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ノートPCでもデスクトップPCでもない“何か”――NEC「VALUESTAR N」

NECの夏モデルで登場した「VALUESTAR N」シリーズは、ノートPCとデスクトップPCの“いいとこ取り”を狙ったニューフェイスだ。NEC版“ボードPC”の実力をいち早くチェックしよう。

http://plusd.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0704/16/news010.html

液晶一体型PCのエントリーモデル「VALUESTAR N」シリーズ

ht0704_vn00.jpg 15.4インチワイド液晶ディスプレイを備えたVALUESTAR Nシリーズ

 この夏モデルで新たに投入されたNECの「VALUESTAR N」シリーズは、厚さが約40ミリというスリムボディが魅力の液晶一体型PCだ。これまでに同社がリリースしてきた液晶一体型PCは、フラッグシップモデルの「VALUESTAR W」シリーズと、スタンダードモデルの「VALUESTAR S」シリーズで構成されていた。いずれも17インチ以上の液晶ディスプレイを採用していたのに対し、ニューフェイスの「VALUESTAR N」は15.4インチワイド液晶ディスプレイを搭載した、ライトユーザー向けのエントリーモデルに位置付けられる。店頭で人気の高い液晶一体型PCの選択肢がいっそう充実した格好だ。

 ラインアップは全3モデルでOSはWindows Vista Home Premiumと共通ながら、CPUやHDD容量、地上デジタルTVチューナーの有無などで違いが見られる。最上位の「VN570/JG」はTV機能を重視したモデルで、地上デジタルTVチューナーと色再現性に秀でたスーパーシャインビューEX2液晶を搭載し、TV番組の録画に備えてHDD容量も200G バイトと多めだ。そのぶん、CPUはMobile Sempron 3400+(1.8GHz)と控えめだが、今回取り上げる中位の「VN550/JG」は地上デジタルTVチューナーを省きつつ、デュアルコアCPUの Turion 64 X2 TL-50(1.6GHz)と256Mバイトのキャッシュを内蔵したハイブリッドHDD(容量120Gバイト)を備えるなどパフォーマンス重視のモデルである。

ハイブリッドHDDをいち早く採用

ht0704_vn01.jpg 評価機のデバイス マネージャ画面

 前述したように、VALUESTAR Nの特徴は小回りのきく小型ボディにある。これはVALUESTAR Sシリーズと同様にノートPCのアーキテクチャを採用することで実現している。チップセットは統合型のAMD M690Vで、グラフィックスはATI Radeon X1200のコアを内蔵する。上位のM690Tと異なり、専用ディスプレイキャッシュやHDMI出力などは持たないが、DirectX 9や動画再生支援機能のAvivoをサポートしており、Windows Aeroも問題なく動作する。

 メインメモリはPC2-5300対応の1Gバイトで、200ピンのSO-DIMMモジュール2枚(512Mバイト×2)で構成される。最大容量は 2Gバイトだが、増設時に標準装備のメモリモジュールが無駄になる点は覚えておきたい。HDDもノートPC用の2.5インチSerial ATAタイプだが、256MバイトのOneNAND型フラッシュメモリを搭載したハイブリッドHDDをいち早く採用しているのが光る。読み出し/書き込み速度が高速なOneNAND型フラッシュメモリを利用することで、起動時間の短縮やレスポンスの向上が期待できる。今回は試作機のためテスト結果を公表できないが、ベンチマークテストのスコアは良好だった。

 そのほかのハードウェアスペックは、スリムタイプのスロットイン式DVDスーパーマルチドライブ(DVD±R DL対応)にギガビットLAN、そしてIEEE802.11a/g/b対応の無線LANとなかなか充実している。

ht0704_vn02.jpght0704_vn03.jpght0704_vn04.jpg 左の写真は、背面のカバーを取り外したところ。横幅440ミリのボディ内部はゆとりがある。中央の写真は評価機に内蔵されていたハイブリッドHDDだ。右の写真は2基のSO-DIMMスロットとB-CASカードスロットで、背面から簡単にアクセスできる

