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ユーザーが知らない使いかたを東芝の技術力で可能にする

国内のノートPCメーカーが「コモディティ化」の波にもがいている中、「Qosmio」「dynabook SS」という明確なメッセージを出しつづける東芝は、PCの存在意義をどのように創造しようとしているだろうか。

PC、いる?いらない?

http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0803/06/news120.html

 PCの存在感が希薄になりつつある。多機能携帯電話の普及により、かつてはPCでしかできなかったことの多くが、手のひらの中で片付くようになっている。個人の生活に、ワープロや表計算がさほど必要でなかったことに個人は気がつき始めている。このまま、PCはフェードアウトしてしまうのだろうか。コンシューマーにPCは必要ないのだろうか。

 今回は、東芝PC&ネットワーク社PC第一事業部PCマーケティング部 プロダクトマーケティング担当の根岸伸一氏と同マーケティング担当の荻野孝広氏に、このあたりの状況を聞いてみた。

──これから、PCが必要とされなくなる傾向は強まっていくのでしょうか。

東芝PC&ネットワーク社PC第一事業部PCマーケティング部 マーケティング担当の荻野孝広氏荻野 PCといういう存在が希薄になっているのは確かです。携帯電話で十分とかね。今後のPCはどうなっていくのか不安にもなりますが、それでもゼロになることはないですね。ノートPCメーカーとしては、一般的なコンシューマーユーザーがまだ気がついていない使いかたをアピールしていきたいと考えています。PCでなければできない、あるいはPCだからこそ快適で便利な点を強調するような方向性を目指すつもりです。

根岸 現在、PCが実現している機能のそれぞれの要素をとっていくと、携帯電話でもPDAでもメディアプレーヤーでも専用機があるものばかりです。でも、専用機を超えた使いかたをしたい、デバイスを連携させたいということを考えると、PCが必要になるんです。生活を快適に楽しくするにはPCが必要だということですね。

荻野 標準化されていて汎用性がある点が、PCのいいところじゃないですか。でも、何でもできますよ、で突き放すとユーザーの手に余ってしまうんです。ですから、(PCで)できることの道筋を見せてあげることが必要でしょうね。これは、東芝だけではなく業界全体としてアプローチしなければなりません。ユーザーに、「さあ、勝手にやってください」ではだめなんです。もうちょっとケアしてあげなければなりません。

根岸 世界的に見ると、そのあたりの事情は国によって違うんです。日本はPCをほかの電化製品と同じ視点から見たがる傾向があります。だから、購入したままのPCで使い勝手が完成していて、何ができるかがはっきり分かるようにしていなければなりません。欧米のユーザーは、PCが汎用機であることを理解して購入してます。だから、PCメーカー側もそれにあわせた売りかたをしています。

荻野 欧米では生活の中でPCがないとできないことがいろいろとあって、その必然性から家庭にPCが入ってきたように思いますね。PCをPCとして利用するわけです。かといって日本のようにPCで映像を保存して編集するユーザーは欧米にはあまりいないんです。そういう地域差があるかもしれませんね。

先を見据えていたから変わらないQosmio

──Webブラウジングと電子メールだけで十分という考えのユーザーも多いようですが。

東芝PC&ネットワーク社PC第一事業部PCマーケティング部 プロダクトマーケティング担当の根岸伸一氏根岸 いまのWebブラウザというのは、ブラウジングの域を超えた使われかたをしています。PCでできることがWebブラウザの中で完結しているレベルに近づいているんですね。PCでやりたいとされている主な使いかたがそれだけで達成できるようになってきています。

荻野 (Webブラウジングと電子メールだけで十分という意見を)否定はしません。その方向性もありかもしれません。そのくらいシンプルなPCも考えられます。でも、すべてのPCがそうなるわけじゃない。いま見えていない利用形態もあるはずですから。そういう将来を見据えた付加価値はPCならではのものでしょう。ユーザーが気がつきにくい部分に隠れている要素が絶対にあるはず。どちらかというと、東芝のようなPCメーカーが技術やノウハウを生かせるとしたらそういった分野ですね。そうじゃなければ、ショップブランドPCで十分になってしまいますから。

 ちなみに、Qosmioシリーズは登場したときの姿からあまり変わっていないでしょう。もともと先を見据えて、将来の技術的なロードマップを提示してきたシリーズです。ユーザーのニーズと東芝が提供できる価値を明確に伝えてきたモデルで、登場当初からの考えかたは今も変わっていないはずです。

