薄さを追求しながらも妥協はなし・ダイナブックSS RX1【ビジネスモバイル比較】
最近の東芝のビジネスモバイルは、そこそこの薄さと軽さで価格は抑えめと、実用性を重視したモデルが多かった。滑らかに打鍵できるキーボードや多彩なインターフェース構成など、長年ノートパソコンを手がけてきた同社ならではの使いやすさは健在だったものの、「この部分はどのモバイルノートよりも上だ」という「所有欲を満たす要素」が少なかったのも事実だ。しかし「true mobility」をコンセプトに開発された「ダイナブックSS RX1」は、薄さ、軽さ、堅牢性、バッテリー駆動時間ともに世界最高クラスに立つ。モバイラーなら、一目で惚れ込むスペックが凝縮されている。
http://it.nikkei.co.jp/pc/news/index.aspx?n=MMIT23000003082007
■薄型ボディーにパワフルなスペックを封じ込める
一番の魅力は、12.1型ワイド液晶のモバイルノートでは世界最高クラスの薄さと軽さを実現しながら、機能やパフォーマンス、耐久性に一切の妥協を感じない点だろう。今回試用したのは80ギガバイトのHDDを搭載する1スピンドルモデル「RX1/S7A」だが、その最薄部は19.5ミリ。これはDVDスーパーマルチドライブを備える2スピンドルの上位モデル「RX1/T7A」「RX1/T9A」でも同じだ。
重さについては、実勢価格が22万5000円前後のRX1/S7Aで1010g、25万円前後のRX1/T7Aで1090g、そして実勢価格が40万円前後で64ギガバイトのSSDとDVDスーパーマルチドライブを組み合わせた最上位モデルRX1/T9Aでは、通常バッテリー搭載で968グラム、軽量バッテリーなら848グラムを達成している(RX1/T9Aは軽量バッテリーと通常バッテリーの両方を同梱)。
ここからは、今回試用したRX1/S7Aに絞って話を進めていこう。CPUは超低電圧版のコア2デュオU7500、メモリーは1ギガバイト(512メガバイトモジュール×2枚構成)だ。薄さを追求するモバイルノートでは、パフォーマンスの低い小型で薄型の1.8型HDDを採用する機種も多いが、本機では薄さを確保しながらも80ギガバイトの2.5型HDDを搭載しており、性能を犠牲にしない姿勢が伝わってくる。
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右側面(上)にはPCカードスロット、無線LANのオン・オフスイッチ、USBポート、LANポート。左側面にはボリューム、サウンド入出力端子、IEEE1394ポート、外部ディスプレー出力端子を装備する
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東芝が長年のノートパソコン事業で培った、重すぎず、軽すぎずの絶妙なキータッチは本機でも健在。キーピッチもA4サイズのホームノートパソコン並みの19ミリが確保されており、長時間の文字入力でも疲れない
熱源は本体の左側に集中。デュアルコアCPUを搭載するだけに底面が熱くなるのは仕方がないとして、パームレストの左側も、手を載せていると汗ばむほど熱くなってしまうのは少々残念なところ。冷却ファンの音もちょっと耳についた。
一方、東芝ならではのキーボードの使いやすさは健在だ。キーピッチは19ミリと、A4ノートクラスの横幅を確保。縦幅も17.5mmと各キーが正方形に近くなっているのに加えて、きっちり押している感覚があるため、長時間のタイプでも使い心地は上々だった。
「Windows Vista(ビスタ)」の起動時間は1分から1分20秒というところ。ビスタに搭載された新機能で、デバイスなどの能力を自己判断できる「パフォーマンスの評価(最高は5.9)」では、プロセッサーが4.3、メモリーが4.2、グラフィックスが2.0、ゲーム用グラフィックスが2.8、OSがインストールされているハードディスク領域が5.0。一世代前のチップセット内蔵グラフィックスが若干足を引っ張っているようにも見えるが、体感上はほとんど影響ない。特にHDDが高速なせいか、各ソフトの起動や操作はスムーズに行える。
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キーボードの右上には、バックライトのオン・オフスイッチを備えている。バックライトをオフにすれば、太陽光など外光の強い場所で画面が見やすくなる