PCの新しい利用スタイルを提案するVALUESTAR N

ht0704_vn05.jpg 取っ手のフレックスバーに設置するガジェットポケット。CDケースなら2枚、DVD-Videoのトールケースなら1枚入るスペースが用意されている

 ボディは光沢感のあるホワイトを中心に、シルバーのメッシュ加工が施されたスピーカー部の両脇をアルミダイキャスト製のスタンド兼フレックスバー(取っ手)がはさむデザインを採用する。背面のスタンドを動かすことでチルト角度の調整が柔軟に行えるほか、フレックスバーには携帯電話や光学メディアなどを収納できる「ガジェットポケット」を2個装着可能なのがユニークだ。設置時の奥行きは、最小チルト時で約160ミリと一般的なA4ノートPCの60%程度ですみ、付属の無線キーボードを本体下のスペースにすっぽりと収納可能と徹底的な省スペース性が追求されている。マウスも無線タイプで、無線LAN機能も標準で装備されているため、電源のACアダプタを除けば(地デジのTVチューナー内蔵モデルはアンテナケーブルも必要だが)ケーブルの配線に悩まされずに利用できるのがポイントと言える。重量も約4キロと室内の移動ならば苦にならない。ノートPCよりも必要な設置面積が少ないうえでノートPCに迫る可搬性を維持しつつ、それでいてデスクトップPC並の操作性を獲得しているのがVALUESTAR Nの真骨頂だ。

ht0704_vn06.jpght0704_vn07.jpght0704_vn08.jpg 全面的にノートPCのアーキテクチャを採用することにより、ボディ部分は約40ミリしかない(写真=左)。いかにも持ち運んで利用してほしいと主張する、フレックスバー(取っ手)のデザインも印象的だ。コネクタは両側面にびっしりと用意されている(写真=中央と右)。背面のスタンドは細かい角度調整が可能だ

ht0704_vn18.jpg Windows エクスペリエンス インデックスの画面

 なお、右側面にはDVDスーパーマルチドライブと輝度調整ダイヤル、USB 2.0ポートを、左側面にはメモリースティックPro/SDメモリーカード(SDHC対応)/xDピクチャーカード対応のメモリカードスロットと4ピンの IEEE1394ポート、TypeIIのPCカードスロット、マイク、ライン出力兼用のヘッドフォン、USB 2.0ポートが並ぶ。背面には有線LANと無線LANの電源スイッチ、そして2基のUSB 2.0ポート、DC入力があり、ケーブルの取り回しで頭を悩まされずにすむ。

 キーボードは、テンキー付きのフルサイズキーボードが採用されている。薄型でストロークが浅いノートPCライクなものではなく、通常のデスクトップ向けのキーボードなのでデスクトップPCからの買い換えでも違和感なく利用できるだろう。キーボード左上にはプログラマブルなワンタッチキーが4つあり、初期設定では左から順に「メール」「インターネット」「ソフトナビゲーター」「サポートナビゲーター」が起動するようになっている。この4つのワンタッチキーと本体前面右側の2個のワンタッチキーはいずれも「ワンタッチスタートボタンの設定」ツールを利用して、起動アプリケーションのカスタマイズが可能だ。キーボード右上には、消音と音量調整のボタン、電源スイッチが配置されている。マウスは、ホイール付きのワイヤレスマウスで、キーボードとマウスの裏には電池の消耗を防ぐための「オン/オフ」スイッチがある。

ht0704_vn09.jpght0704_vn10.jpg DC入力(下部左側)や有線LAN(下部右下)といった常時ケーブルを接続する必要がある端子は背面にまとまっている(写真=左)。キーボードとマウスともに無線タイプで、約3メートル離れたところまで利用可能だ

ht0704_vn11.jpght0704_vn12.jpght0704_vn13.jpg キーボードのワンタッチボタン(写真=左)と本体右前面にあるワンタッチボタンの設定画面(写真=中央)。ワンタッチボタンの起動方法も選ぶことができる(写真=右)。PC本体にハードウェアの音量調整ボタンがなく、キーボードに用意されている

