT-PLUSの小池良次氏のコラム「iPhoneは電話じゃない」・米携帯業界が寄せる疑問にあるとおり、

 思うに、iPhoneはいまのところ携帯電話ではない。住所管理やビデオ鑑賞などをするための電子端末で、一世を風靡したパームなどのパーソナル・オーガナイザーの焼き直しだ。携帯部分は主機能というより補助機能に近いが、それを敢えてiPhoneと名付け、携帯電話として売るところに、アップル・マーケティングの妙味がある。

 そもそもアップルの強みは、技術力よりはユーザビリティー(製品の使いやすさ)にある。OSビジネスは、しょせん様々な機能に対応し、パソコンをどれだけ使いやすくするかにつきる。つまりユーザビリティーがOSビジネスの要だ。アップルは、その点でマイクロソフトを凌駕してきた。iPodでも、技術よりiTuneと連携する使いやすさが勝利をもたらした。たとえ、携帯電話としての基本コンセプトが弱いとはいえ、その論法でいけば、iPhoneは「至極アップルらしい」製品に違いない。

②iPhoneは新しいゲーム機?

CNET Japanのゲームソフト会社から見たiPhoneの魅力--「ここまで整ったプラットフォームは世界初」で

 iPhoneのビジネスモデルは、我々にとってある意味革命的なモデルだと思います。何よりも、通信事業者に一切お伺いを立てなくていい。例えば、我々が出すゲームタイトルについて、ソフトバンクモバイルに言う必要はないわけです。

 アップルが通信事業者のような締め付けをされると困るのですが、基本的には何でも受け付けますという姿勢ですし、アップルの審査も公序良俗に反しないかどうかと、ウイルスなどのチェックという程度です。ある意味、我々が何を出そうが、値段をいくら付けようが基本的には自由なわけです。そんなプラットフォームは、今まで世の中に1個もないんです。PCでも、家庭用ゲーム機でも存在しない。ここまで整っているビジネスモデルを提供している会社というのは、世の中で本当に初めてです。

同じように、iPhoneのゲーム機能に注目しているコラムとして、IT Mediaの新清士のゲームスクランブル新しいゲーム機「iPhone」の誕生でゲーム業界の常識が変わるによると、

 ゲーム機として見たiPhoneは、外部記憶メディアを使用しないで、ゲームはダウンロードしてくるタイプのハードだ。すでに、据え置き型ゲーム機の「Wii」「プレイステーション3(PS3)」「Xbox360」のどのハードも、ネット経由のゲームのダウンロード販売をはじめている。とはいっても、DVDなどの光ディスクがメーンで、DS、PSPといった携帯ゲーム機でも同様に物理メディアを使ってゲームを販売するのが基本だ。

 あくまで噂ではあるが、アップルのインサイダー情報をリークするサイト「AppleInsider」によると、iPhone向けソフトを販売する企業は価格を0.99ドルから999.99ドルまでで自由に設定でき、2ギガバイトが最大のファイルサイズとして設定されているという。PSP用の光ディスクメディア「UMD」は1.8ギガバイトであるから、携帯ゲームとしては十分なデータサイズである。

 すでにある携帯電話用のゲームでは、ゲームをダウンロードして遊ぶのが一般的だ。しかし、データの転送でパケット料金がかさんでしまうため、ファイルサイズの大きなゲームは嫌われる傾向にあった。携帯型ゲーム機のライバルになるには限界があった。

 しかし、iPhoneの場合、簡単にどこでも無線LANに接続できる点を売りにしている。また、パソコン経由でダウンロードすることもできる。ユーザーはすでにiPodでパソコンとの連携に十分慣れているはずなので、パソコンから大きなファイルサイズのゲームをiPhoneに転送することも苦もなくやってのけるだろう。

 任天堂やソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)などハードメーカーはまず原価に近い価格でハードを販売して普及をはかり、販売台数を強みにしてゲームソフト会社からライセンス料を含んだ割高な金額でディスクやカセットの製造を請け負うことで大きな収益を出してきた。これは1983年に任天堂が「ファミリーコンピュータ」を発売して以来、消費者向けゲーム機では変化していない基本のビジネスモデルだ。

