ジョージア工科大学、15Gbpsのミリ波帯通信技術を開発 (2007/09/05)
米Georgia Institute of Technology(ジョージア工科大学)の研究機関である、Georgia Electronic Design Centerで教授を務めるJoy Laskar氏の研究チームは、60GHz帯を超える周波数帯域、いわゆる「ミリ波帯」を使って、近距離にある電子機器間での大容量データ伝送を実現する無線通信技術の開発に取り組んでいる。 複数の報道によると、同研究チームは現在、ミリ波帯向け無線通信チップを開発中である。チップのコストは5米ドル程度を実現できる見込みで、すでに実用レベルに達している試作品がいくつか開発されていると報じられている。米Associated Press社(AP通信)によると、同研究チームはすでに、1mの通信距離で、15Gビット/秒のデータ伝送速度での無線通信に成功したという。この技術を使えば、DVD品質の映画データを、わずか5秒でダウンロードできることになる。
http://www.eetimes.jp/contents/200709/24946_1_20070905214246.cfm
同研究チームは、「ミリ波帯を利用した通信技術は、無線LANやBluetoothといった既存の無線通信技術を補完する方式を補完する」とみている無線LANやBluetoothは、ミリ波帯と同様に無免許で利用できる2.4GHz帯を使う。ただし、最近市場に登場したUWB(Ultra Wideband)技術やワイヤレスUSBに対しては、「競合する可能性が高い」と同研究チームは指摘する。UWBは、無免許で利用できる最大10.3GHzの周波数帯域を使う無線通信技術である。現時点でのデータ伝送速度は最大で480Mビット/秒である。一方、ミリ波帯通信技術は、数Gビット/秒でのデータ伝送が実現できるとされており、実用化されればHD(高品位)映像の伝送といった用途において、UWBに対して優位に立つ可能性が高い。
ミリ波帯を利用した無線通信技術に注目しているのは同研究チームだけではない。例えば、ファブレス半導体ベンダーである米SiBEAM社は、韓国LG Electronics社や松下電器産業、NEC、韓国Samsung Electronics社、ソニー、東芝とともに、60GHz帯利用の無線通信規格「WirelessHD」を策定する業界団体「WirelessHD Consortium」に参画し、ミリ波帯を利用する無線通信技術の開発を進めている。同社は2007年6月に、WirelessHD対応チップセットの開発状況を明らかにした(関連記事)。データ伝送速度が4~5Gビット/秒で、通信可能な距離は10mに達するという。36個のアンテナ素子からなるフェーズド・アレイ・アンテナ技術「OmniLink60」を採用した。これにより、電子機器間に障害物が存在する場合でも信号の受信が可能になり、高い接続性が実現できるとする。
半導体チップの製造には、標準的なCMOSプロセスを採用する。同社によると、WirelessHDに準拠した最初の製品は、「同じ室内にあるデジタル家電間において、HD映像信号を非圧縮のまま伝送する用途を想定している」という。
(John Walko:EE Times)