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第1回 わたしがモバイルをしたくない理由

「ビジネスで使う内外の無線LAN環境」を再考する連載――。

http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0704/20/news008.html

公衆無線LANサービスが日本で始まってからもう6年。事業者やサービスの数は増えたが、肝心のユーザーの伸びは今ひとつだ。一体、何が問題なのだろう?

2007年04月20日 08時00分 更新

 公衆無線LANサービスのアクセスポイント(AP)は日本全国に広がっている。そして市販のノートPCのほとんどはワイヤレス対応だ。だが、都心の公衆無線LANサービスの場所に足を踏み入れても、いつもノートPCを使っている人の数はまばらである。無線LANが使える駅構内に至っては、ノート PCを開けている人をめったに見ることはない。

 少々古いデータになるが、2006年4月の米JupiterResearchのレポートによると、公衆無線LANの利用者は2004年の14%から2005年は20%に増加しているが、公衆無線LANユーザーのうち58%は無料のサービスのみを利用すると回答している(関連記事参照)。これはどうしてだろう?

無線LANサービスが抱える2つの問題

 筆者のオフィスはVPN(仮想閉域網)環境を整え、PPTP(Point-to-Point Tunneling Protocol)による外部からのリモートアクセスに対応している。サーバ環境も整備してあり、VPN接続さえできればどんな場所にいても事務所内のデータがすぐに取り出せるようになっている。

 しかし、以前契約していた公衆無線LANサービスでは、なぜかVPNセッションが頻繁に切れてしまい、軽めのファイルコピーすらままならなかった。同じサービスを契約する職場の同僚に声をかけ、別のAPから同様にアクセスしてもらったが、やはりVPN接続して数分でセッションが途切れてしまった。

 モバイル事情に詳しい知人の話では、APによってはVPNが使えないことがあるという。今やビジネスユースにおいてリモートアクセス環境は必須なだけに困ったものだ。また、ネットワーク機器の障害に出くわすこともしばしばあった。もちろんAPをメンテナンスするスタッフは常駐していない。コネクティビティーでつまづくようでは、ネットワークの品質以前の大問題である。

 現状の公衆無線LANサービスのもう1つの問題は、「どこで使えるのか分かりにくい」ということだ。公衆無線LANのスポットは当然ながら事業者によって異なる。この状況は、NTT系の「ホットスポット/MZone」と「BBモバイルポイント」とのローミングサービスで改善されたが、別途追加料金が必要だ。また、事業者横断的な情報を得ることが難しいという問題もある。

図1 ホットスポットのサービスエリア検索画面(クリックで拡大)。店舗名と住所のリスト表示が基本で、1つずつ場所を確認する必要がある。すべてを地図上にマッピングしてくれたらもっと便利なのだが……

 また、ひとたび契約しても「事前にAPの場所をプリントアウトして持ち歩く」というアナログチックな事前準備も必要だ。いつも決まった場所を移動するならさほど困らないだろうが、行き先がまちまちな営業マンにはつらいだろう。もし、プリントを忘れて外出してしまったらお手上げだ。

代表的な公衆無線LANサービス サービス名 事業者 AP数 代表的なスポット 料金

ホットスポット NTTコミュニケーションズ 約3500 空港、ホテル、駅、ファーストフード店(モスバーガーなど)、カフェ(タリーズコーヒーなど) 1680円/月、ワンデイパスポート:500円/日。BBモバイルポイントも利用する場合、定額利用者は月額819円が追加

Mzone NTTドコモ 約4700 空港、ホテル、駅、一部の高速道路パーキングエリア、ファーストフード店(ロッテリア、ケンタッキーフライドチキン)、カフェ(タリーズコーヒー、プロントなど) 1575円/月、日額プランは525円/日。BBモバイルポイントも利用する場合、定額利用者は月額525円が追加