根岸 市場のニーズを考えたときに、ネットワークで供給されているコンテンツが普及しているので、少しでもいい音で楽しめるようなところで違いを出すような製品企画を、Qosmioシリーズ以外の各シリーズでも少しずつやっているところです。ただ、Qosmioシリーズは価格設定が高めでオーディオ領域に比較的製造コストをかけやすいということもあって、さらに高品質なレベルでやっています。

荻野 Qosmioは「自分の部屋」のようなものですね。当面、これ1台ですべてを済ませることができるような空間です。

根岸 PCを昔から使っているユーザーは、自分がPCにやらせたいことに対して何が必要かを知っています。そのための選択肢として、ラインアップの中でCeleron搭載モデルを選んだり、明るい液晶ディスプレイを搭載したモデルを選んだりということができますね。そういうユーザーは適切な予算でPCを購入します。ところが、新しいユーザーはそういう判断が出来るだけの“前情報”を持っているでしょうか。

──PCは1人に1台ずつ行き渡ったと考えてよいのでしょうか。

荻野 まだまだですね。「My PC」なんて夢の話です。PCを使っていますという人は確かに多いんですが、本当に自分のPCなのかというと決してそうじゃない。特に若年層ではそうですね。シルバー層はシルバー層で、PCがなくても特に不自由していないという人もいます。ステップとしては、まず、1人1台を目指さなければなりません。やっと数年前から、「家にPCが1台あるが、それでは不便なので、もう1台」というユーザーが出てきています。そこにターゲットをあわせたのがQosmioシリーズかもしれません。

 まだ、ほとんどのPCが、本当の意味でネットワークにつながっていないんです。隣の部屋も2階の部屋もつながっていないのが現状です。それらのPCをつなげることを、まずやりたいと考えています。これが実現すると、LANコネクタという場所的な制約があったので、仕方なくリビングでPCを使っていた人たちが、時間と場所の制約がなくなることに気がつきます。そうなるとPCの利用価値も変わってくるでしょう。もちろん、PCメーカーもそのことはすでに分かっているんです。電力線ネットワークなどのソリューションが話題になっているのも、いまでもPCがネットワークでつながっていないからなんです。それが現状です。ですから、ネットワークにつかがったPCは、今後これまで以上に価値が高まるでしょう。

根岸 ネットワーク接続ということであれば、携帯電話がその概念を変えてくれました。携帯電話は買ってきて電源を入れればつながってしまうでしょう。PCはネットワークを利用する準備のためにやることが多すぎるんです。そういう手間をかけてでもユーザーにPCでネットワークを利用することのメリットを提案してあげなければだめでしょうね。問題なのは、ネットワークに接続できてそれを使えば何ができるのかを自分で調べてチャレンジするような向上心を持つユーザーがイマドキなかなかいないということです。そういう状況だからこそ、PCメーカーが使いかたを提案をしなければだめで、PCメーカーの示したケーススタディからユーザーが自分にあった使いかたとPCを選ぶんです。

荻野 道筋を示してあげないと新しいユーザーはPCに入ってこれないということですね。

根岸 使い方を提案しないとPCを使えないところまでユーザー層が広がったということです。そこが昔と違うところです。そんな中で、「何かできそうだから買ってみよう」というユーザーも出てきています。

荻野 これまでのPCメーカーは、自社、あるいは業界の中だけを考えればよかったんですが、今は、ネットワークプロバイダや、サービスプロバイダなどを巻き込んだ1つの回答を作らなければならなくなっています。これまではそれぞれが別個にやってきたことを誰かが統合化する必要が出てきています。コンシューマーをターゲットにしたシステムインテグレーダ(SI)さんが必要なのか、PCメーカーがやることなのかは難しいところですが。

根岸 SIなのかPCメーカーなのか、どちらが担うべきかは分かりませんが、箱を開けたらある程度のことができるようにPCをしていかなければなりませんね。分かるユーザーは、PCをもっと活用できるはずですが、分からないユーザーも大丈夫というイメージです。

荻野 そういう、PCを詳しく知らないユーザーにもPCの世界に入ってきてもらうために、それから、PCがなくても済んでしまっている人にも、PCがあると楽しくて便利であるとか、PCがないとこんなに不便だということを知ってもらうことが必要です。

Qosmioシリーズのフラッグシップモデルである「Qosmio G40/98E」は地デジ対応、1920×1200ドット表示の17インチワイド液晶ディスプレイと、HDコンテンツの利用環境としては最高のスペックをユーザーに提供する

Satellite WXWは、ハイエンドCPUを搭載したハイスペックなゲーミングノートPCとして注目を集めている。国内PCメーカーでは非常に珍しいNVIDIA SLI構成モデルも投入している。これも、東芝の新しい方向性を示しているといえるだろう

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