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専用のポートリプリケーターも用意(8月発売予定)。LANポートやUSBポート、DVI出力端子などを備え、大型液晶やプリンターとの接続に便利だ
■高い耐衝撃性と屋外で強い液晶にも注目
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ジュースやコーヒーをこぼしても内部に液体が侵入しない構造を採用
薄型マグネシウム合金やバスタブ構造など数々の耐衝撃技術を投入したことにより、75センチの落下テストをクリアするタフネスボディーを実現していることにも注目したい。また、動作中に100ccの液体をキーボードに注いでも本体内部に浸水せず、電源ショートなどが起きない防水加工も施されている(東芝が開いた説明会で行った実験の様子【動画】)。
セキュリティー機能としては、本体の起動時にパスワード入力を求める「HDDパスワード」機能に加え、ビスタへのログオンを指紋認証で代行する「指紋認証機能」が利用可能。第三者による不正な起動を、この2重のセーフティーガードで防ぐ仕組みだ。
解像度が1280×800ドットの12.1型ワイド液晶ディスプレーは、「半透過型」という珍しい液晶パネルだ。視野角はやや狭いタイプで、全体を色ムラなく見渡せる角度は狭め。色見は若干黒っぽく、くすんだ印象をうけることがあった。
しかしこの半透過型の液晶パネルには、外光を利用して表示が行えるという強力なメリットがある。普通のノートパソコンで採用している「透過型液晶」では、太陽光が強い場所ではほとんど画面が見えなくなってしまうが、本機なら悠々と作業を進められるのだ。日差しが直接入る車や電車でも使えるのは、移動の多いビジネスマンにとっては大きなメリットだろう。
インターフェースは、USBポートが3基にIEEE1394ポートが1基、有線LANポートが1基、SDカードスロットと申し分ない装備。左側面にボリュームボタンを備えている。無線LANはIEEE802.11a/b/g対応。IEEE802.11nには対応せず、ブルートゥースを備えていない点が悔やまれる。次期モデルでの搭載を期待したい。また、DVI出力やUSBポート、有線LANポートを備える専用のポートリプリケーターを発売する予定であり、拡張性にも優れている。
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東芝が開催した説明会で行った落下テスト。この手の位置から落としても故障せずに無事に起動した
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「東芝パスワードユーティリティ」では、HDDパスワードなど電源投入時のパスワード認証を、特定のSDカードの挿入で置き換えることが可能だ
メーカー自らが「過去22年間の集大成」としているだけに、その完成度は非常に高い。シルバーを基調としたデザインは、ビジネスシーンで安心して使える落ち着きを演出しながらも、液晶ディスプレー部分の滑らかなカーブがエレガントさをも醸し出している。
ただ、1スピンドルと2スピンドルの筐体がほとんど同じなのは、やや残念。せっかくの1スピンドルモデルなのだから、05年に発売したダイナブック発売20周年記念モデル「ダイナブックSS SXシリーズ」のような極薄モデルを出せなかったのか、と思ってしまうのは贅沢な話か。とはいえ「現段階でモバイルユーザーが求める要素を最大限詰め込んだ製品」という表現に値するのは間違いない。
■5段階でダイナブックSS RX1を評価デザイン ★★★
パフォーマンス ★★★★★
モビリティー ★★★★★
拡張性 ★★★★
総合評価 ★★★★★
[2007年8月6日]
- 筆者紹介-
芹澤 正芳(せりざわ まさよし)
フリーライター・エディター
略歴
学生時代に編集プロダクションの求人広告に応募して、この世界に飛び込む。その後、パソコン雑誌の編集者を経てフリーへ。ソフト・周辺機器・自作などパソコン関係の記事を幅広く執筆している。現在愛用しているモバイルノートは東芝ノートPC20周年記念モデルの「dynaBook SS SX/190NR」。実用性はもちろん重視するが、圧倒的に薄いなど見た目にインパクトのある製品に弱い。
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