無線LAN「FON」人気 基地局増殖する無料高速ネット
カフェなどでパソコンを使ってインターネットを楽しむ人が増えている。公衆無線LAN(構内情報通信網)と呼ばれる無線を使って、高速ネット接続できるが、いずれのサービスも利用場所が限られるのが難点だ。その中で、いつでもどこでも無料で高速ネット接続が楽しめるというふれこみの無線LAN「FON」サービスが、急ピッチで会員数を増やしている。自宅やオフィスなどで専用の無線ルーターを置き、これを自身で使う一方、基地局(アクセスポイント)として開放すれば、代わりに日本や世界の基地局を無料で利用できる新サービス。その使い勝手を探ってみた。(上原すみ子)
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公衆無線LANは、家やオフィスでの光ファイバーやADSL(非対称加入者線)を使った高速ネット接続に比べやや速度は落ちるが最大54メガ(メガは100万)ビットの高速で、外出先でメールのチェックや調べものもできる。
すでにNTTコミュニケーションズやNTTドコモ、ソフトバンクグループなど通信会社が月額2000円以下でサービスを提供しているが、利用場所が限定され、自分の通勤圏内や行動範囲にあったサービス事業者を選択することになる。ベンチャー企業のトリプレットゲートは、ほぼ全社の基地局を使えるサービスを提供しているが、料金は3カ月で7875円と高めの設定だ。
≪使い勝手増す≫
これに対して、昨年12月に日本に上陸した「FON」は、家庭やカフェ、店舗などで、たばこサイズのルーターを購入。これを自身が無線LANとして使う一方で、一般に開放すれば、それ自体が基地局になって、住宅街で無線LANを使えるエリアが広がる仕組みだ。条件は、有線のブロードバンド環境とネット接続契約があること、さらにユーザーが拡大すれば、使い勝手が増す点だ。
カフェやレストランでの導入が進めば、複合商業施設全体で一気に高速ネット接続が可能なエリアになるというわけだ。そこで、カフェやホテルであれば、FONメンバーでなくてもゲストIDを発行してユーザーが利用できるサービスも検討中。
日本法人のフォン・ジャパンは、現在、六本木ヒルズのカフェチェーンで専用ルーター「ラフォネラ」を設置。卓上に、ゲストID番号や接続方法を記載したメニューを設置してユーザーが無線LANを利用できる試験サービスを開始した。パソコンで試してみて気に入ったらFONのメンバーになるという手もありそうだ。
FONの提供元、英フォン・ワイヤレスに出資した伊藤忠商事も今後は、「コンビニエンスストアやホテル、カフェなどを開拓できれば、一気に面展開が進む」(情報産業ビジネス部の瓜生裕明)と意気込む。
一方、海外では自治体ぐるみで、街中をFON化したケースもある。南スペインのリゾート都市マラガでは、自治体が公共施設に基地局を設置したのに加えて、住民も自発的に約3000カ所の自宅を基地局化し、街中にネット環境を整備した。
たばこ箱サイズの専用ルーター。1980円の低価格が魅力だ=同下
≪1980円の低価格≫
フォン・ジャパンのニナ・ニックーさんは「日本だけでなく、世界の基地局を利用できるのも魅力のひとつ」とアピールしている。なんといっても普及の要因は基地局が1980円(買い取り価格)という手軽な価格設定にある。日本では昨年12月の進出以来、わずか7カ月で会員申込総数は約3万5000人、このうちルーターを設置して基地局を開放したユーザーは約1万9600件に達し、ドイツに次ぐ世界第2位に飛躍。利便性と手軽さが受け入れられれば、無線ブロードバンド手段として、加速度的に利用者が増加する能性も出てきた。
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【用語解説】FON
スペインで2005年にスタートした公衆無線LANプロジェクト。利用者が購入したルーターを無線LANのアクセスポイント(AP)としても開放することでネットワークを世界中に広げようと考えている。ユーザー契約は(1)APを無料で開放・利用するライナス(2)APを有料で開放・利用するビル(3)APを開放せずネットを利用するエイリアン-の3形態があり、国内では現在(1)だけだが、今秋には(3)も提供する予定。料金は欧州の24時間3ユーロ(486円)とほど同水準に設定するという。