BBモバイルポイント ソフトバンクテレコム 約3500 空港、ホテル、駅、ファーストフード店(マグドナルド、カフェ(カフェ・ルノアール)など Yahoo!BBユーザーは304円/月、その他ローミングを含めてプロバイダーによって料金が異なる

livedoor Wireless ライブドア 約2200 東京首都圏(山手線圏内の80%)、カフェなど 525円/月

 さらに、各事業者が提供するエリア情報は基本的にリスト表示であり、1つずつ地図で場所を調べる必要がある。公衆無線LANの理想はユビキタスだが、現実にはAPを求めてさまよい歩く、といった本末転倒な状況は2007年も依然として変わっていない。これでは筆者ならずとも本格的なモバイルコンピューティングを実践したくなくなるのも無理はないだろう。

 現状の公衆無線LANの問題点を以下に挙げてみる。主にクオリティと非ユビキタス性に起因するものだ。

* 接続品質の問題(VPNが使えない、コネクションが途切れるなど)

* サービス品質の問題(故障などのメンテナンスが迅速に行われない)

* AP検索性の問題(横断的に検索できない、移動中はインターネットを使えない)

投資に見合う効果を得るには?

 現在、平均的な公衆無線LANサービスの利用料金は月額1500円。以前と比べればかなり安くなったが、例えば社員20名に使わせようとすると、ランニングコストは年間36万円。現状のサービス内容を考えると、これを高いとみるか、安いとみるかはかなり微妙なところだ。

 だが、世のモバイルのニーズは高まるばかりだ。特に、ほとんどの時間を社外で過ごす営業マンにとって、公衆無線LANサービスをうまく「止まり木」にすれば、わざわざ会社に戻って報告書を書いたり、明日の資料をそろえたりする無駄な時間が省ける。このような業務合理化につながってこそ、真の投資効果がある。

 そのためには、ある程度のノウハウが必要となる。公衆無線LANサービスをビジネスに使うためのチェックポイントをまとめてみた。

実用性重視ならVPNに対応したサービスを選ぶ

 メールとWebアクセスだけでなく、社内LANとのやり取りを行うならVPNは必須だろう。現状では、VPNの対応を正式にうたったサービスは、 NTTコミュニケーションズの「ホットスポット」のみ。ただし、VPNの方式や使用している製品によって問題が発生する可能性もある。事前に動作確認を行うため、まずはワンデーサービスで、うまく使えるかどうかをチェックしておこう。その他の事業者のサービスを使う場合でも同様だ。なお、ホットスポットでは法人向けサービスも用意している。

都内をクルマで移動するならlivedoor Wireless

 電車ではなく、主にクルマで都内を移動する営業マンなら、今は東京の山手線内を面展開する「livedoor Wireless」が有力だ。現在2500APを展開しており、街中の電柱などにAPが設置されているので車中からアクセスできる。ただし、山手線の外側では利用できない。

エリア最優先ならローミングプロバイダーを使う

 社員が社外で行動するエリアが広範囲で、できるだけ多くのスポットを使いたい、という場合は各事業者のサービスを横断的に使える「ワイヤレスゲート」が有力だ。

 また、「BBモバイルポイント」や都内で展開している「livedoor Wireless」、さらにNTT東西がフレッツユーザー向けに提供している「Mフレッツ/フレッツスポット」も利用できる(全部で1万1000AP)。基本料金は210円/月で、あとは利用した日単位に299円/日が課金される。「Mフレッツ/フレッツスポット」を利用する場合でも、月額料金が525円にアップするだけだ(ただし、別途フレッツスポットの利用料金が追加され、NTT東日本/西日本から請求される)。

対応エリアを確認する

 対応エリアの確認も重要である。事業者ごとに調べるのは大変な作業だが、事業者を横断的に検索できる「RBB TODAY ホットスポット検索」などのサービスを利用すると便利だ。地域によってどの事業者が強いのか、その傾向が分かるはずだ。なお、同サービスでは携帯電話向けの検索サービスも提供している。移動時にスポットを見つけるのに重宝する。

図2 RBB Todayのホットスポット検索サービス(クリックで拡大)。都道府県単位など広範囲に検索することも可能だ

◆携帯電話向け検索サービス

* iモード版

* au版

* SoftBank版

 以上のポイントを踏まえて、公衆無線LANサービスを選び、モバイルの投資に見合うメリットを引き出していただきたい。次回は、無線LANのセキュリティの問題について、今一度しっかりと考え直してみることにしよう。

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[池田冬彦,ITmedia]

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