第4回 Skype専用携帯電話の「使える度」
Skypeの難点は、基本的にPCの環境がないと通話ができないこと。
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0705/01/news001.html
だが、Skype専用携帯電話を使えば、無線LAN環境さえあればPCいらずで通話できるのだ。果たしてその使い勝手はいかに?
2007年05月01日 07時30分 更新
連載「再考・ワイヤレスネットワーク」では、本記事を含む以下の記事を掲載しています。
【第1回】わたしがモバイルをしたくない理由
【第2回】なぜ、我が社には無線LANがない?
【第3回】「FONはビジネスに使えない?」のホントとウソ
【第4回】Skype専用携帯電話の「使える度」(本記事)
Skypeは世界中どこでも無料で通話ができる画期的なツールだ。日本国内はもちろん、海外への通話も同じSkypeユーザーなら一切料金はかからない。国内各地域に拠点を置く企業が内線電話として使ったり、海外との通話が多い企業には特に重宝するだろう。ノートPCとUSBフォンさえあればどこにいても着信を受けられるので、出張がちなビジネスマンにもメリットは大きい。
しかし、Skypeの泣き所は「Skypeソフト」が起動していないと通話ができないということ。当然ながら、PCをスリープあるいは電源を落としてしまったら、Skypeからの着信は当然受けられないし、着信があったことすら分からないのだ。結局、相手が出ないので携帯電話にかけるということもしばしばだ。
ロジテックのSkype専用携帯電話「LAN-WSPH01WH」はこんな悩みに応える強力なアイテムだ。IEEE 802.11b/gに対応し、ワイヤレス環境が整備されたオフィスであれば、携帯電話と同じ感覚でSkypeを利用できる。しかも、「FON」や「livedoor Wireless」にも対応しており、屋外でも使えるのだ。早速、使い心地を確かめてみることにしよう。
使用感は携帯電話と同じ
LAN-WSPH01WHは、幅49×高さ115×奥行き18mmと一般的な携帯電話とほぼ同じ大きさで、重さはバッテリーを含めて104グラム。胸ポケットに入れて気軽に持ち歩ける。正面には1.8インチカラー液晶ディスプレーを配し、各種ボタン類が下に並んでいる。カーソルの移動などのメニュー操作は中央のトグルスイッチを上下左右に動かして操作する。本体下にはUSB端子とヘッドフォン端子が装備されているが、USB端子は充電用でデータ転送などは行えない。
画像 本体の大きさや重さは一般的な携帯電話とほとんど変わらない
電源を入れると起動画面が表示され、近隣にある無線LANのAPを自動的に探索する。初期設定ではWPA2/WPA/WEPが有効でないAPに自動的に接続するように設定されているが、後でAPを登録し、そのAPを「自動的に接続」または「優先するネットワーク」に登録しておけばよい。任意のAP へは「ネットワークの一覧」を表示させ、リストからAPを選んでWPA2/WPA/WEPキーを入力すればOKだ。
また、あらかじめ複数のAPを登録しておけば、場所を移動したときに自動的にAPを検索して、そのAPに接続する機能もある。利便性を考えれば事前登録が必須だが、携帯電話と同様のキー操作でSSIDやパスワードを入力するのは面倒だ。このあたりは、PCで登録してUSB経由でデータを転送できるような仕組みが欲しい。
ネットワークの接続が終わったら、Skypeのログイン画面からSkype名とパスワードを入力してログインする。コンタクトリストがダウンロードされ、コンタクトメニューから発信先を選んで電話をかけられる。また、LAN-WSPH01WH上でSkypeユーザーを検索したり任意のユーザーをコンタクトリストに登録することも可能だ。
画像 検出された任意のAPを選んで接続する
画像 「Skypeにサインイン」を選ぶ
画像 Skype名とパスワードを入力してサインインする
画像 ダウンロードされたコンタクトリストから通話先を選ぶ
着信があるとバイブレータが振動して着信音が鳴り、通話ボタンを押せばそのまま通話できる。音質は思ったよりもクリアで、ほとんど携帯電話と変わらない。これなら、どんなシチュエーションでもSkypeを自由に利用できるだろう。
なお、一般電話への発信(SkypeOut)や「050」で始まる番号で一般の電話から着信できる「SkypeIn」、ボイスメールにも対応しているが、ファイル転送やテキストチャット、ビデオチャットといったSkypeの標準機能は利用できない。あくまで音声通話に特化したデバイスだと考えるべきだろう。なお、連続待ち受け時間は約30時間、連続通話時間は約3時間と十分にある。ただし、付属のACアダプタで充電したときの充電時間は約4時間と長めだ。
公衆無線LANサービスで使えるか?
