「Yahoo!無線LANスポット…」と「NHKの受信料は…」の背景にある病理
ちょうど1カ月前、6月2日に掲載された記事、「Yahoo! 無線LANスポット、看板にいつわりあり??」は大反響を呼んだ。
http://www.ohmynews.co.jp/news/20070701/12692
執筆した記者の6月13日のブログによると、その時点でPV数は10万ほど、評価点は2000点超だったという。6月30日現在では、オーマイニュースの読者7472人が投票し、評価点は2776点。数値からは0点投票が多いことが分かるが、肯定的な評価を与えた人も少なくない。
評価点は、一般読者の場合は0~1点、市民記者は0~10点を投じることができる。評価点を投じた人の数は、市民記者と読者が1点ずつを投じた場合で最大2776人、最小は市民記者だけが10点ずつ投じた場合で278人(最後のひとりは6点)の可能性がある。
両者には大きな開きがあるが、中央値は1527。ざっと、1000~2000人は肯定的に評価(0点以外の評価)をしたと考えてもいいと思う。
7472人中1000人~2000人、13.4%~26.8%(厳密には、278人~2776人で、3.7%~37.2%)が肯定的に評価している点をどう見るべきか。投票した人は読者全体のごく一部なので単純には引き伸ばせないが、少なからぬ人が、500円の無線LAN会費さえ払えばマクドナルドの席をタダで利用できる、と考えていた可能性が高い。これをどう評価したらいいのか。
また一方で、6月25日掲載の別の記事「NHKの受信料は払うな!?」によると、放送にくわしい専門家たちが集まって、「私は受信料を払っていない」と宣言したとある。分別あるはずの立派なおっさんたちが、そろって「不払い宣言」をしているのだ。ということは、「無線LAN会費払ってマクドナルドの席タダ利用」の考え方も、相当広がりがあるのではないか。
私はこのふたつの記事をちょっぴり深刻に受けとっている。
マクドナルドは大勢の従業員の生活を支えている企業である。タダの客に席を占拠されては企業として成り立たない。
またNHKは受信料を払っている多数の人によって支えられている。タダ見が多くなれば払っている人の負担が増すのは自明の理である。民放は表面上タダであるが、CM料金が支え、そのCM料は商品に上乗せされ、私たち消費者=視聴者が払っている。NHKのタダ見は、正真正銘のタダ乗りなのだ。
受信料不払いは、高速道路の運営が気に入らないから料金所を突破しようという「フリーウェイクラブ」の発想と似ているが、NHKが気に入らなければ別の方法で意思を表してもらいたい。少なくともこのような行為に胸を張ってもらいたくない。
「他人に借りを作るな。借りを作ったら返せ」と私は教えられてきたし、またそれを当然のことと受け止めてきた。むろんその感覚は人によって濃淡があるだろう。
しかしこれらの例をみると、単に個人的感覚の濃淡の違いだけではすまされない背景があるように感じる。
たしか70年代だったと思うが、こんな話を雑誌で読んだ記憶がある。当時は、生活保護を受けることに抵抗感をもつ人が多かった。そこである地方は、「生活保護は『施し』でなく『権利』です」と説得した。そうしたら受給者を増やすことができた。そんな話である。それが誇らしく語られていた。事例そのものは一地方に過ぎないだろうが、その背景にある、いわゆるリベラルな考え方は、当時かなり一般化していたように思う。
こうした風潮を手前勝手にとらえ、タダでもらうのが当たり前、それが権利である、などと理解した人々も多数存在したのかもしれない。
今とは財政事情が違う点は考慮しなければならないだろうが、現在の、自助努力を説いて、なんとか受給者を減らそうという時代とは隔世の感がある。とはいえ、一時期、上記のような考えが広がったのは事実である。
タダ乗りOKとする方々はこの時代の“リベラルな考え”を、今になってもひたすら、しかも自信を持って守ろうとしているのだろう。自信があるから公言されるのだろうが、どうか次の世代にまでは伝えないで、1代限りにしてほしいと願うのみである。
リベラルを自認される方は今こそ、ケネディの大統領就任演説(1961年1月20日)の有名なフレーズ、「国に何をしてもらうかではなく、国のために自分は何ができるかを考えてほしい (Ask NOT what your country can do for you -- ask what you can do for your country.)」をかみしめてほしい。
【編集部注】 本記事のタイトルを、論評対象の記事に合わせ、「Yahoo!…」に修正いたしました(2007/7/2 18:55)