IEEE 802.1X対応のベースバンドLSI、無線LANシステムで高度な認証が可能に
ロームは2007年8月、IEEE 802.1Xプロトコルに対応した無線LANベースバンドLSIを開発し、サンプル出荷を始めた。ホストインターフェースがSDIOに対応した「BU1802GU」と、SPIに対応した「BU1803GU」の2品種がある(図1)。IPホンやIPカメラ、デジタルカメラ、POS端末、プロジェクタなどの組み込みシステム用途に向ける。
http://www.ednjapan.com/content/l_news/2007/09/u3eqp30000017ntu.html
新製品は、IEEE 802.11a/b/g準拠のベースバンドLSI。プロセッサコアに「ARM7TDMI」を採用し、IEEE 802.11a/b/g準拠の無線通信機能や64/128ビットWEP(wired equivalent privacy)、TKIP(temporal key integrity protocol)、AES(advanced encryption standard)などの主要な暗号プロトコルに対応するIEEE 802.11i準拠のセキュリティエンジン機能を備えている。従来、ホストCPU側で行っていた無線通信やセキュリティに関する処理を通信モジュール側で行うので、ホストCPUの負荷を軽減することができる。
また、IEEE 802.1Xプロトコルに対応した機能をベースバンドLSIに内蔵した。IEEE 802.1Xは、無線LAN上での認証と動的なキーの生成や配送について定められた規格。アクセスポイント用途で同LSIを使うと、認証システムサーバー(RADIUSサーバー)とのネットワーク接続時に、高いセキュリティを確保できる。この際、ホストCPUはベースバンドLSIに対して、アドレス設定とデータ送信を行うだけで済む。従来はこれらの処理をホストCPU側に実装されたデバイスドライバで実行していたため、デバイスドライバの開発にも時間を要していた。新製品ではデバイスドライバのプログラム容量が最大28Kバイトと、この機能を内蔵していない従来品に比べ1/10以下に小さくできる。
ホストCPUとベースバンドLSIを接続するための配線数を大幅に削減できるのも特徴の1つである。従来のベースバンドLSIがサポートしているPCIはパラレルインターフェースであるため、68本の配線数を必要としていた。これに対して、BU1802GUは9本の配線数で済むSDIOに対応した。転送モードとしては、SDIOの全モード、4ビットパラレルモード、1ビットシリアルモードおよびSPIモードをサポートしている。
一方、BU1803GUは8本の配線数で済むSPIに対応した。しかも、ホストCPUへのイベント通知用信号線を設けて、無線データ通信時にリアルタイムでホストCPUにデータ転送ができるように工夫した。従来のSPI通信で課題となっていたリアルタイム性を改善している。ホストCPU側からベースバンドLSIをリセットするためのリセット信号も用意した。SPIは8ビットマイクロコントローラなども対応している汎用性の高いインターフェースで、これを利用することにより、さまざまなシステムに無線LAN機能を容易に組み込むことが可能となる。
BU1802GUとBU1803GUでは、処理に必要なファームウエアをホストCPUからダウンロードして利用できるが、それ以外に、外付けのフラッシュメモリーから直接、ファームウエアをダウンロードする機能も備えている。この方法を用いれば、ホストCPUからダウンロードする場合に比べ、起動時間が速い。
新製品のサンプル価格はいずれも5000円で、2008年1月から月産50万個で量産を始める予定である。
ロームは、無線LAN用ベースバンドLSI開発キットも用意している。この開発キットは、新製品やRFチップ、EEPROM、レギュレータICなどを実装したリファレンスモジュール、アンテナ、ホストCPUボード、マニュアルおよびサンプルのCソースコードで構成される。ホストCPUボードは、リアルタイムOS「μITRON」を搭載している。サンプルのCソースコードにはプロトコルスタックや無線LANベースバンドLSI用デバイスドライバ、ホストインターフェース用ペリフェラルデバイスドライバが含まれている。
同社は今後、無線LAN用ベースバンドLSIとして、次世代通信規格のIEEE 802.11n対応や、PCI Expressなどの高速なホストCPUインターフェースのサポート、メッシュネットワーク構築に向けたIEEE 802.11s対応などを図ったLSIを用意していく計画である。
(馬本 隆綱)