オフィスや家庭でのワイヤレス環境では、LAN-WSPH01WHは快適にSkypeを使える。そうなると、アウトドアでも試してみたいところだ。しかし、問題がある。Webブラウザを内蔵していないため、Webを使った認証ができないのだ。
一般的な公衆無線LANではWeb認証を行っているため、残念なことにワイヤレス接続ができてもそこから先へ進めないということが判明した。しかし唯一、MACアドレス認証に対応している「livedoor Wireless」は、事前に本機のMACアドレスを登録しておけば利用できるという。
本体の裏フタを開けて電池を取り出すと、MACアドレスが書かれた紙が見える。これをlivedoor Wirelessの情報登録ページに入力しておく。筆者はMACアドレスを登録後、早速東京都内のlivedoor WirelessのAPを探し、接続を試みた。
画像 フタを開けて電池を外し、上に書かれているMACアドレスを確認する
画像 livedoor Wirelessのユーザー設定画面で本機のMACアドレスを登録しておく
livedoor Wirelessの接続方法は、オフィスや家庭のAPへの接続方法と基本的に同じだ。接続リストから「livedoor-web」というSSIDを選択し、指定されたWEPキーを16進数で入力する。あとは、MACアドレス認証が自動的に行われ、そのままインターネットに接続してSkypeで通話が可能になる。
ただし、簡単に接続できない場合もある。livedoor WirelessのAPは主に電柱上に設置されているが、APの正確な場所が目視できない。ロケーションによってはかなり電波が弱く、うまく接続できないこともしばしばだった。また、なぜかワイヤレス接続してもDHCPからうまくIPアドレスが割り当てられなかったり、DNSアドレスが割り当てられないこともあった。
今回の検証では、千代田区九段付近のAPを探索していたがまったく接続できず、JR飯田橋駅付近のAPで再度検証したところ、問題なく接続でき、通話も可能だった。
画像 「サービス対応エリア」のページででアクセスポイントをチェック
念のためノートPCも持参していたのだが、同様の現象を確認したのでLAN-WSPH01WHの問題ではなさそうだ。ただし、アンテナが原因なのか、LAN-WSPH01WHの方が若干受信感度がノートPCよりも低かった。やはり、「十分な電波強度がないと屋外での使用は厳しい」というのが率直な感想だ。
FON APでは実用的に使えるか?
さて、本機の最大の目玉は「FON」に対応していることだ(FON利用については、本連載第3回を参照のこと)。FONは公開用のAPに接続後、Web認証が必要となるが、LAN-WSPH01WHのファームウェア「1.0.0.17F1P」から FONに正式に対応し、電話端末上でFONのアカウントを入力すれば利用できるようになった。現在市販されている製品は対応済みだ。
ユーザーの自発的なAP設置により面展開を図るFONでは、livedoor Wirelessと同様、APの電波強度が問題となる。できるだけ良いロケーションを探して接続することが大きなポイントである。
FONの公開用APはWPA2/WPA/WEPが一切有効ではないオープンネットワークだ。FON APに接続すると、自動的にFONのアカウント入力画面が表示される。ここでアカウント(メールアドレスとパスワード)を入力すると、あっけなくFONに接続した。
画像 このように設定しておくとFON APを検出すると自動的に接続できる。ただし、まったくセキュリティがかかっていないほかのAPを検出したとき、そこに接続してしまうので注意したい
画像 どこのAPに接続しているか分からなくなった場合「ネットワークの詳細」画面を表示して確認できる。ここでは信号強度や通信速度もチェックできる
このアカウントをLAN-WSPH01WHに保存しておけば、どのFON APに接続しても自動的にサインインが行われ、Skypeが利用できる状態になる。「自動的に接続」の設定画面で「オープンネットワークに自動的に接続しますか」を「はい」にセットしておけば、FON APに近づいただけで自動的に接続し、一切操作をすることなくSkypeを利用できる。これは思いのほか便利だった。
このように、公衆無線LANサービスでは東京都内の山手線の内側のエリアのみをカバーするlivedoor Wirelessしか利用できないという現状、アウトドアではFONが最も実用的に使える環境だと言えるだろう。
しかし、FONのWeb認証に対応できるなら「ほかの公衆無線LANサービスにも対応できるのでは?」という素朴な疑問は残る。ロジテックでは今後の機能アップをファームウェアでアップデートするとしているが、ぜひ利用できるサービスの枠を広げてほしいものだ。
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