かゆいところに手が届くユーティリティが付属

ht0704_vn14.jpg 15.4インチワイドのスーパーシャインビュー液晶を搭載する。スピーカー出力は2ワット+2ワットで、輝度は8段階に調整可能だ

 1280×800ドット表示の15.4インチワイド液晶ディスプレイは、やや赤みがかった印象を受けるが、淡い色調でも比較的細やかなグラデーション表現ができている。ただ、色度域をNTSC比で約72%にまでアップしたスーパーシャインビューEX2液晶ではなく、LaVie L ベーシックタイプと同じスーパーシャインビュー液晶を採用するため(上位のVN570/JGはスーパーシャインビューEX2液晶)、輝度はあまり高くなく視野角も広くはない。液晶ディスプレイの周囲が光沢塗装なので光が反射しがちなのも気になるところだ。もっとも、正対して使うぶんには問題なく、 WinDVD/Windows Media Center/Windows Media Playerを全画面表示した場合のみ、あらかじめ設定した輝度に自動的に変更してくれるユーティリティ「輝度設定ツール」が重宝する。普段は暗めの輝度で目をいたわって、DVD-Videoやストリーミング映像などのマルチメディアコンテンツは明るい画面で見たいというニーズをしっかりと満たしてくれる。

 もう1つ便利に感じたのは、光ディスクを挿入すると自動的にPCの電源がオンになる「スロットインPower ON」機能と、PCの電源がオフ時でもドライブスロット下のイジェクトボタンを押すことで光ディスクを取り出せる「Power OFF イジェクト」機能だ。「DVD-Videoを見ようと思い立ってPCの電源を入れ、完全に起動するまでその場で待ってから光ディスクを挿入した」、または「PCで聞いていた音楽CDを取り出さないままPCの電源を切ったのだが、急遽その音楽CDが必要になり、そのためだけにPCの電源を入れて取り出した」という、ちょっとした手間と時間の無駄を省いてくれる。大したことがないように思えていざそのシチュエーションが発生すると、意外なほどイライラしたり面倒に感じたりするものなので、これらの機能はなかなか気が利いている。

 本機の冷却は底面部から吸気が行われ、上部にある冷却ファンで排気される仕組みだ。理にかなったやり方だが、排気口が通常のノートPCやデスクトップPCよりもユーザーの耳に近い位置にある関係で、システムに高い負荷をかけ続けるとファンの風切り音が少々耳についた。メールやWebブラウズ程度ではノイズが気にならず、今回は試作段階の評価機だったため、製品版での改良を期待したい。

ht0704_vn15.jpght0704_vn16.jpght0704_vn17.jpg 3つのアプリケーション使用時(全画面)に輝度を自動的に変更してくれる「輝度設定ツール」の画面(写真=左)。排気口が天面部分にあるため、風切り音が聞こえやすい(写真=中央)。ACアダプタはサイズが50(幅)×127(奥行き)×30(高さ)ミリ、重量は約425グラムある。右の画面はWindows Presentation Foundationを使った画像ビューワ/編集ソフトウェアのSmartpPhotoだ

 VALUESTAR Nシリーズは、ライトユーザーをターゲットとした製品ながらも丁寧な作り込みとちょっとした工夫がふんだんに盛り込まれた製品だ。ユーザーが本当に求める「使い勝手のよさ」とはどういうことかをしっかりと形にしている。とくに評価機のVN550/JGは、フラッシュメモリを搭載することでプラッタのシークとリードを抑えて高速なデータアクセスを実現したハイブリッドHDDをいち早く採用したのも見どころだ。バッテリーを内蔵してさらに機動力を高めたVALUESTAR Nも見たいところだが、本体サイズと価格のアップが避けられないことを考えると、現時点では本機のようなのが現実的な落としどころであったのだろう。

 実売価格は最上位のVN570/JGが22万5000円前後、VN550/JGが20万円前後、VN500/JGが18万円前後と、似たようなスペックを備えたLaVie L LL570/JG(実売18万5000円前後)やLL550/JG(同17万円前後)に比べるとやや割高に感じるが、この価格さえ気にならなければ、購入後の満足度は高い製品と言えそうだ。

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[富永ジュン,ITmedia]

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