 これまで物理メディアはもちろん、据え置き型ハード向けのダウンロード販売でも、ハードメーカー側のマージンがどの程度になっているのかは公式に明らかにされることはなかった。契約企業との力関係で金額を変えているためだ。しかし、アップルはiPhoneのすべてのアプリケーションに対して、自社の取り分を3割と明示した。これは大きなルールの変化だろう。

 iPhoneの普及によって、モバイルゲーム機の収益モデルが変わってしまうのだという。さらに、今までゲーム機メーカーが日本企業であるため、日本のソフトメーカーは海外に比べて便宜性があった。ところが、アップルが主導権を握るとなると、日本国内のソフトメーカーの不満が高まる危険性があるという。たとえば、やはり新清士のゲームスクランブルiPhone 3Gにゲーム業界が寄せる期待と不満によると、

 一方で、iPhone 3Gには不安もある。特に、日本の開発会社にとってはいいことばかりではない。アップルは全世界の統一的なサービスを守るために、おサイフケータイ機能といった日本独自の機能には対応する予定はないようだ。日本の事情を研究しているとはいえ、iPhoneがアメリカの市場を大きく反映したハードウエアである点は考慮が必要だ。

 事実、Xbox360で起きたのと同じような現象が、iPhoneでも起きようとしている。日本のゲーム産業が強かった要因の1つには、ゲーム機のすべてが日本で作られ情報が日本に集中していたという地の利がある。だから開発機材や開発情報といった面でアドバンテージがあった。しかし、Xbox360では戦略にかかわる意志決定の主導権は日本になく、日本企業はシアトル郊外のマイクロソフト本社と交渉をしなければなかなかビジネスが進まないというハンデを抱え込むことになった。

 iPhoneも同じことで、カリフォルニア州クパチーノにあるアップル本社との関係の近さが、今後のビジネス展開の重要なポイントへと変わる可能性は大きい。かつて「iモード」向けサイトを開発しても、その開発以上に難しかったのがNTTドコモから公式メニューへの登録許諾を得ることだったと言われたが、同じような状態が今後起きてくる。

 実際すでにその現象は始まっている。3次元グラフィックス表示のためのプログラムである「OpenGL」がiPhone 3G向けアプリケーションの開発環境で実際に使用できるようになったのは5月に入ってからだという。さらに、それを実際のハードウェア上で動かしてテストできるようになったのは、6月9日のアップルのカンファレンス発表の直前だった。

 つまり、スティーブ・ジョブスCEOの基調講演の最中にiPhone 3G向けアプリのデモンストレーションを行えた企業は、それより以前にアップルから開発機材の提供を受けられた優先企業だったのだ。

実は、これはゲームだけの問題ではない。音楽や動画などあらゆるコンテンツメーカーがからんでいるのだ。そしてiPhoneだけでなくApple TVでもダウンロードビジネスが主流になるだろうといわれている。

江島健太郎氏の「MacWorld Expo 2008の真打ちはApple TVだった」に、

「世間ではBlu-RayだのHD DVDだのが騒がれていますが、もはやコンテンツの配布手段としての物理メディアそのものが終焉を迎えつつあって、実はリビングルームでもネットとHDDが勝者になるんじゃないの?ということです。 」

 やがて音楽、映画、動画などあらゆるコンテンツメーカーが、アップル詣でをしなければならないことになる。コンテンツメーカーは、これらのコンテンツをApp Storeを通さなければならないのである。

「App Store」は、iTunes Wi-Fi Music Store のアプリ版ともいえるもので、Wi-Fi-経由でアプリの購入・ダウンロード(インストール)を行う機能です。もちろんiTunesからも可能です。

予想はされていましたが、アプリケーションの流通は全てアップルを通して行われることになります。

アダルト、ウィルス、違法なもの、などのアプリの公開に対しては制限をかけるようです。VOIPについて質問があり、Wi-Fiに関してはアップルは制限するつもりが無い、との回等ありました。SIM Unlockアプリ等は当然ながらNGです。

アプリケーションの価格は開発者が決定し、3割をアップルが手数料・ホスティング料として徴収するそうです。価格を無料とすることも可能で、その際は手数料・ホスティング料がかかりません。(デモ版を無料で提供してライセンスキーを自社サイトから販売、とすればアップルに3割取られないで済みそうですが)(iPhone SDK発表~アプリの配布は「App Store」から)

iPhoneが世界的に大ヒットすることは、ネット端末が世界中にばら撒かれたことに他ならない。

③iPhoneはケータイの「パラダイス鎖国」を打ち破る黒船?  また、日本のケータイ業界のパラダイス鎖国を打ち破る黒船となるかという話題もある。

そもそも「パラダイス鎖国」とは、日本流が通用しない原因は「パラダイス鎖国」にとりあげたように、海部美知さんのブログTech Mom from Silicon Valleyからである。

