FON は成功するか
なんだかこむずかしいブログを見つけた。これも面白いと思う。
http://wordpress.rauru-block.org/index.php/1219
今日の tech.memeorandum は Google と Skype が FON に出資したというニュースで持ちきりのようだ。しかし nakanohito に言わせると FON というのは必ずしも手放しで喜べないサービスのようだ。本来ならバックボーン網に詳しい彼が書くべきところだが、生牡蛎のダメージからまだ復活できていないため、私が代わりに書くことにする。間違ったところがあれば後から彼が訂正してくれるだろう。
FON が何かということについては、昨年の PCWeb に載った紹介記事 がよくまとまっている。簡単に言うと、無線LAN を皆で共有(ローミング)してハッピーになりましょう、というものだ。
FON の頭の良いところは、単なる原始共産主制的共有と違って、利用料を徴収する機構も考えられている点にある。Bill というネーミングも秀逸だ。おそらく先に Bill の方を思いついて、後からそれに合わせて Linus という名前を作ったのだろう。
今回ニュースになったのは、Google, Skype それに Sequoia が FON に総計2,170万ドルを出資することが決まった、というもの。FON の発起人である Martin Varsavsky は A dream come true と大喜びの様子である。
では、FON のどこが問題かという話に移ろう。
FON の特徴は、「ラスト1マイルのトラヒックを最適化する」という点にある。一見良いことのように見えるが、nakanohito に言わせるとこれは「バックボーン網のトラヒックを悲惨な状態に押し上げる」こととイコールだそうだ。
PCweb の記事には Varsavsky が語ったこととして以下の話が出てくる。
無線LANは増えたが、帯域は余っている。同氏によると、通常のADSLの場合、使われている帯域はわずか3%程度という。残りの97%何かに生かせないか、無線LANのメリットをもっと引き出せないか、そうやってFonのアイディアは生まれた。
そう、ラスト1マイルの帯域は確かに97%が余っている。しかし、バックボーン網の帯域はそうではない。ラスト1マイルが3%しか使われていないということを前提に、それを統計多重した設計で、バックボーン網は構築されている。そして ISP の利用料金も、その構築費の上に設定されている。
例えばもしラスト1マイルの利用効率が今の倍、6%ぐらいまで活用されるようになれば、バックボーン網の構築費用も、単純に倍とまでいかなくても、大幅に増加する。それは ISP の利用料金に跳ね返らざるを得ない。
もちろん Varsavsky もそれは理解しており、ISP を積極的に味方につける戦術に出ている。Bill による収入を ISP にも配分する、というものだ。この点は Skype よりも頭が良い。すでに、アメリカの Speakeasy なるあまり聞かない名前の ISP をはじめ、いくつかの ISP が FON 支持を表明しているらしい。
FONが成功するかどうかは、この ISP の協力をどれだけ取り付けられるか、そしてバックボーン網費用増加を Bill による利用料金の配分でどれだけ賄えるかにかかっていると言える。もしこれに失敗すると、ISP はバックボーン負担増に対し警戒的となり、FON 排除に動くと予想される。最近流行りの Tiered Internet 論にまた一つ頭の痛い問題が加わることになるだろう。
最後にジョークを一つ。nakanohito が会社の同僚に FON の話をしたところ、「そんなもの無くても、フリーでアクセスできる無線LAN AP が町中に山のようにあるじゃないか」と言われたそうだ。まあそれもそれで問題ではある。