 パラダイス鎖国とは、「自国が住みやすくなりすぎ、外国のことに興味を持つ必要がなくなってしまった状態」である。昨年の夏、日本に行った時に感じたことなのだが、第一回の記事に書いたように、アメリカは世界一の鎖国パラダイスである。(「パラダイス鎖国に関する補足」)

 日本のケータイ機能がすでに行き着くところまで行っていると思えるのは、最近のケータイのCMが「何とか割」と安さを強調するようになったことからもわかる。他のケータイと違いを強調するには、2つの方法がある。一つは、優れたアプリケーションをつけることか、安くすることである。そして安くするのは、あくまでも最終手段であり、もうすでに新しい機能をつけても消費者には何のメリットもないことを示している。

 さて、ドコモとソフトバンクが争って、ソフトバンクにiPhoneという女神が降りてきた。これで日本のパラダイス鎖国はなくなるか。そんなことはない。新たにアメリカの占領国に逆戻りしただけである。アメリカがパラダイス鎖国である以上、アメリカ流パラダイス鎖国にとじこまれてしまったのである。

④iPhoneで勝負に出た?

ぼくは、「ジョブズとソニー③iPodとウォークマン」で、

MacBook Air にはピッタリのマーケットがあるという記事があった。

イメージが重要な業界

スピードが何ギガヘルツとか、どんな機能があるかなんて、ファッションにとってはメじゃない。デザイン、エレガンス、ライフスタイル、それこそが重要なのだ。言い換えれば、本質的で美しいものに焦点を絞り、それ以外のものをすべて削ぎ落とすことが大切なのだ。ファッションやホスピタリティ業界、テレビ番組、その他イメージが重要な業界にとって、MacBook Air はまさにドンピシャリだ。

ジョブズはとにかく格好良くなけりゃ気がすまないという性格である。だが、ライフスタイルは、誰かが決めるもんじゃないし、エレガンスだって個人差がある。アップルの姿勢は、かつてはわかってくれる人がわかってくれればいいという態度であった。ところが、今回のiPhone戦略、あまりにもアップルらしくない。想像だが、そろそろジョブズは勝負に出たのではないだろうか。

たとえば、iPhoneはやがてネットサーバーの端末になる(ホームサーバの戦い・第14章)で、iPhone 3Gを発表したジョブズの基調講演を紹介した。PC Watch を引用して、

 3G対応モデルの特徴としてジョブズCEOがピックアップしたのは5つのポイント。まず3G化によるデータ転送速度の大幅なアップを強調。従来モデルとの比較デモでその高速さをアピールしたほか、Wi-Fiにも匹敵するとした。なおiPhone 3GにはGPS機能も搭載されている。2つめは、エンタープライズサポート。MicrosoftのExchange ServerやCISCOによるセキュリティルーターへの対応など、企業における導入に対してiPhoneの対応状況を明らかにした。

 3番目が、講演の序盤で紹介されていたサードパーティアプリケーションの導入だ。iPhoneユーザーはApp Storeからのダウンロードで、任意のアプリケーションを利用することができるようになる。

 4番目が各国対応。日本では既報のとおりソフトバンクモバイルがキャリアとなる。基調講演で述べられた内容によると、発売は世界一斉となるため7月11日、価格もほぼ為替レートどおりということになりそうな気配である。日本語などの入力に関しても、同時期に登場する2.0ソフトウェアで完全対応している。

 そして5番目が冒頭でも紹介した価格面。従来モデルの399ドルから199ドルという思い切った価格設定を行なったことで、新規に発売される国はもちろんのこと、従来モデルが出荷済みの国々でも、普及にはずみがつくものと予想される。

 ここで描かれた図式は、大容量で安い端末を世界一斉にばら撒くというシステムである。ここにあるのは、わかってくれる人がわかってくれればいいという態度なんかではない。何が何でも世界中にばら撒かなければ気がすまないという本気さだ。ビル・ゲイツがマイクロソフトを引退した時、スティーブ・ジョブズは何を思っていたのだろうか。

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